SUPER HEROINE BOY
著:ぱらり
刊:実業之日本社 RuelleCOMICS 全3巻(2016-18)
☆☆☆☆
1巻が出た時はこちらの界隈でも結構な話題になってた気がする「スーパーヒロインボーイ」
何時の間にか完結してたんですね。ってか完結で良いのかなこれ?大団円というほどでもないにせよ、キリの良い感じの所まで話は収録されてるし、何より作者御本人のツイッターとかでも全3巻って書いてあるので完結したのは間違いなさそう。
強面のヤンキー高校生が、ふとTVをつけた時にたまたまやっていたプリキュア風の女児向けアニメ「アリス少女隊☆シャイニーハート」にハマってしまい・・・というコメディー物。
こ、こんなの面白くも何ともねぇゼ!絶対に下らない漫画だって証明するために最後まで読んでやったぜ!ほら思った通りつまらねー漫画だったけど次の巻ねーのかよこれ。
という漫画です。
「トクサツガガガ」でもプリキュア風の女児アニメ好きな強面の通称任侠さんというのが出てくるのですが、見た目的には似てますね。一見こういうものとは縁のなさそうな人がハマってしまうというギャップの面白さなのでしょう。いかにもなオタクが女児アニメ見てますよつったって、そういうもんじゃない?程度にしかなんないだろうし。
色々な漫画やアニメ、ドラマなんかでもプリキュア風の女児アニメのパロディーみたいなのは結構ありますが、それは世の中にそれだけ浸透しているという証でもある。
それは「プリキュアシンドローム」という本の中で、初代プロデューサーの鷲尾さんもパロディにされるって知名度があるからこそですから、その手のパロディは怒ると言うより楽しんで見てますよ的な事を言ってました。
ただ、「トクサツガガガ」もそうですけど、ただのパロディーじゃなく、そのファンをテーマにした作品まで生まれてしまうってなかなかか凄い。スターウォーズとかスタートレックのファンを描いた映画とかもありましたし、昔から一応ジャンルとしてはこういうのもあるのはあるんですけども。
1巻の時点では、ファンのあるあるネタみたいな所が中心で、プリオタやってる私的にはやっぱりこそが一番面白いのですが、作者的にはそこだけだと話が続かないと判断したのか、先生の生徒指導の問題とか、3巻の最後のエピソードではオタクとヤンキーの壁みたいなものも描いてたりして、そこから作品全体の落とし所として見た目で判断してしまう危うさみたいなものもきっちり描いてある辺りが割と誠実。
漫画として、物語としてそれなりのテーマみたいなものはあるべき、みたいな考えの人なのかなと感じました。
その辺、何度も例に出して申し訳ないですが「トクサツガガガ」も同じような感じで、ただのあるあるネタパロディーだけでは終わらないぞっていう作りが面白いなと思います。4コマギャグとかならあるあるで済ませられるけど、ストーリー漫画ならそれだけではもたないみたいなのあるんでしょうか?
あるあるネタだけでも十分に面白かったりはするんですけどね。私も、初めてプリキュアの食玩買った時とかはすごくドキドキしたなぁ、とか劇場で子供達のミラクルライトに感動したのとか、やっぱり記憶に残ってますもの。
キャラを増やして恋愛要素を入れてくる辺りはややベタかなと思いつつ、オタク君が深夜アニメとかそっちの方で子供向けは見て無いとか、女児じゃ無くショタっ子が女の子向けアニメ好きだったりとか、面白い視点を入れてくるな的な所もあって、その辺りは一歩踏み込んだものをやってみよう的な感じで面白い。あと先生がヒロインだけじゃなく敵幹部とかもちゃんと好きみたいなのはね、ただのパロディーや茶化すだけなら出てこない設定の気もします。
ジャンルが大きくなる事で出てくるパロディ物ってね、いかにもな表層上だけの素人的なツッコミみたいなのにもなりがちですけど、元々作者がプリキュアとか好きなのか、研究したのかはわかりませんが、ネタマンガとしてはファンもにっこりできる作品になってて素直に面白かったです。
パロディ元としても、こういう奴だとセーラームーンとか魔法少女とごっちゃになってるようなものも多い中、あくまでプリキュアを想定したものというのはプリオタとしても嫌いじゃ無い。
関連記事