僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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シビル・ウォー アメリカ最後の日

シビル・ウォー アメリカ最後の日

原題:CIVIL WAR
監督・脚本:アレックス・ガーランド
アメリカ・イギリス合作映画 2024年
☆☆☆☆

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分断されたアメリカの架空の内戦を描いた今年(2024年)の話題作。
今は半年も経てばこうしてサブスクで無料で見れてしまうという、ありがたいんだか映画好きとしては申し訳ないんだかで今時らしい感覚です。経済的に厳しくなったのもあって、私も映画館にはあんまり足を運ばなくなってしまった。行ってた時は週2通いの100本とか映画館で見てたのにねぇ。

 

それはともかくシビルウォー。一般的には南北戦争の事をこう呼ぶ事が多かったらしいですが、マーベルでもキャプテンアメリカ3作目でこのタイトルを使ってたように、内戦という意味でも使われるシビルウォー

 

現実のアメリカをリアルに描いた、という肩書きから、保守と革新。アメリカだと民主党共和党。の右と左で実際に戦争が起きてしまったら?みたいな話かと思ったけど、それっぽい要素はありつつも、そこまでストレートなものではなく、西部勢力とフロリダ勢力という架空の抗争を描き、現大統領の退任(というか殺害)を求める世論の中、4人のジャーナリストがその大統領のインタビューの収録を目的に戦地へ飛び込んで行くロードムービー

 

設定背景は結構ぼかしてある部分も多く、意図的に寓話っぽい作りにしてあるのが面白く、分断や対立を自分なりに自由に重ねられる辺りが作品としての個性かとは思う。

ただここは、架空戦記なんてリアル路線じゃないじゃん!こんなの逃げでしょ?って思う人には厳しいのかなとは思うけど、中盤の流れなんかを見るに、やっぱりリアルな架空戦記というよりは意図した寓話だと私は思う。

 

そして、A24スタジオ的には過去最高の予算だそうですが、ハリウッド大作みたいなドンパチ物ではなく、ジャーナリストを主人公に置く事で、大局ではなくパーソナルな視点で物語が進行するというのが上手い作りだなと。

 

キルスティン・ダンスト演じるカメラマンもモデルになった人物が居るようですが、その辺の詳しい部分はマクガイヤーチャンネルでもご覧ください。

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行動原理はジャーナリストそのものですが、ではジャーナリズムとは何か?みたいなイデオロギーは意外と語られず、そもそもの両勢力もその主義主張はほとんど描かれないので、イデオロギー闘争という軸ではない。

 

私は常日頃から結構記事の中で書いてるけど、政治思想としては左思想の人なんですけど、自分の思想を語るって言うのは結構簡単なんですよ。そこは自分で考えて自分の理念みたいなのあるわけですから。

 

でもそんなイデオロギーではないっていう辺りにこの作品の面白さを感じたかな?

ある銃撃戦に巻き込まれて、相手はどこの勢力なんだ?ってそのドンパチやってる人に聞いてみたら、「そんなの知るかボケ!あっちが撃ってきてるんだから、こっちも撃ち返してるだけだろうがよ!お前バカなのか?」っていうとこが大変素晴らしかった。

 

そうね、銃社会アメリカは相手に銃を突きつけられて、自分が死にたくなかったら相手を撃つしかない。そこに相手の考えを理解するうんぬんの余地は無い。

 

或いは別の場所。内戦が起こってるのは知ってる。でも私は関わりたくないし、自分とは関係無い事として見ないふりをしてる。

 

こういう描き方がいわゆるアレゴリー的な面白味というやつで、私も実は予告の時点ではもっとリアル路線かと思ったけど、こっち系の面白さだったのかと実際の印象はちょっと違ってました。

 

日本に住んでると戦争というか武力行使ってやっぱりそんなにはピンと来なかったりもしますが、戦争なんて人類の歴史で途絶えることなく今でも続いてるものですし、武力革命だって歴史にいくらでも刻まれて今の世があるわけで、これはおかしいと言うのは簡単だけれど、そのおかしさこそまた人間の本質でもあったりするわけで、それを見る目こそがあなた自身なんだ、といったとこでしょうか。

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