GIRLS und PANZER
原作:ガールズ&パンツァー製作委員会
漫画:才谷屋龍一
刊:KADOKAWA メディアファクトリー
MFコミックスフラッパーシリーズ 全2巻(2015)
☆☆☆
ガルパンTVシリーズ本編の方のコミカライズ(全4巻)を担当した才谷屋龍一によるスピンオフ作。
時系列的には最初の練習試合の聖グロリアーナ戦と全国大会の間の話で、全国大会の前に実はもう一試合練習試合をしてたんですよ、という設定。
対戦相手のマジノ女学院、エクレール、フォンデュ、ガレットといったキャラクター名で、どこモチーフの学校?フランスっぽいけど、フランスはもうBC自由学園があるし、でも最終章より前に描かれた作品だから、もしかして設定かぶって無かった事にされた?とか思いつつも、調べてみるとBCは同じフランスモチーフでもこのマジノの分校という扱いになっていて、そもそもTVシリーズでもトーナメント表にちゃんとマジノの名前は入っていた様子。
TVシリーズだと1回戦であのアンツィオに敗北。最終章の方だと黒森峰に1回戦で敗れてる学校のようです。基本的に強豪校という感じでは無い。
なので初期大洗とはお互いに丁度良い相手という感じ。
面白いのは大洗側だけでなく、マジノ側のドラマを丁寧に描いていて、新しく隊長に就任したエクレールさんが、これまでの校風の待ちの作戦から攻めのスタイルに変えていきたい、みたいな話を全編通して丁寧に入れてくる。
これね、今だからこその視点ですが、最終章の作風に近いのが面白い部分だなと。TVシリーズだと新鋭の弱小チームが古参の強豪を打ち破っていくというのが面白味だったわけですが、そこで優勝、劇場版での戦いを経て、次の大会では優勝校の大洗を相手チームがどう崩して行くかみたいな風に作風というか視点がまた少し違ってたりする。1回戦BC自由学園にしても、2回戦の知波単学園にしても、王者大洗を倒すために、主人公チームよりも敵側の方の成長とかを丁寧に描いてました。
それは劇場版の大学生チームとか、より強大な存在を出すのではなく、未知の強豪では無く今ある設定の中で違う部分に光を当てていく、という作りでした。
今回も劇中設定こそ、TV初期の時間軸ですがTVシリーズのコミカライズが終わった後に描かれた話なので、それこそOVAアンツィオ戦みたいな感覚だったんじゃないかと。
1回戦前なので、まだチーム名もついていないABCDチーム呼びの時期。と言うことは、後から追加で入った、生徒会カモさん、自動車部レオポンさん、ネトゲアリクイさんチームらの出番が無い。(それも寂しいからか、各話の表紙絵でのみ描かれたりはしてたけど)
大洗側の成長も物語上どうしても描きたかったのか、終盤は1年生ウサギさんチームが結構良い働きをしたり、生徒会カメさんチーム、何と桃ちゃんがここで初撃破を達成してたりと、わかるけどTVシリーズに繋げるにはやりすぎなんでないかい?みたいな部分はちょっと気になった。
歴女カバさんチームは戦車のスペックが大洗内では高い方なので、そこを生かす展開にはなるものの、バレー部アヒルさんチームは目立った活躍が描かれない等、そこは多少の格差も感じられる。
まあでも、ガルパンのコミックは以前グルメ物になってた継続高校のやつだけ読んだ事あるけど、普通に戦車戦のあるやつ今回初めて読みましたが、映像的な迫力とかは無くとも、ガルパンの作風でもあるロジックのちゃんとある作戦とかそういうのはきちんと再現していて、思った以上に楽しめました。
どこだったかのインタビューで、みほ役の渕上さんが、エリカ最初嫌いだったんだけど、漫画版を読んだらエリカなりの立場や気持ちがそこで初めて理解出来て、そこからエリカの事好きになったんだよね的な事をおっしゃっていて、なるほどそういうのもあるのかと。
漫画版もガルパンは山ほどありすぎて、どこから手をつけたら良いのやらって感じですが、少しづつ掘っていけたらなとは思う。
関連記事