Animage WONDERFUL PRECURE! SPECIAL ISSUE
徳間書店刊 2024年
☆☆☆☆★
なんかここ数年は毎回言ってる気がしますが、今年はもう出ないのかとヒヤヒヤさせてくれるアニメージュプリキュア増刊号ですが、ちゃんと無事に出ました。
最初の頃は秋の映画に合わせてっていうタイミングでの増刊号でしたので、今は秋映画の公開時期が昔より早くなったので、雑誌の刊行時期が変わらないと結構ズレちゃうんですよね。
あとは言っても仕方のない事だとはわかってるんですが、春のオールスター枠が無くなっちゃったのが本当に残念。アニメージュ本誌のプリキュア記事再録部分も、そこがないのでちょっと寂しいなと感じます。
その分、秋映画にゲストで過去キュアが出演したりもしてますが、今回はそこのキャストへのインタビューも無いのがちょっと残念。実際、映画でも本筋に絡むと言うよりは花を添えるゲスト的な立ち位置でしたので、仕方ないかなと思う部分もありつつ、現実的な話として経費削減としてコメントとかも無かったのかな?とか邪推もしてしまいます。いやアニメ雑誌のインタビュー記事でどれくらいのギャラが必要なのかとか、プロモーション費用に入ってるのかとかそういうのはよく知りませんけれど。
と、ネガティブな事ばかり言っても仕方ないですし、良い所と言うか、とにかく文字数が物凄いボリュームなので、読み応えは抜群。私はこういうアニメムック的なものは「見る」より「読む」のが好きなタイプなので、満足度はメチャメチャ高いです。
映画はラストまでの解説に、TVシリーズも41話までの内容と充実してますが、私はアニメ雑誌とかは読んで無いですし、昔なら夏の中盤の地点でフェブリのプリキュア特集号とかでスタッフインタビューとか読めたんですけど、今年は無かったし、初期コンセプトとかを今になって知れたりするのが楽しい。
キュアフレンディのデザイン、ちょっと探偵モチーフ入ってるのは初期設定の名残だとか(敵とのバトルがチェイスではなく隠れているのを探す部分から探偵っぽさが初期デザインに反映されてるそう)プリキュア4人に春夏秋冬属性が考えられていた時のコンセプトがニャミーにだけ残ってるとか面白い。そうなると春はワンダフルで夏がフレンディ、秋がリリアンかなぁ?あんまりそこは残って無いですね。「スタプリ」にも何気にデザインに春夏秋冬モチーフの名残があったりして、そういうの考えるのも楽しい。
そして悟君と大福。映画での変身姿もキュア○○という名称は与えられて無いそうですし、わんぷりに追加戦士枠は無いそうなので、映画だけの特別なサプライズという感じになりそう。まあ最終回だけみたいなパターンも無くは無いだろうけど、そこはあまり期待しない方が良さそうかな?
頭脳キャラで悟るという所からの命名で、変身姿も賢者イメージというのが面白いし、大福も元は針鼠だったけど、馴染みが薄そうというので、描く参考にもなるしでスタッフが飼ってた兎に変更。実際のその子の名前も大福だそうで、この世界にはリアル大福が存在するという事になる。
別に変身しなくても、十分にキャラは立ってますしね、決してキュアウイング嫌いでは無いけど、無理に毎回男子枠とか入れなくてもよいでしょう。ただ軍師役として現場に居るので、生身ではちょいと危険じゃないかとは思うけれど。かと言ってアメコミみたいにパソコンの前で椅子の人やらせるのも味気ないですしね。
あとは悟君と言えば、恋愛要素は最初から入る予定だったので、その辺の匂わせやバランスは1話から仕組んでいたそう。そしてにゃんだふる組も20話くらいで同時変身と最初は考えていたものの(実質の追加戦士枠って事ですよね)シリーズ構成のバランス考えてニャミーだけ先行登場させたと成田良美(シリーズ構成)が明かしてます。キュアムーンライトみたいなケースもあるからと。
成田さん、プリキュアシリーズを代表する脚本家の一人ですけど、「キボウノチカラ」の時も書いたけど、私はちょっと成田さんの古い感覚に細かい描写がひっかかる部分もあったりはするのですが、1年の組み立てとしては、わんぷりは上手く行ってた感じはある。敵幹部出てからの盛り上がりの方がどうしても私の中では大きいので、そこは早めにお願いしたいけど、近年の敵描写を減らしたい流れはやっぱりスポンサーも含めた流れがあるんでしょうし、それでもわんぷりはここまで飽きずについてこれたので、そこは良しとしておく。
映画の方でも、ムジナはある種のAIのシンギュラリティワンだけど、プリキュア映画でそれを説明する必要は無いと判断した、みたいな所もそうだし、ペットとの寿命の違いも、そこは見てる人が感じとってくれる深みなので、みたいな所に「プリキュア」らしさ、女児物として作る事の役割みたいなのを感じて、ああプリキュアだなぁって思います。
今回の本では当然触れられてませんが、公式ではもう正式発表されてますので書きますが、来年のシリーズが「キミとアイドルプリキュア」というタイトルが先日発表されました。
アイドルアニメは群雄割拠してますが、その理由はイベントでの集金による利益の出しやすさですよね。少なくとも大人向けの奴は。ここはプリキュアでも年1ながらライブと感謝祭が定着しましたし、商業上は結構重要な部分。
大人向けでなく女児向けでは、終わってしまったけど「アイカツ」シリーズと、まだ続いてるタカラの「プリティー」シリーズがある。こっちはカードゲーム筺体での強みで、ここは初期はプリキュアでもやってたけど、同じバンダイ製でアイカツに譲った部分でした。
アイドルは子供にも人気のあるモチーフなので、過去にも何度も検討はされてきただろうけど、あえて踏み込んでは来なかった部分だと思うんですよね。わざわざ競合する所に踏み込まなくても他にやれるモチーフはあるだろうって。でも、いつかは挑戦すべき避けては通れないモチーフだし、今は「押しの子」とか残酷でグロイ描写のある子供向けアニメでは無いものまで子供人気に進出してきてる現状がある。多分、重い腰を上げざるを得なかった一番の理由はそこじゃないでしょうか。
私はね~、子供の頃からアイドルって苦手でしたし、うわ~プリキュアでそこに踏み込むのは嫌だなぁって思うんですけど、そうじゃない、プリキュアだからこそアイドルモチーフでも他の作品とは違う主張を描いてくれるんじゃないか?という期待はしてます。多分、普通のアイドルアニメの二番煎じにはならないんじゃないかと。
ただ、流れ的には敵と戦うんじゃ無くアイドル衣装に着替えるのを変身みたいにやる可能性は無くも無い気はするけど、それは普通にプリティーシリイーズとかでもやってるし、バトル要素は継続してほしいとこではありますが。戦いなんかくだらねぇぜ!あたしの歌をきけぇっ!とかやられてもそれはそれでどうかとは思うけれど。
話を戻して「わんぷり」残り2カ月。悟君へのマフラー編みの布石があったしクリスマスイベントまでは通常回やるのかな?それでもクライマックスですから、ガオウ様との和解がどう描かれるのか楽しみです。
ああ、今回の本、クラスメイトの設定画と名前とかも載っててそこは楽しい。猿の子以外は男子生徒あんまり目立ってないけど、やっぱりみんな動物の名前とかついてるんですね。鷲尾町長の設定画だけ無いのが残念ですが、そこはコンプリートブックできっと触れてくれるでしょう。出来れば高木渉さんのコメントも欲しいぞ。
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