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機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート

機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート [DVD]

Mobile Suit GUNDAM The 08th MS Team "Miller's Report"
監督:加瀬充子
脚本:北嶋博明
同時上映:『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』
日本映画 1998年
☆☆☆☆

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エンドレスワルツ特別編」ついでに同時上映作品だったこちらも。
勿論、初見とかではありません。DVD所持。

 

「08MS小隊」の劇場版ですが、この映画の公開時点ではまだOVA完結前。なので中盤の6~8話の総集編という風変わりな1作ながら、スパイ容疑がかけられたシローに対して、この映画用のオリジナルキャラである連邦情報官アリス・ミラーがシローと会話する中で過去の出来事を回想し、報告書を作って行くという、ただの総集編に別視点を加えてある面白い構成。

 

この当時の私はただの視野の狭いガンオタなだけで、まだ映画とか沢山見るようになる前だったと思う。なので、一風変わったこの作りに凄く新鮮さを感じました。

富野が「Vガン」で確か3回くらいあった総集編回をただのツギハギにせず、この映画と同じように一応は話を進めながら回想や報告みたいな形で8割くらいは過去の映像で繋ぐトリッキーな総集編みたいなのをやってたのと技術的には同じような作りですけど、08小隊のメンバーや上官ともまた違う視点で「08らしさ」をテーマとしてより浮き彫りにする作りなのが本当に凄いと思う。

 

しかもクライマックスになるのがOVA8話の「軍務と理想」というクッソ重たい話というのが、より深みを与えてるように感じる。MS同士のカッコいいバトルアクションとかじゃなく、MS対歩兵という実質のMS否定であり、戦争で人殺しをしてるのをエンタメとして楽しんでるお前ら何なの?というのを付きつけてくる。

 

ご存知の通り、OVA「08小隊」は初期の監督の神田武幸監督が途中で亡くなられ、その後に飯田馬之介監督が後任で入ったという流れ(今ではもう飯田監督も亡くなられたので08の監督は二人とも他界されてしまった)

初期の神田監督は、アメリカの戦争ドラマの「コンバット」みたいなものを目指して作っていたのだけれど、後任の飯田監督は戦争を面白半分で描いてしまうのは無責任すぎるとして、もう180度違う方向に作品のカラーを変えてしまった。

 

ここはそれこそ同時上映作品の「ガンダムW」も監督が前半と後半で交代してるけど、後半の高松監督は、前半の池田監督がやりたかったのはおそらくこんな感じであろうというのを想像しながら、流れで引き継いだ作り方でした。(自分が本当にやりたい路線は次作の「機動新世紀ガンダムX」でやった)同時期ながらこの辺りは対照的だなと。

 

私も勿論、MSやキャラクターも作品の魅力として大きいのは十分にわかるし、そういう部分も好きですが、そこを楽しみつつ、テーマ性やドラマの部分にもガンダムとして物凄い魅力を感じたし、どっちかというと後者の方が自分の好みの比重としては大きいと感じても居たので、やはり「08」は後半の飯田監督になってからの部分の方が前半よりも好きでした。

 

で、そこから劇場版はまた違う監督だったりします。「0083」の前半監督をやってた加瀬充子さんで、OVA「08」本編では5話と7話の演出で入ってる。本編の監督が変更になったのは6話のタイミング。両方の監督と演出としてやりとりをしてるはずで、いわば第3者みたいなポジションだと仮定すると一気にメタ要素も感じられて面白味が増しません?

 

本編最終話でシローが片足を失ったのは、飯田監督が世間に背を向けて自分だけ都合よくハッピーエンドというのは物語としてあまりに無責任。ハッピーエンドの物語を否定はしないけど、それなりのリスクは背負ってもらわないとという意味でシローの足を片方失わせたという感じだったと思います。

それこそエヴァ以降のセカイ系というのが世にはびこり始めた時期で、セカイ系って何かと言えば、他人が死のうが世界が滅びようがそんなのはどうでもいい、一番大切なのは自分、自分が幸せなら他の事なんて知らない!という無責任さです。私は何故そんなものに世間が理解を示したのかがわからない半面、いや実際今の世の中だってそうだよね、他人が不幸になろうが自分さえ良ければいいや、っていうのが世の中の9割くらいの人でしょう。

 

シロー・アマダだってそいういう文脈なんですよ。もう連邦だジオンだ戦争だなんかから逃げてしまってアイナと二人で幸せになるんだっていう選択をする。

物語としてそれは許そう、でもそこに何のリスクも無いっていうのもそれはフェアじゃないから、ああいうラストのキツイ演出にした。・・・のが飯田監督の最後の答えであって、この映画の監督は飯田監督じゃないし、まだその結末までは辿りついていない。

で、加瀬監督なのか脚本の北嶋博明さんなのかはわからないけど、その辺りの構造には気が付いているので、この時点では「お前が敵にしたのはこの世界そのものだぞ」とアリス・ミラーに言わせて、それを理解した上でその覚悟がお前には本当にあるのかと問う。

ただの50分の総集編映画、しかも始まりでも終わりでも無い物語で、「問いかけ」を描いた作品。でも・・・メッチャ面白くないですか?私はこれはこれで大好きな作品の一つです。

 

「08」は確か「0083」と同じく全13話の予定だったんだけど、監督の不幸で製作が長期中断。再開後は企画全体の見直しみたいな中で、ギリギリ11話で完結。エピローグの「ラスト・リゾート」と、こちらの「ミラーズ・リポート」を合わせて当初の予定の13本制作という形に結果としてなったはず。なのでミラーズリポートも1話分の予算として作れたので、ホントのツギハギだけでなく豊富な新規カットに話としても1エピソード(第8.5話)になるような作りになった感じか。

 

そしてスペシャルな部分としてEDが本編とは違う新曲がこれ用に作られた「永遠の扉」

www.youtube.com本編のOPやEDが人気なのもあってこの曲はマイナーな気がしますが昔から大好きな曲の一つです。「Gガン」を担当されていた鵜島仁文さんの作曲だったんですね。

こちらの「Trust You Forever」のカバーも良いなぁ

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という事で改めての「ミラーズリポート」感想。
久々に見ると感慨深いし、そこから更にこうして感想を書くとまた見え方が変わってくるので面白いです。この作品に限らずどんな全ての作品にも言える事ですが、その時の自分の状況や世の中の環境とかによって、物事はいくらでも違う事が見えてくるものなので、我ながら今の時代のものより昔のものが多すぎるブログですが、私は楽しいので勘弁して下さい。

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