僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ♡ゲームの世界で大冒険!

www.youtube.comWonderfulPrecure! The Movie
監督:宮原直樹 
脚本:加藤陽一
日本映画 2024年
☆☆☆☆★

プリキュア映画33作目。
TVシリーズ21作目「わんだふるぷりきゅあ!」劇場用映画。

 

今回は「ひろがるスカイ!プリキュア」「魔法つかいプリキュア!」の登場も最初から公開されてる情報で出てましたし、今回限りの例になるかは不明なものの、おそらくはコロナ禍以降の春のオールスターズ映画枠の消滅の為、或いは20周年と言う節目を迎えた流れの次のやり方を試行錯誤している段階なのだと思われる。

 

監督はイベント用3D映像『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』や映画プリアラの時の同時上映3D短編『Petit(プチ)☆ドリームスターズ!レッツ・ラ・クッキン?ショータイム!』の監督の宮原直樹。私見てないけど映画「ポッピンQ」もこの人だったんですね。知らなかったので、せっかくですしそのうち見てみよう。

 

TVシリーズの演出や監督じゃなく、東映のCG部門でEDとかに関わってる人。そういう意味ではゴープリ映画の中の1本「プリキュアとレフィのワンダーナイト」以降「ドリームスターズ」「オールスターズメモリーズ」をやった宮本監督とキャリア的には通じる部分があるかも。ドリームスターズと同じく、世界観(今回はゲームの世界)が変わると、セル風の通常のアニメと3DCGの画に置き換わるというのも共通する部分でした。

 

このルックの部分にこだわるというのが、何気に作風として物凄く大きい要素。去年の「オールスターズF」、プリキュアって何?とまあ哲学じみた事を作中でやってましたが、多数のシリーズに参加して、当人もプリキュアオタクな田中監督らしいテーマとも言えるわけで、CG部門に居る人なら、物語性とかより、どういう動きで視聴者は驚いたり喜んだりしてくれるだろうか?みたいな事を常に考えてる仕事。

 

それが意図したものなのかはわかりませんが、カラーとして凄く出てました。こむぎがただ走り回るだけで、これがもうメチャメチャ可愛いのです。

 

プリキュアってね、私らみたいなオタクも多いですが当然メインターゲットは小さい女の子。商業上のマーケティングでは未就学児がメインなのです。子供向け作品の基本らしいですが、話は理解できてなくても、見て楽しい映像という所に気をつけて作ってるので、動きや表情で面白さを表現。可愛い主人公でさえ変顔にしてしまうのはそう言う所から来てる作風と言うか演出のテクニックです。

 

で、これまで何度も私は書いてきてますが、じゃあ話やテーマなんか伝わらないターゲットに対して、何であんなに意識高い系の話をプリキュアはやってんのよ?それっておかしくない?と思うのは当然だと思うんですが、その伝わらなくても伝えようとする葛藤、伝えたいと思う願いみたいなとこがね、まさしくクリエイターの意識が詰まってるとこで、そこが面白い部分だし、一般向けや深夜のオタク向けともまたちょっと違うプリキュアならではの、プリキュアの持つ独特の面白さなんだよと言うのは、私は何度でも言いたい。

 

で、そんなクリエイターの意識するものが、自然に「見た目の面白さ」に重きを置く作りになってるのが、まさしく今回の映画で、正直予想してたものの10倍良かった。プリキュア映画の傑作がまた一つ誕生したなという感じでした。

 

わんぷりのTVシリーズ見てて思うのは(ゴメンなさいTVシリーズの各話感想とかは書いてないです)一応はプリキュア全員が主人公ではあるんだろうけど、センターはこむぎ/キュアワンダフルじゃないですか。ただやっぱり犬なので、活躍はするものの、お話を進めるに当たっては、どうしてもいろは/キュアフレンディの方が主人公っぽい立ち位置になるのはちょっと気になってて、いや私はいろは押しなのでそこに不満があるとかじゃないんだけど、こむぎを主人公として立たせるって結構難しいんだなと。TVシリーズはそんな風に思いながら見てます。

 

で、そしたらね、この映画ですよ。
純度100%でこむぎを主人公として成立させてるの。
あ、これ凄いって素直に思いました。

 

で、そこはやっぱCG部門の人だから、見た目の面白さを重視して作ってるし、TV版のEDもちゃんと流したり、得意分野をきっちり生かしてて凄いなと。

 

しかもそこからですよ。ルックの面白さだけで走りきるのかと思ったら、ちゃんとこむぎを主役として成立させて、ちょっと泣けると言うか、いや私は号泣したんだけど、こむぎの全力疾走とセリフとフレンドリング(今回のミラクルライト枠)とをきっちり生かして、物凄いエモーショナルなシーンを演出してました。

