MOBILE SUIT GUNDAM SILHOUETTE FORMULA91
原案:矢立肇・富野由悠季
作画:やすだひろし
発行:メディアワークス
発売:主婦の友社
DENGEKICOMICS GUNDAM COMIC SERIES 1996年 全1巻
☆☆★
「フォーミュラ戦記0122」に続いて今度は「シルエットフォーミュラ」を。
ぶっちゃけ、GジェネFで再現されてたラストバトルくらいしか内容は憶えて無い。
物語としては「F90」と同じく映画「F91」のプロローグ的な位置ながら、商品展開上は大ヒットにまでは至らなかったF91のその後をフォローする感じで展開したプラモ用の企画作品。F91のMSV的な立ち位置(正確にはF91-MSVはそれ単体でもあるけども)
これまでのガンダムタイプMSを作り続けてきたアナハイム・エレクトロニクス社が、小型MSのコンペで新興のサナリィに敗北。小型MSのフォーミュラナンバーシリーズが連邦の正式採用機となってしまう。
ライバル社となったサナリィの「F91」のデータを自社で解読して、アナハイム版ガンダムF91、型式番号RXF91として通称シルエットガンダムをロールアウト。そんな新型機のテスト実験から物語はスタート。
本家「F91」の影に存在したもう一つの「裏F91」とでも言うべき機体。
・・・という設定はメチャメチャ面白そうながら、それはあくまで設定であって、コミックの中ではそこってほとんど触れられて無いんですね。
ライバル社のデータを非合法な手段で手に入れたんじゃないか的な感じのセリフで一言触れるくらいで、基本的には普通の新型MS新型ガンダムのテストですよ、ぐらいの感じで漫画内では描かれる。
そんな中、開戦前に同じくMSのテストをしていたクロスボーン・バンガード軍と接触。何度目かの接触の際、母艦にダメージを受け、修復の為近くの廃棄コロニーに逃げ込む。すると、そこには少人数ながら非合法の居住者が存在していた。
上層部に報告し、救援を待っていると、現れた連邦はコロニー住民に攻撃を始める。救助に現れたと思った主人公トキオの元上官バズ・ガレムソンは裏では殲滅者(アニヒレーター)と呼ばれる存在だった。
トキオは住民を守る為、ガレムソンの船に積まれていたネオガンダム1号機に搭乗。ガレムソンのネオガンダム2号機と対峙する。
何とか事態を収拾した直後、クロスボーンバンガード軍が決起するのだった(映画「F91」に続く)
というのがおおまかな話の流れ。
そうか、トキオ・ランドール君はこの短い話でシルエットガンダムからネオガンダムに乗り換えしてたんですね。で、余ったシルエットの方にはレイラが乗る。
「F90」と同じくテストパイロットながら、トキオは正規の連邦軍人だったというのも全然憶えて無かった。F90の時も、自分はあくまでテストパイロットであって軍人じゃ無い、戦争や人殺しなんて出来ないよというよくあるパターンは、今回は同僚のハーディガンの方のパイロット、ケビンがその役割。自分は戦争なんかやってるつもりはない、だから人を殺す事に躊躇するっていうのは、一般的な読者の倫理観との共感を生みやすい半面、お話的には毎度おなじみの巻き込まれ型のパターンになってしまいがち。
そこいくとトキオの方は正規の軍人として、今後の同年代の展開の中でも生かしやすいのでは?
「F90FF」でガレムソンのこれより前の若い頃が描かれてましたけど、トキオの上官だった時とか、この時系列の後でも多分普通に出てこれるキャラだ。
F91のコピー機みたいな存在のシルエットガンダムがあって、そこをベースにしてサナリィを上回る新しいガンダムを作ろうとしてたというのがまさしくそんな名前の
ネオガンダムですよね。
多分ですけど、ガレムソンの方のチームがネオガンダムの開発部門だったとかではなくて、表向きは戦争の無い時代に、ジオン残党狩りとかをしてたのがガレムソン側なので、実戦の機会なんて貴重だから、そこでテストも兼ねて最新鋭のネオガンダムを是非使って下さい的な流れなんじゃないかなと勝手に推測。
ってああ「F91プリクエル」にもネオガンダム出てきたんだっけ?そこはどんな描写だったかなぁ?基本的に単行本派なので、ダムAは本誌の時点では流し読みみたいな感じなんですよね私。ガレムソンとジレが繋がってたって部分かな?
「プリクエル」の連載は終了したけど最終巻がまだ出て無い(連載終了と同月に最終巻が最近はほとんどなので珍しい)けど、普通に考えれば準備が出来次第そのまま「F91」本編コミカライズに入るはず。安彦さんが今更F91なんか絶対にやるわけないですし。
期待したいのはやっぱりその後、映画終了直後から戦争終結までの話あまり長くは続かずその後は終戦への道筋程度なのかもしれませんが、ドレルが残ってるし修復されたF91と、連邦からの援軍としてシルエットガンダムでトキオが参戦するとか見たくないですか?サナリィ製・光のF91とアナハイム製・影のF91が並び立つ!とかを期待してしまう。
ネオガンダムは・・・コアファイターガンダムとしてクラスターガンダムと裏表の関係だよねそこは。むしろそれこそ「F90クラスター」でやってくれそうかも。
戦争したくないテストパイロットでもなければ、巻き込まれただけの民間人でも無く、トキオ・ランドールは正規の軍人ってのは今後他の作品に出演する時の強みじゃないでしょうか。
トキオらのブレイウッド側
ガレムソンらのエイジャックス側、
レイラらのコロニー住民
クロスボーン側のダークタイガー隊
と物語に出てくる主な陣営が、どこも歴史の影に存在した者達みたいな形なので、地味というか、普通に考えれば光と闇が交錯しなければドラマチックにならないと思うんだけど、それをやらないのでドラマとしてもテーマとしてもこれといって面白味のない作品になってしまっている。
MSV系なんて設定とデザインが良ければ売れるでしょ、ストーリーなんておまけだよと言ってしまえばそれまでですが、まあ多分シルエットフォーミュラ系は結果として当時はさほど売れてはいないはず。
コミックとしては見た目的にクロボンとかダブルフェイクなんかと比べたらアクが強くない分、万人向けでサラッとしてる印象ですが、それが面白さに繋がるかと言うとね、とりたて語る部分もあんまりないかなぁという。
その分、「F90クラスター」での扱い方には注目。
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