僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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エイリアン:ロムルス

www.youtube.com原題:ALIEN:ROMLUS
監督・共同脚本:フェデ・アルバレス
脚本:ロド・サヤゲス
アメリカ映画 2024年
☆☆☆★

 

エイリアンシリーズ7作目。
今回は時間軸上は「1」と「2」の間とされているが、設定的に多少の繋がりがあるだけで、基本的には何かの続きでも何かの前章とかではなく単独で完結してる話なので、そこはあまり気にする必要無し。

 

監督は2016年に「ドント・ブリーズ」をヒットさせたフェデ・アルバレスと脚本のロド・サヤゲス。目の見えない老人の家に盗みに入った若者が、とんでもない目に会うというサスペンスホラー映画でしたが、今回もそのセンスを露骨に生かしたシーンがあったりと、若手監督が低予算ホラーをヒットさせた実績を買われて大作フランチャイズシリーズに抜擢、という近年よくある流れ。

 

フェイズハガーは目が見えないから音で感知する、音を出さずに移動しろってシーンがモロにドント・ブリーズな感じでしたが、若者が盗みに入って・・・みたいな流れ自体も考えてみれば似たような話だなと。

 

主人公側の6人かな?ここの説明が長く、いわゆる3幕構成の第1幕の説明部分で、話が動くまでに30分くらいかかるので、そこがちょっとタルイ印象。いわゆる労働者階級で、働いても働いても先が見えずにこのまま自分達は使い捨てられるだけの人生なのか?一攫千金、あるいは革命でも起こして世の中を変えなければ幸せなんて自分達には無い、という感じの閉塞感は今の時代の象徴なのかなという気はした。

 

いや~、でもね、私はおっさんだからというのもあるんでしょうけど、ぶっちゃけこういう若者集団みたいなのは、凄く感情移入しづらい。私自身は決して富裕層とかじゃないんですよ、同じくこの時代の閉塞感にうんざりしてる方なので、感情移入とまでは行かなくとも、多少の親近感や肩入れしそうなものなんですけど、なんか今回は軽薄感なのか、凄く入りにくい印象。

 

過去のシリーズでも、メイン所は科学者とかが多かったですが、労働者とかも居たはずですし、基本的には大人の集団だった中で、今回は労働者ではあるけど少年少女感が強くて、何これティーンエイジャー向けのエイリアンなのか?と困惑してしまった。

で、それが結果としてなんですけど多分狙いとしてはそこだったんだろうなと。

 

1と2の間の話という事でしたし、その辺に関連するものも多少は触れられたりするものなのか?と思ったら、これがガッツリ出てきてビビりました。
「プロメテウス」と「コヴェナント」でも同型の外見を持つアンドロイドが出てましたが、まさかの1の時と同型。あのやられっぷりから最初は同一個体かと錯覚しそうになりましたが、あくまで同型であって別の個体。

 

おお~、独立した作品かと思ったら、ガッツリ旧シリーズ拾ってくるじゃないかと、そこはワクワクしました。そんな風に思いながら見てると、あれこれどっかで見たようなシーン?というのが続出。っていうか君はニューボーン君じゃないのか!?という、「4」まで含めた美味しいとこどりみたいな、コピー映画に思えてきた。

 

いや、無重力下での電流イライラ棒みたいな、見た事のない新しいシーンもあるにはあるんですよ。でも前作「コヴェナント」の感想で私が書いたような、話やテーマとは関係無く、エイリアンシリーズらしいアクションパートも外注で投げて無理矢理の見せ場として入れておきました感があったのに対して、今回はアクションシーンを物語の軸にして、過去シリーズ全部てんこもりにしてリミックスしました!みたいな作り。

 

シリーズ好きなファンへの目配せ的な感じで、これは監督の意図とは恐らく違う個人的なこれ最高シーンですが、電動パルスガンが私的には物凄くツボでした。
いや私昔アーケードであったカプコン版「エイリアンVSプレデター」が好きでね、リン・クロサワで1コインクリアするまでやりこみました。あれって結構パルスガン重要なんですよ。他のキャラと違ってリンは火力が低いので、敵が落とすパルスガンを同じの何個も重ねて拾って弾薬を増やして、何ステージのボスかは忘れたけど、1体はその拾ってまとめたパルスガンだけで瞬殺できたはず。そんなんを思いだしてしまって、内心ニンマリでした。そうそう、生き残るにはパルスガンを上手く使うのがコツなんだよって。

 

