僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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機動戦士ガンダム00 SECOND SEASON

機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン7 <最終巻> [DVD]

MOBILE SUIT GUNDAM 00 SECOND SEASON
監督:水島精二
シリーズ構成・脚本:黒田洋介
TVアニメ 全25話(2nd season)
2008-09年
☆☆☆

 

前シーズンから4年後、ソレスタルビーイングとの戦いの後、地球には統一地球連邦政府が確立。世界は一つに纏まったかに思えたが、連邦内に独立治安維持組織アロウズが結成され、反政府組織の鎮圧にあたっていたが、やがて組織は過剰な力を行使するようになる。そんな中、ソレスタルビーイングが再び動きだす。

 

とまあ、ファーストシーズンの戦いで、ソレスタルビーイングという強大な外敵が表れる事で、大きく三派に分かれていた地球が一つになった。という所までは良かったものの、やがて組織は暴走を始め、というまるで「Zガンダム」みたいな方向に話が進んだのがセカンドシーズン。

 

実質分割ながら、一応2シリーズ目というのもあるし、イオリア・シュヘンベルグ=富野御大と考えれば、富野が予見した未来予想に準じての展開と言えなくもない。

 

いやでもさ~、好きな人には申し訳ないけど、今回もそうだし、リアルタイムで見てる時もそうでした。せっかくファーストシーズンで、現実世界の延長というリアリズムで通してたのに、セカンドシーズンで敵はアロウズにそれを裏で操るイノベイドっていう、悪の組織みたいなのを作っちゃった事で、気持ちが一気に萎えました。安っぽいマンガみたいな話になっちゃったなぁって。

 

当時も思ったけど、顔や名前の似通ったイノベイドの人達が、よくわからないまま出てきて、よくわからないまま死んでいく、みたいな展開に、正直さっぱり乗れなかったし、せっかくファーストシーズンで描かれた敵側のキャラがほとんど生かされずに一応出てるけどさしたるドラマも用意されないっていうのがね。

 

スミルノフさんとマネキンさん辺りはまだ良いんですよ。でも、ミスターブシドーというキャラのインパクトだけ絶大な形で出しておきながら、ほぼドラマには絡まないとか、あれだけヘイトを集めたサーシェスも実質最後に戦うのみ。この使い方は勿体無いと感じました。名前も憶えられないイノベイドより、こっちをもっとドラマに絡めてほしかったなぁ。

 

あと、声がジュドーでおや?と思わせておきながらいかにもな雑魚敵でしかなかったリントさんとか、声ロランのリジェネも正直勿体無かったし、リボンズはちゃんとラスボスしてただけに、せっかく過去ガンダムで主役張った人をわざわざ読んでくるんだから、もう少し考えてほしかった。決してメタ的に元のキャラを重ねられるようにしてあるとかでもないし。

 

ついで言えばアロウズ側の戦闘指揮艦でもあるアーサー・グッドマンもいかにもなやられキャラで勿体無かったなぁ。ここもスミルノフみたいに、彼なりの事情があるカッコいいキャラとかにしとけばよかったのに。今回見返したから思っただけで、結構重要なポジションの割に彼の名前や顔なんて見終わったら誰も憶えて無いでしょ?感が強くてね。

 

新キャラならスミルノフ息子、アンドレイが中の人的にも私大好きな人ですし、当時から好きなキャラだったんですが、まあ正直スミルノフのドラマを盛り上げる為のキャラであって、ルイスとの関係、ピーリスとの関係も正直上手く生かし切れていたかと言うとなかなか厳しい。

 

で、ピーリスと言えばのマリーとアレルヤ。いきなり序盤の方でドラマとしては最高に盛り上がった良い話でしたが、物語上・作劇上、目的を果たしてしまうと以降の話の推進力が無くなってしまうというのを、見事なくらいに体現したキャラがアレルヤでした。理論の上ではしってましたが、まさにこういう事を言うのかというお手本みたいな失敗。いやあえて言えば完結させたと言うべきなのでしょうか。

マリーを助けたい、という目的が終わってしまうと、あとは次の目的が無いので、キャラとしては停滞して、中盤以降は完全な空気になってしまったアレルヤ。一応、その後も自分達のような存在を生みだす戦争そのものを根絶したい、というのは口にするのですが、セカンドシーズンのソレスタルビーイングってファーストシーズンみたいな戦争根絶が目的じゃないんですよね。

