異界の輪
DEMON WARS
著:桃桃子(ピーチ・モモコ)(作/画)
訳:中沢俊介
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2024年
収録:Demon Wars:The Iron Samurai #1(2022)
Demon Wars: Shield of Justice #1(2022)
Demon Wars: Down in Flames #1(2023)
Demon Wars: Scarlet Sin #1(2023)
☆☆☆
妖怪たちが暮らす“異界”に戦争の脅威が忍び寄る!?
日本人アーティスト桃桃子(ピーチモモコ)による摩訶不思議な物語、波乱の第二幕!
モモコ・バースで内戦が勃発!?
少女まり子の運命は!?
意思を宿して動く赤い鎧、隼の仮面と翼を身に着けた天狗、豹を思わせる獣人、そして蛇のごとくうごめく飢えた魔物。彼らが暮らす“異界”……まるで運命に導かれるようにしてその奇妙な別世界へと迷い込んだ、鬼の血を引く少女まり子。彼女は、意見が対立して二派に分裂した妖怪たちの抗争に巻き込まれる。異界の内戦が激化し、妖怪たちの世界が危機に瀕する時、争いの背後にうごめく真の脅威が姿を表す!!
前作「デーモン・デイズ」から続くモモコバース第2弾。
マーベルユニバースを和風アレンジするという、ある種の「ホワットイフ」みたいなものですが、今度はモモコバース内でシビルウォー発生という事で、和風アイアンマンと和風キャップがまたもや激突!
と、思いきやコミック版や映画版のシビルウォーをそのまま持ってきた感じでも無く、そこまでのギスギス感は無い。アイアンマンは鎧武者というのはわかるけど、対抗するキャップが象徴的なあのシールドを持っていないデザイン。
このキャラクターのアイデンティティはここだから、これだけは残すし、そこを起点にデザインするみたいな感じではなく、自由奔放な発想で描いてるんだなと、そこは個性に感じる。アレンジではなく再解釈というか。 和風世界観ですから、名前もアメリカじゃなくヤマトという名前なのが面白い所。
それぞれのチームも原作や映画にこだわらないメンバー構成。蜘蛛人間なスパイダーマンとか、隼なファルコン、化け猫なブラックパンサーとか、方術僧スタイルのストレンジ先生とかわかりやすいキャラクターも居れば、シロサギってこれ誰?キャプテンマーベルなのかな?こっちのイツキってのは?赤髪だしユキオ辺りか?と思って読み終えて巻末の設定資料みたいなのをみると、それぞれジーン・グレイ(フェニックス)とマジックでした。X-MENもアリなのか。言われてみれば一つ目小僧連れてたわ。
そして黒幕として出てくるモミジ。紅葉(こうよう)した紅葉(もみじ)の形。五枚の葉に茎で6角でヘックスパワーに見立ててあるのは面白い。
正直、物語的に超面白かった!とか言うほどでは無いんだけど、この世界観と絵の力だよねきっと。アメコミ読んでる層には新鮮に映るだろうなという反面、じゃあ日本の漫画読んでる人には普通に思えるのかと言うと、とんでもない。日本人の目から見ても個性のあるビジュアルですよね。
しかもピーチモモコさん。日本在住でマーベルの仕事してるんですね。確かグリヒルさんもそんな感じでしたよね?
売れてる売れてないに関わらず、漫画家さんでアメコミ好きな人も中にはそれなりに居るはず。マーベルに持ち込みするのもアリじゃないでしょうか?自分の権利にならないのがアメコミの微妙なとこではあるけれど、それこそこういう作品みたいに認められれば知名度上げられるだろうし、いくつか作品を出しで知名度を上げた後に自分の作品を改めてやるってのもアリなのでは?漫画は日本が一番上とかいう不思議なプライド持ってる人もたまに見かけますし、そういう人ならランクが下のアメコミで簡単にトップがとれるでしょうから。是非グリヒル、桃桃子さんに続いて世界に名前を轟かせていただきたい。
桃桃子さん、今は「アルティメットX-MEN」のオンゴーイング担当してるそうで、いずれ邦訳版も出そうですし、そっちも楽しみです。
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