IRON MAN 2020:ROBOT REVOLUTION
著:ダン・スロット、クリストス・ゲージ(作)
ピート・ウッズ(画)
訳:石川裕人
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2024年
収録:IRON MAN 2020 Vol.2 #1-6(2020)
☆☆★
ロボットが人類に
宣戦布告
アイアンマンはどっちの味方だ!?
シビル・ウォーIIの戦いで昏睡状態に陥ったトニー・スタークは、複製した自身の肉体に精神を移植し、復活を果たす。
しかし、やがて彼は自分はオリジナルのトニーのシミュレーションに過ぎないのではないかとの疑念を抱き、苦悩するようになる...。
一方でトニーの義理の兄アルノは、現在のトニーの肉体は、アルノの会社の施設を利用して造られた以上、自社の所有物であると主張。
アイアンマン・アーマーを含むトニーの全てを奪い取った! こうしてアルノが新たなアイアンマンを名乗る一方、全てを失ったトニーは何処かへと行方をくらますのだが...!?
トニー・スタークと兄アルノの対立を軸に、
人間とは何か、A.I.とは何かを問いかける話題作が登場!
「インビンシブル・アイアンマン」シリーズの直接の続きでは無いものの、トニー・スタークはハワード・スタークの実子ではなく養子だった、瀕死の重傷を負い、肉体を代替細胞で再構成したものに精神を移し復活、みたいなバックボーンの流れの上での話なので、続きと言えば続きとも言える。
実質的な主役と言うか、お話の軸となるのはアイアンマン2020ことアルノ・スタークの方。
そもそものアイアンマン2020は、1984年のマシーンマン(星雲仮面にあらず)に登場していた、悪に染まった未来のアイアンマンというキャラクターだった。
そう、当時にしてみれば、35年先の未来で、あくまで遠い未来と設定されていたもので、後年で言う「スパイダーマン2099」みたいな2099シリーズとかと同じく、かなり先の未来でした。
いやこれ、日本のコンテンツでもありますよね。昭和生まれの人は特にわかると思うけど、199X年、時は世紀末みたいな設定の漫画とかアニメとか多かったし、それこそ先日リバイバル上映を見てきた「パトレイバー」とかだって近未来設定ながら設定上は作中でミレニアムを迎える描写があるくらいの時代設定。子供の頃は未来だった設定も、ああもうあの漫画(アニメ)の設定の年号超えちゃったよね、みたいな、嬉しいような悲しいような経験をおっさん達はしてきている。
1999年に第三次世界大戦で核爆弾が世界中に降り注いだり、アンゴルモアの恐怖の大王が天から降り注いだりもしなかったのはほっとしたけれど。
ああ、世界的には「2001年宇宙の旅」ですよね。2001年過ぎちゃったけど、実際は違ったなと。続編は「2030年」だったっけ?そこも間もなくな感じ。
そして「2001年宇宙の旅」と言えば!マーベルでジャック・カービーがコミカライズ版を出して、その時のコミックオリジナルキャラがマシーンマンだったりする辺りが色々と縁を感じなくもない。あ、勿論オリジナルは私読んで無いので解説書にそう書いてあると言うだけの話ですが。この辺は前にも何かに書いてありました。
で、実際に2020年が来ちゃったので、現行のオンゴーイングの話と絡めて改めて実際にアイアンマン2020/アルノ・スタークを登場させてきた。
私はSF小説ブームとかは通ってきてないので、映画とか、オタクの派生知識程度でしか知りませんが、それこそ「アイアムロボット」とか、ロボット三原則みたいな、ああいうロボットの反乱みたいなものをアイアンマンベースでやろうとしたのかなと思う。
前任者のベンディスが高度なテクノロジーは魔法との境が無くなるという発想を展開してた次に、古典SFみたいなテーマを持ってくると言うのもどうなのとは思いつつ、テクノロジーを武器にするアイアンマンと親和性の高いテーマなのは確か。
ただ、今回もジョカスタとか出てるように、ウルトロン関係でそういうのは山ほど過去にもやってきたというのもあるし、良いのか悪いのか隣でやってるクラコアX-MENも未来のビジョンで人間とミュータントと機械生命体の三つ巴になる未来を前提に戦ってたり(それこそ機械生命体文明のファランクスとかも居ますし)テーマとしては面白いものの、実際にお話としては正直読んでてつらかった。
かつてはヴィランとして登場したのもあってか、AIの統一を目指すという部分ではヴィランっぽい感じを出しつつ、実は来るべき脅威に備える為の団結を望んでいた、彼は彼でアイアンマンであり、ヒーローだったのだ、という捻りを加えつつ、全く予想外のオチを持ってくる辺りは、なかなか手の込んだ作品になってるとは思う。
ただ、読んでて面白かったかと言えば、私はイマイチだったかも。
出来が悪いとかよりは、好みでは無かった感じでした。
シーハルクの事務所に居た変なロボットがこっちにも居て、各タイトルのその手のキャラを集めたのかなと思ったら、シーハルクもダン・スロット脚本でした。時系列的にはこの直後に「エンパイヤ」に突入するようで、そっちもダン・スロットでした。
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