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ゲーセン戦記 ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀

ゲーセン戦記 ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀 (中公新書ラクレ)

著:池田 稔
聞き手・構成:ナカガワヒロユキ
刊:中央公論新社 中公新書ラクレ 797
2023年
☆☆☆☆

 

「ゲーマーの聖地」として国内外で名を知られる「ゲーセンミカド」。中小店が苦境に立たされる中、多彩なラインナップと企画力で愛され続けている。同店の池田店長が、数々の名作を振り返りながら現場のリアルを語る。「ゼビウス」「グラディウス」などシューティングゲームの流行から、「ストリートファイターII」「バーチャファイター2」など格ゲーの隆盛、運営の試行錯誤や業界への提言まで、ゲーセンの歴史と未来を描いた一冊。

 


ゲーセンミカド、行った事はありません。でも最初に知ったのはNHKだかどっかでやってたドキュメンタリーだったっけかな?ゲームセンターがどこもアミューズメント化している中、昔のレトロゲーム中心のビデオゲームで何とか生き残っていて、ゲーマーの間では聖地とされているという。

 

私、今ではゲームほとんどやらなくなりましたが、最初のファミコンからPS・SSまで。いやPS2ぐらいまでかな?そこまではゲームはメッチャやってました。対戦格闘のブームにも乗った口なので、最初のスト2の頃はまだ高校生とかだったと思うけど、そこから社会人になってからは会社帰りにちょこちょこゲーセン通うようになったり、アーケードゲーム専門誌のゲーメストを愛読するようになった。

 

ゲームから離れるようになったのは、コストパフォーマンスは良いけど、タイムパフォーマンスが悪いなと感じるようになったのが大きかったのと、格闘ゲームやシューティングが少し難しすぎるようになっていたのと、セガがハードから撤退とかもあったのかな?

 

ああそうそう、セガと言えばもうそのセガもゲームセンター運営からは撤退してあちこちにあったセガワールドとかも売却しちゃったんですよね。大概のとこは受け継いだGIGOって名前を変えて残ってたりはしますが、昔のゲームセンターはどこもクレーンゲーム中心。大型筺体とかいくつかはありつつ、ビデオゲームなんてあって端っこに数台か無い所は全く無かったりする。

 

私が子供の頃は、ゲームセンターのゲームは1ランク上で、家庭用は性能的に追いつけないので、言い方は悪いけど劣化移植。本当に凄いゲームを知りたければゲームセンターに行くしかない、みたいな感覚でした。それがPSやPS2の頃になると互換基盤も増え、家庭用と業務用で差が出ないようになって行き、そこでありがたみも薄れたみたいな部分もあったように思う。

 

家庭用に重きを置いていた人にとっては、家でもゲームセンターと全く同じレベルの物が、更に言えばオプションやおまけも増えたものが遊べてもはや劣化じゃなくなったみたいな喜びもあったのでしょうけど、ゲームセンターが選ばれし者の特別な場所みたいな昔からのあこがれの感覚があった身としては、格が下がってしまった感覚もまたありました。

 

そこから10年20年、いや30年近く?この物価高で全てが上がった世の中でですよ?そりゃあ当時と同じく100円ないし50円で1クレジットとか、商売が成立しないわな。電気代差し引いて、店の利益ってその100円のウチのいくらになりますか?1台の筺体が毎日数万円も稼ぐなんてあるわけがない。

 

自販機だって昔は100円だったのが110円になり120円になりどんどん時代と共に上がっている。ガチャガチャだって昔は100円だったけど今や100円のものなんて無いでしょう。

だったらゲーセンだって100円じゃなく1クレジットの単価を上げる?と、簡単にはいかない。特殊な価格設定の筺体を物理的に作るとこから始めなきゃいけなくなるし、そもそもそれをお客さんが受け入れるのか?1コインじゃない手間のストレスと値踏み。「バーチャファイター」だって初期の頃は体感ゲーム的な位置付けで1プレー200円とかのとこもあったんですよ。200円払って30秒で終わる。そんなの普通の人やるわけないじゃん。お試しに1度とかならともかく、それで日常的に対戦とかやんないよね?

