NEW MOBILE REPORT GUNDAM WING
監督:池田成(高松信司)
シリーズ構成:隅沢克之
TVアニメ 1995-96 全49話
☆☆☆☆
第38話「女王リリーナ誕生」から最終49話「最後の勝利者」まで。
最後の1クールになってOPがようやく変わり、絵の完成はラスト3話のみという、大変だったんだろうなというのが伝わる感じが面白い。何度か過去に書いてるけど、監督降板とかのゴタゴタは当時は知らずに、それを知ったのはしばらく後になってからでした。
サンクキングダムを潰したものの、リリーナのカリスマ性を見込んでロームフェラの女王に仕立て上げるデルマイユ候。武力で国を潰した事に対する非難を和らげるため、そして人気のあるその当事者国であるリリーナを代表にする事で、リリーナ本人も利用されている事を知りつつ、次の一手を繰り出す為にあえてそれに乗る。
ここは意外と面白い。実際に抵抗する国が失われた事で地球圏統一に成功するも、財団内にもリリーナ派閥が生まれてしまい、デルマイユは居場所を失い、体制を立て直し再起を図る為に宇宙へ逃亡するが、偶然か仕組まれた意図か、移動中に消されてしまう。ツバロフもそうだったけど、勢力図の変更であっさり中心人物を処分というのが凄く「W」らしい。
そりゃあ政治側のおじさんキャラなんてファンも別に居ないだろうけど、他のガンダムシリーズとかなら、多少政治面でもリアリティを出す為にそういうキャラもそれなりの使い方をしなきゃとか思うんだろうけど、そこには興味や躊躇の無いのが「W」
で、リリーナが実質のトップに立ったかと思ったら、今度はすぐにトレーズ復活。リリーナを除名し、トレーズが地球圏統一連合のトップに立つ。というのを「女王リリーナ誕生」からたった2話で終わらせるこのセンス。
宇宙側のホワイトファングが、トレーズ派の残党も混ざっていたので、トレーズ様が決起したなら戻らなければ、という、特にネームドパイロットも居ない凄く小さい反乱を描いてる丁寧さがあるのにですよ?
いやクイーンリリーナだからその理想に参加したのであって、また代表変わって悪名高いOZのトレーズ・クシュリナーダが戻ってきた?そんなのについていけるわけないだろ!ってホントはなるに決まってるんだけど、そういうのは描かない。地球側は最終決戦に向けてのセッティング完了。
そして宇宙軍ホワイトファング。
うん、ここはどう考えてもミリアルド・ピースクラフトだろうと例えゼクス・マーキスであろうと、宇宙側コロニー側出身者じゃないのにこいつが宇宙軍の代表というのは、どう考えてもおかしい。
トレーズとゼクスが戦後をリリーナに託したいっていうのは割と早い段階から見えてはくるものの、宇宙に住んでる人にとってはホワイトファングに代表者づらされても誰あいつでしかないはずだし、メタ的な視聴者にとっては、唐突にここから逆シャアムーブを始めるゼクスに困惑。
いや、ゼクスがシャアオマージュなキャラクターと言うのは誰が見てもわかる。でもそれってガンダム=仮面のライバルキャラっていう記号的なものであって、じゃあその素材を今回はどう料理するのか?っていうのがその作品のカラーなわけじゃない?