 

こむぎ役の長縄さんもプロモーションでしゃべってるから大丈夫だと思うけど、こむぎが「いろはといっしょにおばあちゃんになる」的な事を言うんですよ。

 

いやね、大人は色々知ってるじゃないですか。動物の平均年齢とかも。私も愛猫とお別れした経験もあるし、やっぱりそこは今思い出してもつらいです。

 

でもそんな実際問題がどうの、とかじゃないんですよ。そんな世知辛い現実を知る前のまだ純粋さ100%なのがプリキュアなの。

ボーカルアルバムの時の感想でも書いたけど、現実は上手く行く事ばかりじゃないよね、みたいな気付きも大人に成長するには重要な事なんだけど、そんな通過儀礼プリキュアには似合わないし、子供達が将来に夢や希望を持てるようにしてあげたいという願いがそこにある。

 

ゴメン、悟君は勉強熱心だから動物の平均寿命とかは知ってるだろうし、いろはも家がああいう仕事で、もしかして経験上それなりに知ってるかもしれない。でもね、こむぎはまだ純粋なの。そんなのまだ知らなくていいし、純度100%の気持ちでおばあちゃんになるまでいろはと一緒に居るんだっていう心の叫びにね、涙せずにはいられませんでした。

 

実は10周年の「ハピネスチャージ」で現実は上手く行く事ばかりじゃないよっていうのを描いたりしてたのですが(まさに10周年という成熟がそこにあった)やっぱりそいう作風はプリキュアじゃ無いなと感じたのか、その次からは夢を叶える方向にシフトチェンジした当たりの流れもまた面白かったりするのですがそれはまた別の話。

いや、20周年の「オールスターズF」で集大成的な事をやった次に、犬が主人公という新しい挑戦をした事で描けた純度と捉えれば、この流れにも何気に意味は見いだせるかもしれない。

 

とにかく、こむぎをセンターにきちんと置いて描き切ったという所はこの作品の誠実さだと思うし、そこもまた純度の高さだったように思う。

 

そこと比べたらね、不純とは言わないですし、それこそ見てる人を少しでも楽しませたいというサービス精神の表れなんでしょうけど、「ひろプリ」「まほプリ」はやっぱりおまけ感があって、特にラストのアクションシーンなんかは正直とってつけた感がありました。

 

ひろプリは当然バトンタッチ要素ですし、まほプリは2のプロモーションですよね。いや、出してくれるのは涙が出るほど嬉しいのよ。見ていて決してネガティブな感情なんか無いですし、モフルンの活躍とか頑張って見せ場を作ってくれてて凄いなとは思いつつ、こむぎの気持ちっていうメインの軸があまりにも良すぎてね、それと比べたらおまけみたいなもの、って感じてしまうという。


大福とさとる君も同様。メッチャ楽しかったけど、話題性や賑やかし要素の一つという感じでしょうか。

 

ストーリー的にも、それこそ映画ゴープリのパンプルル姫以来のざーさんがゲストでしたが、ボスキャラ的立ち位置のムジナ。お話的には、また会おうって約束したのに人間が裏切った的な感じで、本物のタヌキの方が怒ったりするのが普通の流れかなと思うのですが、そこじゃなくゲームキャラが暴走したっていうのはちょっと変な流れに感じました。

 

とまあ不満もゼロでは無いんですけど、それ以上に良い部分が沢山あって満足度は物凄く高い映画でした。

 

残念というか、世知辛い世の中要素というか、ゲームがモチーフで、手元のモニター付きのスイッチっぽい奴で(悟君だけはノートPCでしたが)みんなゲームやってましたが(ひろプリはあげはさん、まほプリはみらいちゃんのをみんなでという感じ)実際「わんぷり」のゲームって出て無いんだよねぇ?去年のひろプリの時に、数年ぶりにプリキュアゲーお馴染みのミニゲーム集の奴出てましたが、昔は毎年出てたんですよね。(確かゴープリまでで止まったんだっけ?)
子供達はゲームが好き、というのは今も変わらずあると思うんだけど、もうそこの界隈からはプリキュアってはじかれちゃってるんですよね。それなのに映画のモチーフがゲームという所にアンバランスさを感じざるを得ない。

 

ミニゲーム集で全然構わないので、短いストーリーでもつけてオールスターズとは言わないまでも、3世代引き継ぎの春映画の変わりになるものでも作ったらどうですかね?私は欲しいぞ。ついでに「きゅあぱず」の復刻版でもつけてくれたら。

 

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