STREET FIGHTER EX \ARIKA-CAPCOM DRAMA CD
原作:ARIKA WEST・CAPCOM
演出:千葉繁
脚本:滝本正至・北野聡士
販売:ポニーキャニオン SCITRON
ドラマCD 1997年
☆☆
―永遠のライバル、リュウとケン 彼等彼らの追い求める
真の光は、どこまでも遠く、輝き続ける―
まだ2Dグラフィックだった時代のストリートファイターシリーズの中で、最初にポリゴン3D化したのが「ストEX」シリーズ。
ゲーム性は2Dスト2のままだったので、後の「スト4」~以降の流れ的には本来はこっちがベースのはずですが、ナンバリングが「EX」というエクストラな感じなので、シリーズ的には外伝的な扱いにされてるのがちょっと不遇な扱いに感じる。
「スト1」のディレクターだった西山さんが、退社してSNKの方の格闘ゲームを立ち上げ、そこから自社のディンプスを立ち上げ、後には「スト4」の開発を担当。
対する実質的な「スト2」の制作者である西谷さんはカプコン退社後自社のアリカを設立。そこで初のポリゴンストリートファイター「ストEX」を作る。そっから更にストEXの中のスト2キャラを除いたアリカ側で作ったキャラで「ファイティングレイヤー」に派生という流れだったはず。この辺の流れ結構面白いですよね。
確か最初からPS1基盤で作ってたはずなので、業務用にしてはグラフィックがショボイとか言われてた印象ですが、ゲームスピードが遅い分、さし合いとかかけひきが分かりやすくて私は凄く好きなタイトルでした。このゲームスピードなら投げキャラが使えると思って、ザンギエフ使い始めた思い出があります。家庭用とかで遊びでやる分には投げキャラも使ってたけど、やっぱり難しくてメインにはならなかった中で、これのザンギは凄く使いやすくて結構ブイブイ言わしてた気がします。
移植版の「EX+α」も当時にしてはトレーニングモードに力が入ってて、ただのコマンド練習とかじゃなく、特定のコンボ練習とかも出来たんですよね。
私は昔から見た目だけに囚われてる奴は素人だぜ!的な事を言いがちな人だったので、このゲーム、メチャメチャ好きなタイトルの一つでした。
で、そのドラマCD版。
確かEXの時系列はスト2と同じくらいだったはず(前後の「ゼロ」と「3」みたいには別時代的な感じじゃ無い)
というかタイトルにもドラマCDって入ってるけど・・・実際はラジオ放送されたインタラクティブドラマだったぽい。いや別にそれがドラマCD(サウンドドラマ)じゃないって言いたいわけではないんだけど、一つの大きい流れの話でもなければ、いくつかのストーリーを集めたオムニバス集でもなく、1話目の結末から分岐する話を、どちらのルートも普通に両方収録してある。
ラジオ放送の時にね、視聴者の投票でAルートかBルートのどちらか投票の多かった方を次回は放送します、ってのを何度かやったようです。
そこをCDでは調整・編集して一つの話にしてあるわけでもなく、ナレーションとかでAルートはトラック2を、Bルートはトラック3を再生してね的な感じで疑似的に再現してるわけでもなく、ただ音源を全パターン収録。
適当にこの手のを安く買い集めてるだけで、内容とかは把握しないままカーステレオで長距離移動中に聴いてたものですから、あれ?さっきのトラックに戻った?ん?同じ話のようで違う?え?今度はまた時間戻った?何だこれ?とか混乱してしまった。
で、ライナーノートを確認してみたら、そういうものだったんだと。
なるほど、ルートによって戦う相手が変わってくるので、このキャラが見たい(聴きたい)場合はこっちのA、また別のキャラが良かったらBを、みたいな仕掛けだったっぽい。
あ、言い忘れましたが今回のドラマの主人公はケンです。
実際にどれが放送されたかとかは書いてないですが、それ考えると放送されたストーリーには登場すらしなかったキャラとかも居るのか。なかなか酷な事をするなという反面、こうしてCDで日の目を見れて良かったね、という感じでしょうか。
キャストは
ケン 岩永哲哉
リュウ 石塚 堅
イライザ 川村万梨阿
春麗 宮村優子
ほくと 天野由梨
カイリ 塩沢兼人
ガイル 玄田哲章
ドクトリン・ダーク 高木 渉
スカロマニア 二又一成
プルムプルナ 坂本千夏
ベガ 西村知道
ナレーション 大塚明夫
という感じになってる。ゲーム版と同じかな?
意外とこの時期の作品はシリーズやナンバリング、メディアによって声優さんがあまり統一されておらず、様々なバージョンがある印象。そこを毎回声違って嫌だなと思うか、色々楽しめるぜと思うかどうかはまあその人しだいってとこでしょうか。私は気持ち的には統一して欲しい派ではあるけど、こういうのはこういうので面白味かなとも思うので。
話的には全米格闘大会で優勝したケンだったが、どこか自分でも物足りなさを感じていた。捜査でガイルの所に行く前に、ケンの所に立ち寄った春麗はあなた弱くなったわね、と自分でも感じていた痛い所をつかれてしまう。
迷いを断ち切るために、リュウの修行している日本へ旅立とうとするのだが、春麗を狙ってドクトリン・ダークの魔の手が迫っていた、みたいな感じ。
春麗を助けるルートを選べばそのままガイルも登場。今の自分が出来ることはそこじゃないと日本に飛べばカイリやほくと、という感じ。
カイリ、塩沢さんとそっくりな声だなぁと思ったらご本人でした。まだ御存命の頃だったのかと少し寂しくなりました。
そしてドクトリンダークがまさかの高木渡。ふざけた演技もアドリブも一切無しでクッソシリアスにやってるだけで、え?高木さんなのこれ?と思ってしまった。今だとイメージに合わない感じで真面目でシリアスな高木さんなんて物凄く貴重でした。
元がラジオ放送されたインタラクティブドラマって事で風変わりな変化球の1枚。
関連記事