僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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アントマン&ワスプ:クアントマニア(MCUその42)

原題:ANTMAN AND THE WASP: QUANTUMANIA
監督:ペイトン・リード
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2023年
☆☆☆★

 

MCU最新作にして、ここからがフェイズ5という括りのようです。
これまでと違って、「アベンジャーズ」で一度集合してというお祭り映画が無かったので、そんなに区切り感は無い印象。
シリーズとしては「アントマン」「アントマン&ワスプ」に続く3作目で、監督は継続してペイトン・リードが担当。特に今作で三部作の締めくくりになりますよ、的なアナウンスはされてないので、まだまだ続く・・・のかな?面白いし好きなシリーズなので、もっともっと見たいです。

 

とは言え!今回は前2作とは大きくカラーが異なる展開に。

 

1作目の時も何気に「アベンジャーズ:エイジオブウルトロン」の後で、そこまでがフェイズ2とされていました。2作目も「インフィニティ・ウォー」でみんなサラサラされちゃった後の次の公開で、どーんと重たいものが来た次の作品としてアントマンシリーズは公開されて来ました。てらさわホーク氏が言う所のお茶漬け映画。もうおなかいっぱいで食べられないよ~の後に、まだサラサラ流しこめるなという感じで、まさにそんな作品。名は体を表すじゃないけれど、超大作のあとの小さい映画なんだけど、そこが逆に魅力、みたいな面白さがありました。

 

今回、ケヴィン・ファイギ社長も言ってますが、今回のアントマンはユニバース全体の中で大きいポジションの作品という事で、過去2本とは大きく毛色が異なる展開に。

 

う~ん、正直言えばここがねぇ・・・個人的には残念でした。
面白かったけど、前2作の路線が好きだっただけに、ガーディアンズとかソーみたいな今まで見た事無い世界を旅する、みたいなのはアントマンの魅力とは違うかなと感じてしまった。勿論、同じ事を何度も繰り返すんじゃなく、変化を選ぶと言うのはとてもMCUらしいとも思うのだけど。

 

続編もの、映画だけじゃ無くゲームとかもそうだと思うんですけど、荒削りだけど魅力のある1作目があって、その魅力をよりブラッシュアップさせて継続し、完成度を高めた事で万人受けして大ヒット。その大ヒットを受けて3作目も作られたけど、今度は何か新しい要素を入れなくてはならなくなってそこで違う物になってしまって、2と同じ面白さを求めた客には不満の声が出る、みたいなの、もう幾度となく過去の歴史は繰り返して来ました。「2」が人気の頂点で、その後は下降線を辿ると言う作品の大半はそういう仕組みで出来てます。

 

今回、ほぼ全編が量子世界の中での話なので、街なかでアントマンが大きくなったり小さくなったりという感じじゃ無いのがちょっと残念ポイントでした。
量子世界の中で大きくなったり小さくなったりって、それどこまで意味あるの?そもそも人知を超えた色々な種族が居るのに、サイズ感が同じだったり、何だったら人間っぽい種族も結構居たりする上に、これみんな言ってるし、恐らくはオマージュ的なものなんでしょうけど、「スターウォーズ」風なのが新鮮味に欠けました。

 

スライム状で「穴が開いてるのうらやましい!」とか言う山口勝平(ええ私は吹き替え版で見てます)声の奴とか居ましたが、ああいうのは凄く面白いのですけど、どうせならあの世界は人間っぽいの無しで、奇妙な生き物だけで統一してほしかった感はあります。

 

ビル・-マーレイも結局あれ何だったのか正直よくわかりませんでしたし(わざわざトラブルも多く気難しい事で有名な俳優を使うまでの人選がよくわからん)面白い所はありつつ、量子世界の世界観の構築みたいな所では上手く行かなかった印象。恐らくは今後この世界を深く掘り下げるような事も無いでしょうし、そういう意味ではもうちょっと何とかならなかったのかという気がします。

 

ああ、「シュレディンガーの猫」状態だけはメチャメチャ良かったんですけど。
あの感じだけで全編は難しいだろうから、クライマックスに持ってきた感じでしょうか?あれって1秒に一人どころか、コンマ00001だろうとそこに可能性は可能性や違いは生まれるはずなので、やっぱり実質無限だと思うんですけど、観測する事で確定するっていうビジュアルは面白かったし、シュレディンガー古今東西よく使われるオタクなら誰でも知ってるスタンダードなネタだと思うんですけど、あの箱の中身をビジュアルで表現したのって私は初めて見た気がする。何かここで面白い作品あったら是非教えてほしいです。確定して無いからドロドロなんだよ的なのは何度か見た気はするんですけど。そんな意味ではあのシーンだけで百億点、あのシーンがあるだけでもこの映画の価値があるとも言えなくはない。

 