そんなね、お!「1」とつながった!ここ「2」っぽくね?え~「4」これじゃん!と言う事はあの辺は「3」のオマージュだったのか?わざわざ本来の意味での「プロメテウスの火」とかも言わせてるし、これはシリーズ全てを上手く活かしてリミックスしたリブート作品なんですよ、って言われてる気がしてきた。

 

凄く上手く出来てるじゃん!と思った半面、上手く出来過ぎていて、この作品で主張したかった事って何なの?エイリアンシリーズ好きで全作リスペクトしましたってのは伝わったけど、じゃああなたの創造性って何?っていう。

 

それこそエイリアンの生みの親であるリドリー・スコットが「プロメテウス」では大衆が求めるものに背を向けて、創造する・クリエイトするっていうのはこういう事なんだよ!と偉そうに講釈を垂れたら、いや俺らが見たいのはそういう事じゃないし、と露骨に離れて行ったけど、私的にはリドリーの考え方の方を支持したいし、駄作とされた3や4だって、それぞれの監督が自分の考えた新しいものをやろうとしたけど、結果として上手く行かなかった、でもその挑戦する姿は美しいし正しいと思う。
今は「感動ポルノ」なんて言葉があるけど、大多数の大衆が望んでいるものをそのままお出しする、言わば今回はただの「エイリアンポルノ」じゃないの?っていう気がしてきた。

 

リドリー・スコットが「プロメテウス」でやったのは、エイリアンじゃなくアンドロイドの方の掘り下げでした。そこは正直、シリーズ的には筋違いなのでは?という気はしないまでも、作られた存在が創造主さえ踏み越えていく所に「エイリアン」と共通するテーマを持たせていた。

 

今回の「ロムルス」のストーリーの軸となる、アンドロイドのアンディ。デヴィッドに肩入れしまくってたリドリー・スコットなら絶対こんなアンドロイド描き方はしないだろうなと思った。人間のパートナー?機械なんて何考えてるかわかんねーから面白いんだよ、っていう。

 

って、あれ?


いや待てよ。

 

私も凄く古い考えなので、機械なんて信じるわけねーじゃん!AI?そんな得体のしれないもん使うか!機械はあくまで道具以上の物にはならない。みたいな考えの人です。

でもね~今のデジタルキッズはそうじゃないじゃないですか。AIも普通に使いこなして、消しゴムマジックで本人も消してしまう。
私はお昼休みにスマホとにらめっこしてる人が嫌いなんです。お前らみたいな頭悪い奴と一緒にされてたまるか!と言ってアナログな本を読むタイプ。いや~老害もいいとこですよね。まあこの辺は自己満足を自覚した上でやってるだけなので、もっと頭悪いじゃんか!って笑ってもらって全然構わないのですが(私らが世代を超えようとしたように、今の世代には私らを超えてほしいし)、今回の主人公のレインを始めとして、私が最初に感じたとおりキッズ達には感情移入しにくいなぁ、というのも、それはそれで意図的なものだったんじゃないかなと思えてきた。

 

過去シリーズ全部リスペクト的な事をやっているのは、そこにしがみついているんじゃなくて、過去の歴史をまとめて、今回で初めて「エイリアン」という映画に触れる人向けにシリーズの面白いとこどり、総集編やリミックス感覚で作られたのでは?と考えると結構腑に落ちるし、そりゃあ40年前の映画を見てみようと思う若者なんて、きっと1%も居ないはず。

 

そういう意味では「ガンダム」と同じで、40年前の初代なんかいきなり見てみようと思うティーンエイジャーは少ないだろうし、老害に何を言われても構わないので、今の若者向けに徹底的にチューニングしましたっていう「水星の魔女」を作るのと同じような事なのかなと。

 

今の人が初めて触れる「エイリアン」として作ったと言われたら、なるほどこれはこれでと納得出来る。

 

それこそ「エヴァンゲリオン」の時から言われてる、過去作の引用だけで作られてる二次創作で、本当の創造性や作家性が無いんじゃないのか?みたいな感じで、リドリー先生に言わせればこんなの創造じゃないよって感じなのかもしれないけど、今の世代は今の世代なりの生き方や感覚って当然あるわけで、そこに理解も示さない老害はそれはそれで問題なんじゃないの?

 

私らは利益追求で使い捨てられるだけの人生なんか嫌だよ、AI(アンドロイド)と共に歩める道を探すから、たとえそれが先の見えない困難な茨の道だったとしても、お前らが作った未来の見えない道よりいくらかは希望が見える先に進む事にします、という感じの作品だったんじゃないかと思います。

という感想を若い人から聞きたい。お前ら老害は分かってねぇんだよ、今の感覚ってのはこうだ、という我々を黙らせてくれるくらいのロジックを確立させて欲しいと願います。

 

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