僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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侍タイムスリッパー

侍タイムスリッパー

監督・脚本・撮影・編集:安田淳一
日本映画 2024年
☆☆☆★

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2017年の「カメラを止めるな!」と同じ感じで、単館上映のインディーズ映画だったものが評判を呼び、公開拡大して異例の大ヒット。日本アカデミー賞受賞等、数々の功績を残した昨年の話題作。

 

タイトル通り、かつての侍が現代にタイムスリップしてくるというSFでありコメディーでもあるのだけど、思ってた内容とは全然違いました。意外とシリアスなドラマでした。

 

勿論、想像出来るカルチャーギャップのコメディー部分は多い。タイムスリップに関してはドラマの軸というか大きな仕掛けにも繋がってはくるものの、いわゆる「バックトゥザフューチャー」みたいなそのSF設定部分の面白さが描かれるかと言うと、そこはそうでもない。

現代に侍が現れて、大問題を引き起こすのかと思ってたけど、ドタバタはしつつも、主人公高坂新左衛門の愚直な人生、みたいな感じでドラマ性重視。

 

いや世の中では異世界転生物が大流行じゃないですか。私はそこほとんど見て無いので詳しい事はわかんないけど、わからないなりになんとなく想像出来る部分ってあるじゃないですか。でもそういう漫画やアニメ、ゲームみたいなオタクカルチャーで描かれる物語とは全く違う文脈でこの映画は作られてて、私はそこに物凄く感心させられました。

 

オタクカルチャーやオタク的なセンスが世間一般に浸透してるじゃないですか。普通の企業CMでアニメだったり、使われてるイラストとかが、別に萌え文化的な所を狙ってはいないけど、普通にアニメ調の美少女が描かれたりしてる奴。

私は昔から今までずっと重度のオタクなので、そういうものがバカにされたり白い目で見られなくなったりする所に良さを感じつつ、私はアニメだけのオタクではなく、それこそ漫画の映画化みたいな作品ばかりじゃない昔からの映画の文脈とか文化もそれなりには理解してるタイプ。

オタク臭い異世界物の文脈とかに毒されていない、似たような素材を扱っていても全くの別の映画っぽい文脈。ちゃんと和食と洋食の違いがわかるものというか、そういうものがこうしてちゃんと残されてそれが評価されるって素晴らしいなと思う。

 

作中で言えば時代劇文化が、今は需要が無くなって淘汰されてしまった感じだけど、その世界なりの面白さ、その世界でこそ表現出来るものがあるんだから、それを残したいよねっていう志をベースにこの作品が作られている。そこは本当に頭が下がります。

 

こういう映画、ちゃんと残して行ってほしいですよね。画面がフィルムじゃなくデジタルなのはもう仕方ない。デジタルだからインディーズで作れるのであって、もしこれがフィルム撮影だったらそもそも企画として実現不能でしょうしね。テレビっぽい画面だなとは正直思ったけど、そこは時代の流れというもの。

 

この作品に文句をつけるとかは基本的にはしたくないし、作品的には全面的に肯定はしますが、個人的な好みの部分に関しては「真剣を使ってうんぬん」という下りは正直好きでは無いかな。

 

私はどっちかというと竹光やジュラルミンを本物に見せる技術の方がずっと面白いし素晴らしい技術だと思う方。真剣を使えば本物の迫力が出せるとかは、いやそういう事じゃないよね、とそこは正直あまり好きでは無かった。

 

勿論、今回の撮影で実際に真剣を使っているかというと、そんなはずはなく、それこそが技術であり、見てる人を本気に思わせるという点に置いてはメタ視点の面白さではあろうと思うし、まさしく役者の腕の見せ所でしょう。ネットが普及する前の時代だったら「この映画実際に真剣を使って撮影したらしいよ」みたいな噂が広まる感じですよねきっと。そういうとこは面白いんだけど、真剣を使う事が凄い事なんだって言う流れに私は妙に引っかかっちゃったんですよね。

 

何でだろう?って思ってしばらく考えてたら、ようやくわかりました。私がミリタリー苦手なのと同じ理由だきっと。
銃や兵器を見てカッコいいって思う気持ちのどこかに、でもそれって人殺しの道具だよね。それをカッコいいって思うって嫌じゃね?っていう感じで心にブレーキがかかる。

そういえば作中でも「今は侍と言ったらサッカー選手だ」みたいなセリフがあるけれど、そこも昔から私は嫌いでした。侍って人殺しでしょ?それをカッコいいみたいに言うのは私は嫌いだな、って昔からずっと思ってました。

兵器つってもガンダムみたいな実際にはありもしない嘘八百で現実感の無いものならSFやファンタジーとして楽しめます。RPGの世界の中の忍者や侍は作り物として楽しめるけど、実際の侍に対するリスペクトは考えてみれば昔から無かったわ、と思いだしました。

 


「バキ」でも宮本武蔵が現代に復活したら最強だったみたいな話あったけど、私あれ思いっきり醒めましたもの。
あとついでに「だが今はその時では無い」って「トップガンマーヴェリック」のパロディだったのかな?あの映画も私はちょっと苦手でね、映画としてはありだけど、あれを現実にされたら嫌だろうなっていう。

 

本当に素晴らしい映画だと思うし、この価値はリスペクトに値します。
でも扱ってる素材が考えてみれば私が苦手な奴だったとかいうオチ。

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