原題:How to Train Your Dragon
監督・脚本:ディーン・デュボア
原作:クレシッダ・コーウェル
アメリカ映画 2025年
☆☆☆
名作CGアニメ「ヒックとドラゴン」の実写版。
私も大好きなシリーズですので、これはどうなるんだ?と思いつつ、オリジナルの時点で飛行シーンなんかはほとんど実写じゃん!というレベルでしたし、そこから更に現実感が増すのかと結構期待してました。
監督・脚本はディーン・デュボア・・・ってあれ?
なんとオリジナルのCGアニメ版の監督がこっちの実写版もそのまま監督として入る。
え?凄いじゃん。
インタビュー記事なんかを見ると、何故そんな事になったのかと言うと、最近の「アニメの実写化」はほとんどの作品は賛否両論になるケースが多く、ほとんどがオリジナルの魅力が表現しきれずに損なわれているように感じていたと。だったら「ヒックとドラゴン」もそうなってしまわないように、実写版の方も自分に任せてもらえないかと、実写映画の監督経験は無いものの、自ら立候補したという経緯らしい。
自分が作って、そして世界中から高い評価や共感を得られた作品がおかしなものになってしまうのは許せない、我慢できないとかそういう感じなのでしょう。おお~これは愛に溢れる感じですね。
本国では先に公開済みで評判も良いらしいと耳にすれば、これは期待しちゃうじゃないですか。
そして実際に映画館に足を運んで観てきました。
おおこれは凄い。オリジナルのCGアニメをほぼそのまま再現している。
完コピなのは素晴らしい。
・・・で?
っていう。
尺的にはオリジナルが90分ぐらいだったのが、今回は120分ぐらいになってるのですが、明確にここのエピソードが追加されたとか、このシークエンスに多めに尺を使ったんだなとか言うほどの変化が無いです。
そう、CGアニメと全く変化が無い。アニメを違和感なく実写化したのは凄い。オリジナルが非の打ちようのない大傑作なんだから、こっちも実際に素晴らしい作品である事は間違いない。シリーズに触れた事が無い人は、これで初めて触れて、そのままCGアニメの2や3、あるいはTVシリーズに流れても、全く違和感は無いでしょう。
でも、元の作品を見てる人が、改めてこれ見る必要ある?
同じだ!凄いじゃん。逆に何が違うのこれ?
いや、同じ作品を繰り返し何回見たって良いんです。オリジナルを知らなかった、或いはアニメとか見たくないしっていう人が「ヒックとドラゴン」を知る切っ掛けになるのはとても良い事です。
傍から見ればただのコピーでも、監督にとってもね、実写映画は初挑戦の分野。ご本人にとっては新鮮だろうし挑戦だろうし、こことこかこことかは肝だからそのまま寸分違わず再現したけど、ここのカットは少し違うんだよねとかはきっとあるでしょう。
でもゴメン、オリジナルは100点満点の作品なのは同意します。そこを他者が実写化して変なものにされてしまうのが嫌だった気持ちは十分にわかります。でも、ここまで同じならそもそも別に実写化なんかする必要も無かった気がしてしまったし、逆に言えば私はあの名作を他のクリエイターが解釈したらこうなったみたいな、別バージョンが見たかった。結果論かもしれませんが、例えそれが駄作になってしまったとしても。
よく原作改変問題ってあるじゃないですか。どっちかというと、原作を変えるな、原作のあの場面が再現されてないじゃないか!原作のネームバリューや中身を借りて商売するなら原作をちゃんとリスペクトしろよ!っていう声の方が世間的には大きいと思うんですが、原作へのリスペクトは勿論必要だけど、私は原作を100%再現みたいなの否定的な方です。同じ事やる意味なんかある?
映画も漫画も小説もゲームもアニメも実写も全部違うメディアじゃん。同じ話でもそれぞれの特性に合わせてカスタマイズしなければそのジャンルの良さなんか出るわけがないし、クリエイターが違えば視点も感覚も違う、時代が違えばそこもまた差が出るし、その「違い」こそが面白い部分じゃないの?原作を100%再現しろとか言いたがる人はその辺りについてどう考えるんだろうか?という疑問しかありません。
こんな事を言うと、この作品駄作だったんだ?とか思う人も居るかもしれませんが、オリジナルが凄いので、それを完コピしてるこれも十分に凄いんですよ。じゃあサブスクでオリジナル見ればいいじゃんっていう考えもあるかもしれないけど、この凄い作品を映画館のスクリーンで観る事が出来るのは今だけですし、そこだけでも価値は十分にある。
あと、若干例えはズレますが「機動戦士ガンダムジークアクス」という作品を私は評価して無いけれど、あれがきっかけで45年前のオリジナルの「機動戦士ガンダム」を見た人が少なからず居る、そういう導線になった事実は凄く良い事だと思うし、それこそ一つ前にエントリーした「ダイの大冒険」だって、知る人ぞ知る昔の名作に留まっていた物を、大ヒットとまではいかないものの、再注目を集める切っ掛けになったという点では十分な意味があったと思うし、実写版「ヒックとドラゴン」もそいういう役割は果たしているのだと信じたい。

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