SHAZAM! VOLUME1
著:ジェフ・ジョーンズ(作)
ゲイリー・フランク(画)
訳:中沢俊介/内藤真代
刊:DC COMICS 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2015年
収録:JUSTICE LEAGUE #7-11 #0 #14-16 #18-21(2012-13)
☆☆☆☆★
・・・その名は
“シャザム!”
力を呼ぶ魔法の言葉。
「ブラックアダム」前にこちらも。
前に一度読んでた気がしたけど、初見っぽい。「アクアマン」と勘違いしたかな?
映画版、ほぼこのまま映像化してたんですね。ブラックアダムとのバトルをドクター・シヴァナに置き換えただけで、基本的な流れは全く一緒。
シャザムのオリジンと混ぜてしまうにはブラックアダムは勿体無いキャラなので、搭乗を先延ばししたみたいな感じでしたっけ?結果スピンオフ的に単独映画になっちゃいましたけど。
映画が良かったのは、元々のこの原作脚本が良かったっていうのは結構大きいかも。解説書でも作品の魅力が語られてますが、成長・家族・魔法と、普遍的なものがちゃんと描かれてるのは大変に面白いポイント。
今回はNEW52版のリニューアルバージョンですが、過去のシリーズからの変更点もまた面白味。過去のビリーは基本良い子の部類だったぽいですが、今回のビリーはかなりひねくれてる。そこはファンには賛否あったそうですが、洞窟の魔法使いが、良き心を持つ者を探してると。
でもそこでビリーはハッキリ言う。映画でもこのセリフあったっけ?良い人間は世の中に食い物にされて潰されて行くだけ。だから良い人間なんか探したって永久に見つからないよ、っていうのは凄く現代的だなぁと思えて凄く面白い部分だし、悲しいけど確かにそれはある種の真理かもね、と思う
そんな真人間なんて居ないけれど、それでも良い部分だって人間は持ってる、そこを信じるしか無いんだよ、というのは凄くわかる気がする。
私だってなるべく善人ではありたいけれど、全部が全部聖人のようにはなれないし、逆に他人に対して、良い人なんてほとんどこの世の中には居ないんだなって思う半面、そんな中でもね、じゃあそいつらを悪人だって決めつけてしまうのもそれは違うと思うし。
そしてやはり面白いのは疑似家族部分。元々ファミリー要素はキャプテンマーベルにあったものだけど、こうやって孤児6人、人種も性格も全然違う感じがまた楽しい。
ポリコレ嫌いな人は、まさしくこういうのを嫌うんでしょうけど、私は別にこうあるべきとか思ってるわけじゃなく、色々な人が居た方が単純に面白いじゃん?百人居れば百人の個性や得意分野があった方が、100通りの問題を解決できる。みんな同じ人なら、100人居ても一つの問題しか解決できない、それって勿体無くない?多様性ってそういう事でしょ?程度の考えしか持ってないので、これがポリコレ的に正しいとかじゃなく、いや単純にこっちの方が面白いじゃん?という感じがして好きです。
ブラックアダムの過去も一捻りあって面白いものの、今回の登場ではアンチヒーロー要素はほぼ無く、あくまでビリー=シャザムの鏡像的な位置付け。そこ考えたらやはり映画の方は良い判断をしたのかもしれない。
逆にこっちのドクターシヴァナは導入部以外はそんなにキャラが立ってないですし。
映画ついででしたが、非常に面白い1冊でした。クロスオーバー要素もほぼ無いので逆に読みやすいし、アメコミ初心者でも入りやすい1冊な気がします。
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