ちょくちょく、Wはファーストから逆シャアまでのストーリーラインを最初から再現する企画だったみたいな事を言う人が居るのですが、その辺りは私は知らないんですけど、ソースが出てるのでしょうか?前半の組織内のゴタゴタとかは確かに「Z」っぽい部分も多少あるのかなとも思わなくもないけど、最初からそういう企画だったわけではなく、池田監督降板から、後半の流れをそう終着させただけじゃないのかなと私は思ってます。
「G」「W」「X」から最新の「ジークアクス」に至るまで、ガンダムを見る側だったクリエイターが作る側に回る事で、自分の中のガンダムとの決着の付け方みたいなものが作品ににじみ出るというのはありとあらゆるガンダムに共通している部分ですので、あからさまにそこをテーマに置いた「X」以外の作品のその手の要素は本質と言うよりは味付けのスパイスに本来は近いものではあるんだけど、やっぱり名前を借りてる以上、元があってのアレンジだから結果として比較対象としてそこが目立つ、という部分もあるのだろうなと思う。
構造的にはドロシーの配置が面白くて、あんなにトレーズ様言ってるのにミリアルド率いるホワイトファング側につく。
トレーズ様の意志をきちんと理解できているのは私という自負があって、ミリアルドはリリーナへの温情とかを捨てきれない分、トレーズの意図からはどこか外れる可能性もあったから、何かあった時の為にホワイトファングへ、という感じなのかなと。
実際のトレーズの腹心であったレディ・アンが最後の最後にならないと復活しないのは、ドロシーとポジション的にかぶってしまうから。
でも思った以上にトレーズ×ゼクスの語らない友情パワーみたいなものは強く、その関係性には入れないドロシーというのは、色々やってはみたけど、第3者が騒ぎ立ててみたところ、独りよがりで踊ってるだけでしたみたいになってるのは、やはりドロシー=高松監督みたいな気がします。
で、本来なら宇宙側の代表者となるホワイトファングは、当然宇宙出身の代表者がなるべきで、それこそカトル君とか五飛がホワイトファングの代表者になってても良かった気がする。
勿論、主人公側の人間がラスボスポジションなんて普通は考えられないものですし(あれ?シン・アスカさんは?)カトル君はやさしすぎてウイングゼロ製作という中盤での
大仕事もあたので、何気に今度はここは五飛というのも面白かったかもしれないなと思う。
それはただ続編の「エンドレスワルツ」を見ているからそう思うのかもしれないけれど、ゼクスと同じく、トレーズに永遠の友よと言われ、結果後まで引きずってしまうというのはわかるし、逆に続編を作ろうってなった時に、五飛がTVでは生かし切れて無かったので、そこに焦点を当てるアイデアが出てくるのはわかる気がします。
宇宙の最初の革命者である「ヒイロ・ユイ」のコードネームを引き継ぐヒイロは過去ガンダムとはまた少し違うWの固有の答えなりポジションを背負わせなければならないので、難しいとこではあるけれど、むしろミリアルドが地球に戻ってそこを一応の形で支配して、そこに対して再びコロニー代表を個人で体現しようとするヒイロ君みたいな展開でも面白かったかもしれない。
まあ彼は「宇宙の心は、彼だったんですね」って言われる存在ですから。
勿論、その意味はわかるようなわからないようなってとこが凄くWらしいけど。
という感じで、正直「W」ってそんなに褒められたような作品じゃないと思うんだけど、私も昔から決して嫌いじゃない方の作品で、TVシリーズでもホントに最後の最後でしか五人のガンダムチームが合流しないんだけど、そのカッコ良さとかだけで、なんとなく満足感を得られてしまうというのが凄い。
ぶっちゃけ、なんとなくの雰囲気で騙されてるだけの作品なんだろうなと思うけれど、TVアニメなんて大概そういうものなんだと思う。例え力技で強引に着地させただけであったとしても、なんか面白かったなと思わせてくれたならね、それはそれで良かったんじゃないかと思うものですし。世の中の大概の人は論理的な思考より感情で動くものですしね。
TVアニメに限らずだけど、100点満点をとれる作品なんて、世の中にそうそうあるものじゃない。1000本に1本とかそういうもの。そもそもファーストガンダムがこうして45年経っても色あせない面白さを保っているのが異常なだけ。
私も20年30年前からガンダムをリアルタイムで追い続けてるけど、最初から良い評価を受けた物なんてほぼ無いはず。ゼロだろと思います。それはファーストガンダムと同じものを求めて比べちゃうからで、そうじゃなくて、今回はこういう路線で来たのね、見終わった後にこのシリーズはこういう個性の作品だったと割り切った上で、再度自分の中に飲み込むみたいな感じで、受け入れられていくという感覚なのかなと私は思ってます。
好きなVチューバーさんが同時視聴で見始めたから、私もDVD持ってるのでそれ使って見始めたというのもあるし、コミック版「敗者達の栄光」と小説「フローズンティアドロップ」はガンダムエースで連載中にさらっと見てたくらいで、きちんとは読んで無いのでそこへのとっかかりにしようかなと思ったのもあって(単行本はコンプリート済みです)久々にWを見ようってなったのですが、勿論、ファーストガンダムとかと比べてしまうと同列には語れないものの、これはこれで思った以上に楽しくは見れました。
次は続けて「エンドレスワルツ」を見ていこうと思います。
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