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聖闘士星矢 The Beginning

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ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック 聖闘士星矢 The Beginning

原題:Knights of the Zodiac
監督:トメック・バギンスキー 
原作:車田正美聖闘士星矢
日本映画 2023年
☆☆☆


日本の人気バトル漫画&アニメをハリウッドで実写化!というと、まあ正直見る前から9割の人が残念系映画だと予想してたでしょうけど、個人的には割と楽しみにしてました。
ちょこちょこウチのブログでも「聖闘士星矢」関連作の記事は上げてるので知ってる人は知ってるかと思いますが、私は原作の初期からのファンで、今でも続編やらスピンオフやら続いてるんですけど、割とどれも楽しんでます。

 

ただ、「聖闘士星矢」のファンであると当時に、私はそれなりに映画好きでもあるので、この手の実写映画に原作の再現とかは望んでません。ただの原作再現コスプレ劇にしてしまうと、もっとつまらなくなるのは目に見えてるので、こういうのは映画として原作のエッセンスだけ残して、映画用にアレンジしてしまうのが最良の手だと思ってる方。なので、予告の時点で原作と違うのは全然アリだったんですが、果たしてそれが映画として面白いのかどうかは、やっぱり見てみないと何とも言えないだろうという感じでした。

 

で、実際に足を運んで見てきた結果は・・・う~ん、まあ正直そんなに良い作品とは言い難いものの、好きな所はちょこちょこあって、楽しめはしたかなという感じ。ただ、面白いから見ておいて損は無いよ、とはやっぱり言い難いかな?

 

設定やキャラが違う所はいっぱいあるんだけど、一応は原作の序盤をベースにはしてあって、原作で言うギャラクシアンウォーズ編は無いものの、聖矢が修行でクロスを手に入れて、その後フェニックスと戦うくらいまでの流れを追ってはいる。でも、え?ここを広げるんだ?みたいな変な所を大きくしてあったりアレンジを加えてある辺りはなかなかに興味深い感じでした。

 

意外とストーリーやドラマを掘り下げようみたいな感じでちょっとビックリした。そもそもの「聖闘士星矢」という作品の魅力って、私にとってはそこじゃないんですよね。

 

改めて考えた時に、私にとっての聖矢の魅力の半分以上はやっぱり聖衣(クロス)だったりするのが正直な所かもしれない。
当時の玩具、確か蠍座のゴールドクロスとドラゴンのニュークロスの方を持ってた気がするなぁ。紫龍は一番好きなキャラだったんですけど、何で蠍座買ったんだろう?自分の星座じゃ無いんですよ。ゴールドクロスがどうしても欲しくて玩具屋でそれしか残って無かったんだったかなぁ?特にミロが好きなキャラとかではありませんでしたが、それでも黄金の輝きがやっぱり最高にカッコ良かったんですよね。

 

今のマイスとかEXとかの高級玩具は持ってません。多分、一度手を出すとキリが無さそうだから。牡羊座でムウも好きなので、たまについつい買っちゃいそうになる事はあるんですけども。果たして1体だけで満足出来るのか。「セインティア翔」のラインが好調で続いてたらメイン5人くらい欲しくなってただろうけども。

 

で、そこを考えたら、今回の映画のクロス。リアリティ重視の作りで、ピカピカメッキのクロスっぽいクロスでは無い上に、アニメに近いヘルメット型(私は原作派)なので、そこに関しての魅力は物凄く薄い。

 

アレンジとしての面白さや論理はあるものの、そこに原作と同等の魅力があるかと言えばそこは残念なポイントとしか言えません。

 

古代ローマの鎧の構造に近付けたリアリティ重視のアレンジですが(それでもフェニックスにチャラチャラした羽はぶらさげてたりする)ちゃんとアニメっぽい装着シーンもあったりして、そこは思わず、おおっ!となりました。

 

リアリティを重視して作るって、お話の上でも似たような文法で、あいかにもアニメっぽい、或いはファンタジーっぽい世界観を、最初からそういうものとして割り切って出すのではなく、現実の世界からの地続きとしてこういう世界があったら?という描き方をしている。

