原題:SUPERMAN IV:THE QUEST FOR PEACE
監督:シドニー・J・フューリー
脚本:ローレンス・コナー、マーク・ローゼンタール
原作:DC COMICS
アメリカ・イギリス映画 1987年
☆☆☆☆
シリーズ4作目にして最終作。
といっても、前作「3」とその翌年に公開された関連作の「スーパーガール」共に低評価、低興行収入もあって、制作者だったイリヤ・サルキンドが権利を売却、B級映画が中心のキャノンフィルムで製作される事に。
スーパーマン役クリストファー・リーヴがストーリーの原案を作る形で、なんとか形にして公開まではこぎつけたものの、今回もまた低評価に終わり、スーパーマンのシリーズは終了。次は1989年のティム・バートン版「バットマン」からの流れが生まれる事になる。
世間的にはシリーズ最低評価、実際に映画としても予算も低くクオリティも一段落ちてしまう結果になっているのは事実だけれども、私は昔から好きな映画の一つ。
ジェームズ・ガン監督版「スーパーマン」(2025)の時にも書きましたが、愚かにも戦争を続ける人類に対し、スーパーマンは核兵器の廃絶を提案。地球にある全ての核ミサイルを宇宙に捨ててしまうというシーンがあります。
格の撤廃というテーマはクリストファー・リーヴの案ですし、2025年版でも戦争にスーパーマンが介入するシーンが描かれ、そこは賛否の出る部分でしたが、私はそういう所こそがアメコミの一番面白い部分だと思っているので、同じような感覚でこの「スーパーマン4」も昔から大好きな作品です。
最初はカプコンの対戦格闘ゲームの「X-MEN」がきっかけで、これ原作はどういうキャラクターなんだろうと、当時出ていた邦訳アメコミを手に取ったのが私のアメコミとの出会い。「スーパーマン:ピース・オン・アース」「バットマン:ウォー・オン・クライム」社会問題や戦争・政治の問題にもアメコミのヒーローは関わるのかというのが物凄く新鮮でね、裁判や傍聴会にスーパーヒーローが出席して自分の意見を言う、「マーベルズ」「キングダム・カム」「バットマン:ダークナイト・リターンズ」「バットマン:イヤーワン」「ウォッチメン」「グリーンランタン&グリーンアロー」そんなのを立てつづけに読まされたら、アメコミはなんて深いんだってそりゃあハマるに決まってます。
言い方は悪いけど、日本のヒーローは世界征服を企む悪の組織と戦うとか、幼稚もいいとこじゃん。それに比べたらアメコミヒーローこそが本物のヒーローなんだって思ってしまってね。基本的に映画や漫画・小説もただたのしいエンタメよりはテーマ性や社会意識を持ったものの方が元から好みというのもあったし、今でこそ1周回って日本のヒーローもそれはそれでと楽しんでるし認められるようにもなったけれど、一時期はアメコミヒーローの新鮮さに凄く傾きました。
この作品もまさにそんな時期の一つ。ニュークリアマンとかダサいけど、そこが本質じゃないんだ!クリストファー・リーヴがスーパーマン役をここまでやってきて、自分がこのキャラクターで世界に伝えたいメッセージはこういう事なんだ!っていうのに凄く感動しました。
その後ね、落馬事故によって全身麻痺。かろうじて口がきけるぐらいの状態にまでなりました。あの映画の中の「超人」を演じた人が、自分の体を動かす事さえ出来なくなる。この落差。絶望の中から這い上がり、人前にあえてその姿を晒す勇気。数年後、アカデミー賞のセレモニーに呼ばれて出席し、「車椅子だからここに来るまで何年もかかってしまったよ」と、自分の身体をネタにしたユーモア溢れる挨拶をする姿。最後まで諦めずに戦い続けたクリストファー・リーヴに感銘を受けました。
作中、デイリープラネットが買収され、新オーナーの指示は売れる新聞を作れと。真実なんかどうでもいい、新聞だって商売なんだから派手な話題で売れれば良いのだと。そういったメディア批判なんかもありつつ、オーナーの娘が終盤さらわれ、宇宙空間に生身で出ても特に問題無しみたいな、いやいや流石にそれは雑すぎでしょみたいなツッコミ所はやっぱりある。
1作目のレックス・ルーサー(今回も出る)は超人VS生身の人間だが天才という対比が面白かったわけです。
2作目は生き残りのクリプトン人、スーパーマンと同じ存在ながら、悪の側についた存在。
3作目は自分自身の心から生まれたネガスーパーマンとの対決。
そして4作目の今回はスーパーマンのクローンとして作られたニュークリアマン。
なんか2・3・4と毎回「もう一人の悪のスーパーマン的存在」とばっか戦ってるよな、と思ってしまいますがやっぱりそこに頭脳で対抗しようとするレックス・ルーサーというのがずば抜けて面白い存在だし、スーパーマンと直接対決して力くらべ出来る存在というのはアクション映画として必要だった半面、スーパーパワーや飛行能力で人命救助をするシーンは当時にしてはリアルに描けたものの、ヴィランとのバトルシーンとかになると、まだ当時の映像技術では追いついていなかったのかな、という気もします。もしダークサイドとかドゥームズデイを当時出しても、悲惨な結果になってただろうなというのは想像出来る。
これを1作目と同じくらい素晴らしい作品だなんてとても言えないけれど、私にとっては下手したら1作目以上に心に響くものがあったのかもしれない作品。だから世界中がこの作品を笑い物にしても、私だけはこの作品を擁護し続けます。
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