著:石ノ森章太郎
刊:小学館 少年サンデーコミックス 全6巻
1988-89(連載1987-88)
☆☆☆☆
「BLACK SUN」ついでに読んで無かったこちらを。
復刻版とかも出たみたいですが、私は数年前に確保して積んでた奴です。
石ノ森版は初代のコミックは確か文庫で読んだ気がする。
TVとは別物というのは知ってましたが、別物でありつつ共通する部分もあって以上に予想してた以上に面白い。
基本は初代の怪奇路線みたいなのを継続した作風っぽいですが、メタ的に正義のヒーローとしての「仮面ライダー」を名乗るシーンがあったり、実際に活躍するシーンは無かったものの、バトルホッパーなんかも出てくるとは。
ゴルゴムも秘密結社でありつつ、破壊と革命を謳う新興宗教的に言われる場面もあったりして、直接ではないけど「ブラックサン」の方にも通じる。
意図された改造手術、賢者の石、信彦との関係とかも、小出しにされて、そんなに深くは掘り下げられないんだけど、そこはTV本編やブラックサンとは全くの別物っていう感じでも無いんだよ~っていうのが良かった。
むしろ、旧ライダーみたいにゴルゴム組織が世界中でそれぞれ活動していて、結構ヤバい感じになってるのは「ゴルゴムのしわざだ!」があながち嘘では無いくらい結構強力な組織だという感じがして、そこはTV本編よりスケール感があるのでは?
丁寧なドラマや社会性なんかも要所要所にあり、そこは流石石ノ森先生です。漫画としてちゃんと読める物になってました。
意外な面白味に感じたのは、タイムスリップ的に未来の自分と出会って魔王になるかもしれないという部分は「ジオウ」だったりするし、神々の遺産みたいな部分は「アギト」だし、本来は関連性の無い別の仮面ライダー作品も、同じ仮面ライダーとしては系譜として繋がる部分があるんだなぁと感じられて、そこが予想外で面白かった。
多分、今の仮面ライダーを支えているメイン層って、見た目のカッコ良さ以上の物は求めて無いんだと思うし、例えばそういう人達がこの漫画を読んでも、1ミリも面白くなかった。ゴミ以下の駄作っていうだけだと思う。毎週の玩具が楽しみで見てるんでしょうし。それはそれでね、好みだと思うし、「平成ライダーなど認めん!」とか私も一切言う気は無いですし、そもそも私はライダーファンではないのですが、こういう本来持っていた作風から、どういう形で今の隆盛に繋がっていったのかとかは時代や社会背景も含めてそれはそれで面白かったりするし興味のある所です。
まだ仮面ライダーは元が石ノ森作品であるだけに、語られてる方だとは思うし、そこに私は面白味は感じますね。
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