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無敵超人ザンボット3

無敵超人ザンボット3 (サンライズ・ロボット漫画コレクションvol.3)

サンライズ ロボット漫画コレクション Voi.3
漫画:岩田廉太郎
刊:マンガショップ 2011年(連載1977-78)
☆☆☆☆

 

テレビシリーズとは異なる結末のコミカライズ版
初単行本化。
TVアニメの放送と並行して「冒険王」に連載された唯一のコミック版が、連載時の紙面を可能な限り再現したオリジナル版で登場!

 

2011年に発売された「サンライズロボット漫画コレクション」全4巻の中の一つ、「無敵超人ザンボット3」のコミカライズ版。
1巻が割と有名な冒険王コミカライズ版の「機動戦士ガンダム」。
2巻が「ダグラムボトムズ」で、4巻が「ダイターン3」で、
今回のザンボット以外の3冊は全て岡崎優の手によるコミカライズ。

 

冒険王版、岡崎コミカライズのガンダムって、宇宙にズゴックが出てきたり、ギレンの演説中にモニターをぶち壊すアムロとか、そういうネタとして消費されてますけど、そういうリアルじゃ無い部分に突っ込みを入れるとかの見方しか出来ないのはあからさまに素人くさい感じで私は好きじゃないです。アムロの行動は脚本の段階でそういう描写が入っていたと後に研究家が突き止めたりしてましたし、「リアルロボット」的にガチガチに固められた今の視点のガンダムになる以前の感覚が垣間見える面白い素材だと私は思ってます。
言ってしまえば紀元前の歴史というか、宇宙世紀前の時代の貴重な資料というか、そんな感じで。

 

という前置きがあってこその今回の「ザンボット3」です。
オタクなら基礎知識も良いとこですが、知らない人も居るでしょうから一応説明しておくと、その「機動戦士ガンダム」の原点としてガンダムの二作品前にやってた作品で、サンライズオリジナル作品の1作目です。

 

富野由悠季という人を知るには絶対に必要な1本で、私も流石にリアルタイムでは見てませんが、90年代頃だったかな?ビデオ化された時にレンタルで全話見ました。その衝撃たるや、ですね。

 

ガンダムの原点的な」という視点は前提の上で確か見た気がします。
数あるロボットアニメの中の一つとして、ではなく「富野監督作品」として私は見たはず。放送当時の「何も前提が無い状況」というのは私は知らない。

 

そこいくとこの単行本は、当時を知る資料としてなかなかに貴重。岡崎版「ガンダム」はこれ以前にも2度単行本出てましたし、2011年になってから初単行本化というのはなかなか凄い。
「20年目のザンボット3」という名著があって、それも私は読み込みましたが、コミカライズ版の事は触れてましたっけ?押し入れの奥にあるはずですけど、流石にひっぱりだすのは大変。

20年目のザンボット3 (オタク学叢書)

 

で、このコミカライズ。もしかして昔ながらの王道ロボット物的な描き方とかしてるのかな?とか思いながら読んだんですけど、これがねぇ・・・クッソ重い。

 

ああ、これ凄い、ちゃんとザンボット3してるじゃん!って感心してしまった。
パッと見、ちょっと主人公の神勝平君のビジュアルがやんちゃな小僧ではなく、手塚か石森漫画あたりのカッコいい主人公みたいな見た目で、あれ?という感じ。この見た目だったら、のぶ代の声は合わないんじゃないか?と思ったくらい。

 

だからこそヒーロー物的にアレンジされた感じかな?と思いきや、最初の方から、香月君が、お前らが居るから町がメチャメチャになったんだって絡んでくるし、その後からいきなりザンボットと言えばの「人間爆弾」の話に入る。

 

千代錦が出ておらず、その分なのか、宇宙太の弟の和行君の出番が多い。敵に捕まった和行君を助けに行く中で、いきなりブスペアが木っ端みじんに吹っ飛ぶ。いやマジかこれ。ここをちゃんとやったのかコミカライズでも。

 

でもね、アニメの方ではブスペア(作中でそういう呼び方なのでコンプラうんぬんはここではかんべん)って、可愛い方のアキが人間爆弾にされて吹っ飛ぶけど、ミチの方は生き残って最終回で勝平を受け入れてくれるんですよね。見た目はブスかもしれないけれど、彼女がヒロインだった」的な所が面白味ですが、そこをまとめて殺してしまうと。

 

いやコミックはコミックでハードだなぁと思いつつ、終盤最終話前にやはりおじいちゃんおばあちゃんが特攻。これはやはりアニメ通りここから次々と・・・と思いきや!宇宙太、恵子共に勝平と一緒に何とか生還!え?マジか!私ちょっと泣きそうになってしまった。

 

基本、ブッチャーとの戦いのみで、赤騎士青騎士とかの出番も無い上に、ガイゾックの正体、ここもザンボット3のキモであり語り継がれる理由でもあるあの問いかけも無い。でもね、それでも何だろうこの泣けてくる感じ。

 

決して漫画として優れているとかではないんだけど、まさしく「もうひとつのザンボット3」としてこれはメチャメチャアリじゃないかと思った。決して全員が救われるわけじゃない。悲劇に巻き込まれた人達も居たけれど、それでも全滅じゃ無かった、この世界線は救われる人も居る世界線なんだ!と思うとね、グッと来ます。

 

何故かお正月回とかもあって、振袖で可愛い恵子とかも見れたりするし、TVシリーズを見た上でこちらも、という部分では結構面白い作品でした。

 

ザンボットは配信で今は見れるのかな?サンライズ自社の奴なら見れるでしょうけど、他の配信はどうなんでしょう?作画はだいぶ厳しかったりはしますが、それでも何十年経とうと不朽の名作である事に変わりは無いので、見た事無い人は是非「無敵超人ザンボット3」を見よう。

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