僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

X エックス

X エックス [DVD]

原題:X
監督・脚本・制作:タイ・ウェスト
アメリカ映画 2022年
☆☆☆

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「エックス」「パール」「マキシーン」と3部作?なのかな?
どれも結構話題になってたのは知ってたのですが、忙しさにかまけて見て無かったので、今になってやっと見てみる。

 

作品を遠くから見てた感じだと、主人公の女の子が殺人鬼?と思ってたらちょっと違った。湖畔のモーテルで殺人鬼に襲われるという70年代スラッシャー映画の現代版というか、オマージュ作。

 

A24制作らしくただのオマージュでは無く、そこに批評性とかも加味してある作品になってはいるものの、基本的にはノスタルジーというかレトロ寄りかなぁ?
メタ構造とかは今の映画らしいけど、どっちかというとあの時代のスラッシャー映画にあこがれて、自分もああいう奴を作りたい!みたいな気持ちの方が大きいのかなと感じた。

 

この手のスラッシャー映画では、ビッチ女とかバカップルみたいなのが最初に殺されるのがお約束で、最後まで生き残る所謂ファイナルガールは基本的にはモラルがあるタイプ。

 

これは私の言葉や理論じゃなく、脚本家・スクリプトドクターの三宅隆太氏が言ってた事だけど、よくホラー映画の人物像は薄っぺらいとか言われるけどそれは意図的に深みを出して無いんですよと。丁寧に描いて感情移入なんかさせてたら、殺されるシーンがしんどく思えてしまうでしょ?この手の多くの映画は考えさせるとかじゃなくエンタメで人が死ぬ所を描いてるんだから、殺される人物に感情移入なんかさせちゃダメなんです、というような話をされてました。

勿論、作品によって様々ですし作り手の考え方は一つじゃない。重厚なホラー作品だっていっぱいあるけれど、いかにもなジャンル映画、ポップコーンムービー的に作られる奴はそれで良いのだという話で、それは最もだなと思います。

 

小難しい映画理論なんて知らずに見てる、それこそマイルドヤンキーカップルなんかは素直に自分たちみたいなビッチ勢が殺されるのを見て、こえー!とか騒いでくれればそれで良いし、同じ映画館の隅っこで一人で見てる私らみたいな童貞こじらせたキモイオタクとかはこういう映画の構造はこうで、そこから見いだせるテーマは・・・みたいな事をそれぞれやってるのが普通と言うか健全と言うか。

 

ただ、今の世の中、そんなビッチ女に人権は無いのかと言えば、彼女らだって主人公になってもいい、たまにはむしろ真面目女こそが酷い目に合わされる展開だってありじゃない?じゃなきゃ人種差別だよ的な感覚になってるのが今回の「X」でした。

 

そして逆に殺人鬼側もサイコな男だけがホラーアイコンじゃなかろうと、殺人老夫婦ながら主導権を握ってるのはババァの方。

 

で、テーマ的に面白いのはそこを意図的に対比として描いてある。若さと老い。未来への可能性がある若者と、未来のない老人。

 

ただ若さと言っても、今はポルノ映画くらいしか自分達には無いけど、将来はのし上がっていくんだ的な野心を語りつつ、見てる方としてはいや今の君ら見てると破滅的な将来しか見えないぞ?っていうちょっと一捻り加えてあるのが面白味。

 

マクシーンの将来の姿があのババァなんじゃないか?みたいに思わせておいて・・・エンドクレジットのキャストを見たら、ああそういう事か、すげーなと。

 

つーか主演のミア・ゴスさん。ラース・フォン・トリアーの「ニンフォマニアック」がデビュー作なのね。最初からとんでもねー作品に出てるな。あと私は見てないけど有名になったのは「サスペリア」のリメイク版なのか。
ここから正統派の人気女優に登り詰めるには大変そうだけど、逆に今は個性派のポジションとかも重宝されるし、未来の可能性なんて誰にもわからない。少なくともこのシリーズはヒットしてるんだろうし。

 

逆にババァ側からしたら、あの歳になってもまだ枯れていないのがある意味凄い。過去の栄華に縋る哀れさもあるけれど、若い時と同じように愛してほしい、あの味が忘れられないの的なのも、それはそれでそういう気持ちになる人も居るのかなと。

 

私はどっちかというとジジイの方の、もう体力が持たない、もう無理なんだって言ってしまうような弱さの方がなんとなくわかる気がしたけれど、そう考えるとあのババァの方は諦めきれない気力があるわけで、その分はまだ若いと言えなくもない。

 

人を殺して心に明かりがつくのはいかがなものかと思うけど、そうやって何かのきっかけや欲望を満たす事で、気持ちだけでも若いまで居ようとするのは決して悪い事では無いのでは?とも思わなくもない。いや流石に感情移入とかはしないけども。

 

結構決着が今回でついてしまったけれど、次は何すんだこれ?と思ったら第2作目が「パール」で3作目が「マキシーン」なのねこれ。なるほどそういう事なのかと思いつつ、また次回。

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