 

私は3Dポリゴンより2D派だったので、カプコンとかネオジオ系の方をメインでやってて、バーチャも少しはやってたけど、決してメインではなかった。試合時間や駆け引きのテンポがタイトすぎると感じてました。私は反射神経やコンボの繋げ方より、どっちかつーと戦術で戦ってる方だったので。

 

で、そんな1ゲーム100円入れるビジネスが今の時代に昔と同じように通用するはずがない。一般的な社会人ならわかると思うけど、会社の運営には経費やランニングコストがかかる。色々なものが値上がりするのに対して、ただ文句ばっかり言う人がいるけど、そういうのは子供かよ!と思ってしまう。資材、経費、人件費、そりゃあ10年前20年前と同じなはずがない。

で、そんな中で何かしらの工夫をしながら、聖地とまで呼ばれるようになったその秘密とは・・・みたいな。

 

「バーチャ」で言えばスポット21とかでしたっけ?トッププレイヤーを輩出したとか、全盛期で伝説が語り継がれるとかでなく、ミカドはもっともっと後進。

1号店のオープンが2006年。格闘ゲーム音ゲーのブームももう終わっていて、かろうじてネットワーク系でアーケードゲームが生き残っていた時代。が、2011年の東日本大震災で、直接の被害は無くても節電等でゲームセンターが一気に終わってしまう。

アーケードに限らず、ゲーム全般は生活には不必要な物と世間には認識されてしまったのでしょう。更に後のコロナ禍とかでは家庭用ゲームの売り上げが伸びたり、プラモなんかも一気に需要が増えた。サブスクもそこで浸透し、レンタルビデオが終わってしまったみたいな流れもあったりしましたし、ゲームジャンルのブームも含め時代は常に移り変わっていく。

 

で、その淘汰されていってしまった時代の中で、生き伸びる道を模索して行ったと。

この辺りはゲーセンやゲームに限らず、youtuberでもブログでもお店でも会社でも何でもそうですけど、生き残ってるとこはマーケティング分析とか、差別化や個性化とか何かしらやってるもの。

見よう見まねでなんとなくやってる人は絶対上手く行くはずがないですし、知恵を絞って色々やったってその全部が上手く行くはずもない中で、試行錯誤しつつそこで何かをみつけていくわけでね、その辺りはジャンルや界隈に限らず基本だよね、というのは読んでいて凄く感じました。

 

無料配信も店長はそれを有料じゃ無く無料でやるメリットは無いと感じて最初は半信半疑だったけど、結果としてそれが今は売りにもなったしブランディングに繋がったと。思いこみや信念だけでも逆にそれがネックになるケースもあると。

 

あとはそういう店を立ち上げる以前の、バイト時代も含めたインカムとか経営の視点もアーケードゲームの歴史と共に紹介してある。

単純にゲームそのものの歴史をまとめたものはよくあるけど、そういった経営的な視点まで含めた本になってるのは珍しいしとても価値のある部分。

 

クレーンゲームの運用の仕方や、メダルゲームの重要性。そして安定したインカムを稼げる「上海II」というのがまた面白い。ゲーマーじゃない一般サラリーマンとかが気軽にやるパズルゲームもあった方が良いとかいう話じゃない。「上海III」「や「スーパー上海」ではなく「上海II」のみインカムが良いのは業界では常識らしい。どゆこと?それは脱衣麻雀でも同じ現象があって「ファイナルロマンスR」だけ安定したインカムが稼げる。それは絶妙な難易度とか、UIが気持ち良いとか、チューニングが上手く噛み合ったものらしい。

 

そして全盛期はゲームセンター以外にも進出したセガの「ムシキング」や「ラブ&ベリー」はセガだけがもうかる仕組みになっていて、店の利益率はとてつもなく悪かったらしい。でも人を呼ぶには必要だったわけで、セガとしては物凄く上手く行ったものだったのでしょう。でも逆を言えば、自分だけが儲かればいい、業界の底上げ、ゲームセンターもちゃんと利益が出て業界のパイを増やして行くみたいな考え方では無かったという事でもある。

 

インカムとかに関しては、カプコンストIIを作った(当時)岡本さんとかも凄く言ってるけど、対戦格闘は1分2分で100円を消費するけど、それでも不満を言わずつぎ込む魅力があったわけで、上手い人が100円で30分も粘って遊べる過去のゲームにはもう戻れないインフレだったという話は物凄く良く分かる話です。

 

正直言えばゲーセンミカドに聖地巡礼してみたいという程の気持ちは私には無いです。たまにBGM的にyoutube配信ながし見したりはしてるけど。でも、ゲームセンターが本当に好きで、その自分の好きな物を無くしたくない、これからも残して行きたいというその気持ちに心から共感するし応援もしたくなる。

自分も同じだとは言いませんが、自分の好きな物をね、ちゃんと後世に伝えていきたいという気持ちはどこか通じるものを感じます。

 

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