とまあ、なんだかネガティブな部分を最初に書いちゃいましたけど、ことキャラクター描写に関してはメチャメチャ最高でしたし、その点に関しては100点です。

 

まず今回の目玉、キャシー・ラングですよ。アントマン1作目のあの小さくて可愛い女の子がね、エンドゲームでの再会があって(俳優さんはこの時と違うのですが)大人になったキャシーの跳ねっ返りっぷり。ああもう大人に近い年齢だし、反抗期もあってちょっと悪ぶったりしてるのかな?とか最初は思わせられるわけですよ。そしたらね、自分は正しい事をしたんだって言うの。社会のルールには反する事かもしれないけど、弱い者いじめなんかほっておけない、正義感の強い子に育ってくれてました。

 

しかもそこってね、単純に子供じみたヒーローへのあこがれとかもあるのかもしれないけど、キャシーは絶対にお父さんの事が大好きで、お父さんがアントマンである事に物凄い誇りを持ってる。過去に犯罪歴があろうと自分のお父さんは世界を救ったアベンジャーなんだって所に凄くこだわる。ここがね、泣けるポイントでしたし、原作のキャシーもね、アベンジャーズマンションで育ったんだから普通の人生なんか私には必要無いとか言っちゃうタイプの娘でね、ああっ凄くキャシー・ラングだって思わせてくれてメッチャ良かったです。最高。しかもCV:高橋李依というのもまた嬉しい。

 

そんなキャシーに対してね、まだ子供でいてほしい(しかも成長期の5年間を一緒に過ごせなかったし)いやでももう大人として扱う頃合いなのかな?でもなぁ、いくつになっても娘は娘だし、みたいなスコットの葛藤がね、また良いんですよ。
私はもうキャシーくらいの子が居てもおかしくない年齢ですが、実際一人身で子供を持つ親の気持ちなんて理解はできないけれど、やっぱりこんな感じなのかな?と思えて何ともこそばゆい感じでした。

 

そしてホープ、彼女も母親との微妙な関係性もありつつ、父ハンク、キャシーと共に自分の力を示したい辺りが面白く、最後にスコットがしんがりとして必死にカーンと戦う中、あんた一人で全部背負う必要なんかないと、万が一またこっちの世界にとじこめられるとか何かあっても自分の家族がまた何とかしてくれると信じてるからと、スコットを助けに戻ってくるホープの強さ。

 

いや最後のあそこね、原作的には「ディスアッセンブルド」展開で、カーンの変異体がアイアンラッドになって「ヤングアベンジャーズ」結成、キャシーが合流して「チルドレンズクルセイド」の流れに行くかこれ!?と思えてヒヤヒヤしました。

 

スタントだろうけど、ガンガンアクションをこなすジャネットに、ここぞという所できちんと存在感を示すハンク・ピムというのも良かった。3世代のアントマンチーム、特にハンクは気難しい人のくせに孫娘のキャシーにデレデレ、みたいなのが凄く良いです。

 

「在り続ける者」として先行でドラマ「ロキ」に出てたカーンですが、なるほどこれは確かにサノスとは違う方向でやっかいな感じ。そして「マルチバースオブマッドネス」に続いてやはりここでも出てきたインカージョンという言葉。やはり「シークレットウォーズ」は原作で言う所の旧作のビヨンダーの方じゃなく、新しい方のマルチバース同士の激突の方の展開のようです。どうなんでしょう?ここから他の作品にちょこちょこ顔を出して行くものなのか、それとも後から黒幕はあの時に描かれてたこいつだよ、程度になるのか気になる所。

 

そして忘れちゃいけないモーッドック。え?お前なの?感はありましたが、まあ元々の原作のモードックにそんな思い入れがあるわけでもないし、ここから流れに流れてAIMに居たりとかも全然出来るでしょうから、問題無いと思います。機械の体なので、絶対に死んではいません。後は他の作品がモードックというキャラを使いたがるかどうか、ぐらい?「キャプテンアメリカ:ニューワールドオーダー」「サンダーボルツ」でワンチャンあるかどうか。

 

そんな感じで、キャラ物としては丁寧で良かったと思います。


ただそこを丁寧に描いた分、テーマ性とか社会・政治とかそういうのは特にはこれといった感じは無かったかも。マーベル、あるいはアメコミ映画の一番面白い部分ですし、私がアメコミ好きなのってやっぱりそういう部分が描かれる所にこそ面白味を感じますので、そういう意味では今回の作品はちょっと弱かった。シリーズ前2作も、決してメッセージ性が強かったわけでもないので、そこはセカンドチャンス的な所や、まさしく今回何度も出た、小さき者を軽く見ちゃいけないよ、というぐらいがアントマン的には丁度良いサイズという気はしますけれど。

 


さて次はドラマがどのタイミングで配信されるか不明ですが、映画としては「ガーディアンズVol.3」です。そっちは明確に3部作最終章とされてますので、覚悟を持って望みたい所です。

 

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