僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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LOGAN/ローガン

LOGAN/ローガン [DVD]

原題:LOGAN
監督・脚本:ジェームズ・マンゴールド
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2017年
☆☆☆☆★

 

X-MENシリーズ10作目
スピンオフとしての「ウルヴァリン」シリーズとしては3作目。

 

親友のライアン・レイノルズに誘われて新作の「デッドプール3」で復帰する事は決まってますが、一応はX-MEN本編シリーズも含めて、ヒュー・ジャックマンが演じて来たウルヴァリンの最後、集大成として作られたのが本作。

 

監督は前作「ウルヴァリン:SAMURAI」と同じくジェームズ・マンゴールド。トンデモ日本描写で低評価だった前作とは打って変わって、今回は物凄く高評価を受けました。私も勿論公開時に映画館で見てますが、まあやっぱり感慨深さの部分が大きいのかなと思います。

 

だって最初の映画「X-メン」が2000年ですよ。そこから10年以上ずっとウルヴァリンを演じて来ました。しかも今でこそユー・ジャックマンはスター俳優ですけど、当時はオーストラリア出身で知名度も無かった。ミュージカル舞台俳優だったらしく知名度を上げたのは間違いなくX-MENシリーズです。

 

で、そこで彼が素晴らしいなと思うのは、これはブレイクのきっかけにして、ウルヴァリン役で無い所でもちゃんと売れて、そこでもうコミック映画なんてもう卒業とか言わずに、ちゃんと自分をスターに押し上げてくれた作品だからと、ウルヴァリン役に愛着を持って接してくれた事ですよね。

 

で、今作が傑作になったのってそこも一つの大きな原因の一つだと思う。
前作の「SAMURAI」って今ではネタ枠扱いされてますけど、あれは原作のフランク・ミラーが描いた日本編が、原作におけるウルヴァリンというキャラクターの根源的な魅力であり、人気のルーツの一つでもあったから、それを映画でも再現しようとしたわけです。

 

まあ結果的に上手く行ったかどうかは別問題として、ヒュー・ジャックマンジェームズ・マンゴールドも原作のウルヴァリンというキャラクターに誠実に向き合った結果だと思うんですよね。

 

じゃあ今回は何をやったのかと言えば、これまで映画で演じて来たヒュー・ジャックマン演じる「映画版X-MEN」のウルヴァリンと向き合った結果じゃあないのかなと私は思うわけです。

 

一応、年老いたウルヴァリンというのは、原作でも「オールドマン・ローガン」という話があって、そこがイメージソースになってるとはされているんですけど、ストーリー自体は1ミリも共通する部分がありません。

 

どちらかと言えば、やはりフランク・ミラーの描いた不朽の名作「バットマンダークナイトリターンズ」のウルヴァリン版をやろうとした、という感じですよね。年老いたヒーローの最後の戦いを描く、みたいな意味で。

 

ウルヴァリン:X-MEN ZERO」も「SAMURAI」も、何ならX-MEN本編シリーズも、「フューチャー&パスト」「アポカリプス」「ダークフェニックス」辺りも、原作エピソードを映画で何とか再現しよう的な感じが、逆に中途半端なものになっちゃってた印象が強いです。

 

ただ今回の「ローガン」は原作の映像化ではなく、原作にある色々な名エピソードと同じように、ウルヴァリンというキャラクターを使ってオリジナルで面白いミニシリーズやワンショット的な話を作ろう、みたいな向き合い方で作られたんじゃないのかなと思うし、だからこそ映画オリジナルの名エピソードが生まれたんだと私は思う。或いは一度原作からは離れて、映画単体としてこれまでの集大成になる作品を作ろうとしたからこそとも言えるかもしれません。

 

いや正直ね、最初から最後まで物凄く辛気臭いんですよ。ボケ老人となったプロフェッサーXなんてぶっちゃけ見たくなかったですよ。でもね、地球上で最強クラスのテレパスがこうなってしまったら、確かに問題だしヤバいよなとは思わせられるし、明確には断言されて無いけど、ウエストチェスターの悲劇って、多分実際にプロフェッサーがX-MENなり生徒なりを再起不能にしてますよねこれ。そんなプロフェッサーを引き取るローガンがまたね、やっぱり彼に恩義を感じてるウルヴァリンらしい部分。

 

メタ的にはX-MEN1作目から一緒に頑張ってきたプロフェッサーもね、一緒にこの作品で息を引き取るというのは勿論、シリーズ全体としての向き合い方だし、若い頃の自分=X24と対峙するってのも意図的なものなわけです。ウルヴァリンを演じて来たヒュー・ジャックマンが自分のキャリアと向き合って、一つのピリオドを打とうとしてると。

 

ローラ・キニー=X23が目指す場所、エデンは本当にあるのかどうかもわからない。それはコミックの中だけの話かもしれないけれど、ヒューも、監督のマンゴールドもコミックにこれまで向き合ってきた。そこに信じられる大切な何かがあるんだと信じて。自分達はここでいったん降りるけれども、次の世代の君たちは辿りついてほしい、そういう願いがね、描かれてる話だし、そういうメタ要素まで絡んでくるんだから、そりゃあ名作になりますよ。魂がこもってるんだもの。

 

この辛気臭さこそがX-MENだよねっていう感覚が半面、流石にね、希望は未来に託したとはいえ、プロフェッサーもローガンもちょっと悲しい終わり方だなぁみたいなのがね、余韻と言えば余韻ですけど、やっぱりそこは結構ツライものがあります。

 

大した重要な役割でも無いけど、ヴィランとしてサイボーグ兵士のリーバーズとか出てたりしたのはマニアックで面白い部分です。90年代のX-MEN邦訳版でも実はリーバーズちょこちょこ出てたんですよね。

 

さて「デッドプール3」ですけど、どうなることやら。
デップーだけにお笑い要素たっぷりでしょうし、ヒュー・ジャックマンウルヴァリンの、完結後のボーナストラック的な感じで楽しめればと期待しましょう。

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