WINGMAN
原作:桂正和
監督・アクション監督:坂本浩一
脚本:山田能龍、西垣匡基、中園勇也
TVドラマ 2024年 全10話
☆☆☆★
1983年より週刊少年ジャンプで連載された桂正和「ウイングマン」が2024年にまさかの実写ドラマ化。
それこそ仮面ライダーやウルトラマンのコミカライズは初期からありましたが、オリジナルの特撮ヒーロー風のフォーマットをジャンプ漫画でやるというのは当時としては珍しく、後のオタク系漫画雑誌とかでは「強殖装甲ガイバー」とか近い物は生まれたものの、少年ジャンプではこれといった系譜もほとんどない・・・のかな?桂先生自身がウイングマンの後に「超機動員ヴァンダー」という次のヒーロー物も連載しましたが、人気が出ず2巻打ち切りでしたし、オタク系はオタク系でやっぱり別の出版社なり雑誌で専門的になって行き、週刊少年ジャンプのカラーでは無かったのかもしれません。
はい、私は当時からウイングマンは大好きでコミックも全巻買い揃えてました。子供の頃好きだったよ、ではなく好きな気持ちは継続してましたので、押し入れの奥にはプライズ物か何かのソーラーガーダーシルエットのフィギュア1体くらいは確か居たはず。
考えてみればTVの特撮ヒーローとか好きで見てはいたものの、全話きっちり見てストーリーをきちんと把握しているとかそういうのは多分無かったと思うし、そういう意味ではコミック全13巻を何度も読み返して、物語として好きなヒーロー物の私の中の原点みたいなものかもしれないな、と思う。
ヒロイン描写やお色気描写も当時はそれなりに好きだった気はしなくもないですが、「ウイングマン」「ヴァンダー」「プレゼントフロムレモン」と続いて次の「電影少女」で私は桂正和からは離れちゃった。そういう意味では純粋にヒーロー物として好きだったんだと思います。
古いコンテンツの再アニメ化とかが日常に溢れている昨今、ウイングマンも再アニメ化ではなく、まさかの実写化。40年も前のものを!?と思う反面、アメコミヒーロー映画だって、原作のスタートから30年も40年も経ってから今のCGで技術的に再現可能になったから、みたいな事を踏まえると、そんなにおかしい事では無いのかもしれません。
ただ!30分枠(実質22~24分くらい)×10話。
TV放送で予算も無いという状態では、いささか厳しかったかという印象。
ファーストインパクトというか、序盤は凄く良かったんですよ。最初からガッカリとかは全然無く、むしろ期待に胸を膨らませすぎて夢を見すぎちゃったのかな、というくらい。ドリムノートだけに。
限られた予算や制限の中でむしろ良くやった方だとは思います。でも正直、出来る事は限られてくるから、だったら原作で自分の好きなシーンを厳選でダイジェスト再現しよう、みたいな作りになっちゃってたのが正直残念でした。
最初にあれ?って思ったのは7・8話のナアス編。アオイさんそいつに騙されてるよ!って健太が必死に止めようとするんだけど、ナアスが実は悪者だっていう根拠は何?視聴者は俯瞰してドラマを見てるから、実は騙してるってわかる。でも健太はそこわかるシーンあったっけ?私が見逃しただけ?それともヒーローの勘とかなの?何か原作のシーンやセリフだけ再現したいのかなぁ?
とか思ってたらまさに9話10話のエピソードが原作のいくつかのシーンを飛び飛びで再現みたいになってて、もう尺も予算も無いから悔いの残らないように自分の好きなシーンは再現してそこだけ残そう!みたいに作っちゃったのかなぁ?と思えて、最後の最後に気持ちがちょっと醒めてしまった。
いや私もこのシーン再現してほしい!と言うのなら、リメル編最終決戦時に健太とアオイさんが二人でポドリムスに乗り込み、何でウイングマンに変身しないの?ポドリムスなら時間制限無いのに!というアオイさんに対して、いやまだだ、気持ちを盛り上げて行って最高のタイミングで変身する事で自分の限界を引き出すみたいな事を言って、変身前に腕のガーダーシルエットだけを装着するシーンが私はメチャメチャ好きです。あそこやってほしかったなぁ・・・。
実際はリメルが3次元に出てきてくれて、しかもご近所でギャラリーもせま~い感じでやってて、これポドリムスとか予算無くて出来ないんだろうな、と現実が見えてしまってメチャメチャ残念でした。
しかも半端に第2部ライエル編のクライマックスとかもやってたりして、ますます「あっ(察し)」みたいな雰囲気に。
キータクラーもこんなキャラじゃねぇだろうがよ感が半端無い。
ああ、キータクラーやリメル、ドクターラークとかポドリムス人の造形も勿体無い感じでした。え?普通のレインボー造形路線で良いのこれ?ウイングマンだけでなく、ポドリムス人も桂先生が再デザインしたそうですから元々こういうイメージだったのかもしれませんが、原作だと髭とか角みたいなとこがプレートみたいな感じになってて、あの絵が立体になったような不思議なデザインが4次元感があって割と好きだったんですよね。
あれはあくまで2次元の絵で成立するものであって、3次元で立体化すると逆に見栄えが悪くなるとかもあったのかもしれませんが、普通にいつもの生物感みたいな処理がされてて、ちょっと勿体無いなと思いました。スーツとして動きやすいように処理したとされるウイングマンの肩(胸)パーツとかは悪くないアレンジだとは思ったのですが。
原作の中学生設定を高校生設定にしたり、今時らしくアオイさんをヒロインというよりバディ的な感じにしてある辺りは好アレンジでそこはとても良かった。ケン坊じゃなくケンタ呼びなのも悪くないです。
そして原作の面影を感じるそんな健太やアオイさんに対して、原作のビジュアルを無理に再現しようとしてない美紅ちゃんもこれはこれで可愛かったですし、ちゃんと美紅ちゃんに見えたのが良かった。
ウイングガールズの再現はならなかったものの、ピンクと布沢さんも居ましたし、松岡先生に福本とか、そういうとこも何気に嬉しい。
ルックやコンセプト事態は決して悪くは無かったものの、なんだか「惜しい」と思える気持ちでいっぱいになってしまった。
一応前振りはしてあったけど、ライエル編作れるんでしょうか?可能なら是非見てみたい所ではありますが(布沢さん絡みの部分と、全員変身「叫べチェイング」は見たい)商業的にはどこで利益を出すものなんでしょうこれ?映画で予算をかければとも思うけど、東映は映画でも予算出さないし、いっそのことこれを切っ掛けに再アニメ化とかに流れが行った方が良いような気もします。
好きか嫌いかで言えば全然好きですし、毎週楽しみにしてましたが、やっぱりちょっと惜しい作品だったかなという気がします。
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