 

ただそこ、感じ方は人によって差が出る部分で、作ってる方は勿論、上手く作ってるつもりなんだろうけど、私はそこに違和感があった。

 

いきなりアテナの生まれ変わりとか言われても、はいそうですかとは行かない方向で映画は作られてて、そもそも原作に無い要素でシエナ(アテナ)の育ての親、城戸光政はアルマン城戸という名前で出ており、原作ではよくわからなかった「グラード財団」の方を母親のヴァンダー・グラード(何とあのファムケ・ヤンセンだ)というキャラで設定を補強しており、この二人がアテナの奪い合いをするという話になってる。
原作に無い分、ここが少しわかりにくいなぁというのと、聖矢の人物造形も、姉に拘る部分とアテナを守る部分との感情の動きがちょっと場面場面で揺れ幅が多く、あれ?さっきとまた違う感情になったの?と若干入りにくく感じた。

 

原作でも元々アテナに対する使命感とか持ってたキャラじゃ無いので、そこは原作に合わせたんだろうけど、なんか微妙にわかりにくいキャラになってた感じが。

 

今回、何故か辰巳ポジションのマイロックというキャラが大活躍したりするんだけど、そこは誰か他に先に合流していたセイントとかにした方が良かったのでは?今後の続編で他のブロンズが合流するのかわかりませんけど、多分「聖闘士星矢」って多くの人はブロンズ5人が主人公格っていう認識がほとんどの人だと思うんですけど、そうじゃなく聖矢っていう個人をあくまで主人公として描くんだ、というのがハリウッド流のアレンジのやり方なのかなと感じた。これ日本的な感覚だと、全員集合とまでは行かないまでも辰巳削って他のキャラ出すとこですよねぇ?

 

そんなドラマの丁寧さとかリアリズムとか要らんのに!と不満は沢山あります。


が!


そんな不満点を見事に吹き飛ばす、これだけで十分に見た価値はあったと思わせるシーンもちゃんとありました。


それは魔鈴さんとの修行シーン。
「お前の体もこの石も、全ては原子で出来ている。コスモはその原子を砕く」
的な、原作にもあった説明が出てくる。そして、この修行シーンから非現実的な世界に突入していくんですね。ここがもうメチャメチャワクワクした!

 

魔鈴さんのマスクもそれっぽいし、ちゃんとレオタードじゃなくシルバークロスっぽいものを身につけてたりして、テンションが一気に上がりました。私にとって今回の映画のMVPは間違い無く魔鈴さんです。いや、女性聖闘士ですが、別に原作から好きなキャラとかじゃ無いんですよ。でも原作の世界観に一番近い感じがして、メチャメチャ良かった。

 

うん、最初に「映画は原作の再現ではなく映画単体として面白いものを作るべき」とか言ってるくせにさ、やっぱり原作要素が強い部分についつい反応しちゃうんですよ。
冒頭、いきなりアイオロスVSシュラのゴールドクロス対決から始まるんですよ。シュラはエクスカリバーっぽい技をちゃんとするし。原作の1巻時点では明かされておらず、後になってからわかる部分ですけど、ちゃんとそういうものを冒頭から仕込んでくる。フェニックスも何気に言葉でこそ言わないまでも幻魔拳っぽい技を使ったりする。
いわゆる戦闘員とカシオスがサイボーグ化されてて、雑兵+暗黒聖闘士+鋼鉄聖闘士みたいな不思議なアレンジも、それはそれで面白い部分でした。

 

良い作品だった!と素直には言えないけれど、続編とか楽しみに待ちたい奴だなぁこれ。単純に「聖矢」のスピンオフ展開の一つとして楽しんでるだけなのは否定しませんが。売れなきゃ次は無いパターンでしょうけど、割と世界的な人気はあるコンテンツなので、上手く行けば。

あくまで東映アニメーション主導の企画っぽいし、間違ってプレバンで映画版のクロスを出しても売れる事は無いだろうし、それこそ「ソウルオブゴールド」みたいにバンダイが金を出す玩具主導の企画でないのは難しそうですが次があれば私は見たいです。

 

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