ハレルヤとピーリスの復活とかがあったものの、それ以上の何かがあるわけでもなく・・・というのは残念でした。

 

そしてロックオン関係。1期できちんと布石はあったけど、それでもまさかの兄弟が2代目を引き継ぎ。昔「プレステージ」って映画で、双子をトリックで使うのがありましたが、基本的に双子って、同時に出てそっくりで見分けがつかない!みたいなネタに使われがちなので、こういう使い方には結構ビックリはした。

 

ただ本人も言ってたけど、メンタルはあくまで別人ですし、刹那、ティエリア、フェルト辺りは初代ロックオンのニールの意思を受け継ぐっていう決意も強かったので、その存在感は消えず、ライルはライルでアニューとのドラマはあったけど、割を食った感は否めず。

 

ティエリアはそのロックオンの意思を引き継ぎ、一瞬の迷いはありつつも同じイノベイドながらソレスタルビーイングで一人の人間、ガンダムマイスターとしても組織の軸になり、ヴェーダの奪還を目指す。ツンツンしてた一期と違って、性格も丸くなって私は好きでした。

 

で、刹那。ここも大人になり、戦争の道具だった子供時代から、神の先兵の天使になろうとした1期から、更に先へ。一人の人間としてようやく覚醒した後、人は変わらなければならないとして真のイノベイターへ進化するという流れ。

 

そうなった理由としてはツインドライブなんだっけこれ?イオリアの遺産=富野の意志を継ぐという事でのニュータイプへの進化を00なりに描いたって事でしょうか。最後の0ガンダム戦も、露骨にファーストのオマージュでしたし、我々はアムロを乗り越えてその先に行くっていう決意。

そういうメタ部分は面白いんだけど、ツインドライブでの量子化という道具で人間の進化が行われるみたいに思えてしまった辺りが微妙な所。

 

これがね、サジ君がルイスに必死に呼びかけて、サジ君が奇跡を起こしたとかなら、なんとなくテーマ的にもアリな気がするんだけど、それは便利道具があったから、それによって進化した刹那だから、みたいな印象になっちゃった気が。ルイスなりラッセの病気の進行がそれによって止まるとかは全然許せるんだけども。

 

最後に、サジ君の視点として、ちゃんと我々は社会と向き合わなければならないんだ的な感じで締めるし、そのテーマに関しては私は100点あげたい。セカイ系という内側の世界にアニメやオタク系コンテンツがやたら寄って行った中で、きちんと社会と向き合えよっていうのはとてもガンダムらしくて良い。一つ前の「SEED」はまさしくセカイ系ガンダムでしたので、ここで違う方向にちゃんと舵が切れたのは素晴らしい。

ただそれ、1期では描けてたけど、2期はちょっとまた別路線だなって感じがして、当時も今回もそこはやっぱりイマイチでした。これが映画になると、戻るかと言えば実はまた別方向に行くので、そっちはそっちで面白い!となるのが不可思議な所なのだけど。

 

メカは1期の時にも書いたけど、ガンダムの顔にへの字がついちゃったのが残念。デザイン的にもガンダム側も敵側も1期のが良すぎて、2期は正直あんまり印象にない。

 

ええと、良かった所と言えば・・・あ、ED「Trust You」は凄く良かった

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アニソンシンガーじゃないし、しかもギャル系の伊藤由奈さん。この曲もよくあるラブソングにサビは展開してくけど

花は風に揺れ踊るように 雨は大地を潤すように
この世界は寄り添い合い 生きてるのに 
なぜ人は傷つけあうの なぜ別れは訪れるの

っていう部分で分かり合えない人間達を描いてるのはギリギリ世界観を読みとって譲歩してくれてる感じが凄く良い。
偏見かもしれませんが、多分伊藤由奈さんはガンダムとか1ミリも興味無さそうだし、でもそれだからこそジャンルの違う人が、なんとか彼女らなりに歩み寄ろうとしてくれてる誠実さが、違う世界だからと最初から否定するんじゃ無く、相互理解が大切なんだよ、的な感じを意図せぬ感じで表現してくれてるのが素晴らしいと思う。

 

せっかくなので次は流れで劇場版も見ます。

 

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