著:内田名人
刊:株式会社太田出版
2019年
☆☆☆☆☆
あの頃、僕たちはファミコンをやりながら漫画を読んでいた!!
新世代(当時)ホビーの「ファミコン」に漫画家と編集者が真剣に向き合い、本気で創り上げた“技術”と“妄想力”の結晶である「ファミ漫」。それに夢中になった小学生たちの“夢"と“熱狂"。そして、そこに巨大なビジネスチャンスを見出したゲームメーカーの“思惑"と“戦略"――それらすべてが絡み合い、奇跡のように誕生した「ファミ漫」の世界を語り尽くした永久保存版!! これを読めば「ファミコン」と「漫画」があれば何もいらなかった“あの頃”に帰れるハズッ!!
今でもメディアミックス展開でゲームのコミカライズとかは普通に存在してますが、そもそもメディアミックスなんて言葉も存在して無かったファミコン黎明期。
TVゲームなんて考え方によっては「漫画」の敵、子供達のシェアを取り合うライバルみたいなものでもあるはず。ただそこを補完し合うのがホビー漫画というもの。
漫画を読む事でよりファミコンが好きになり、ファミコンをしていなくてもファミコンに触れる気になれる漫画。
一応ここの原点って「ゲームセンターあらし」がエポックメイキングとしてあると思うんですが、この本ではあんまり触れられてません。「ファミコンロッキー」のあさいもとゆき先生が「あらし」のすがやみつる先生のとこでアシスタントをしてそこで色々教えてもらったみたいなエピソードはインタビュー中に出てはくる。しかも、みなづき由宇先生と同期だったとはビックリ。
ただ決してホビー漫画をアカデミックに読み解くとかいう本では無いので、「あらし」にあまり触れて無いのはジャンルの読み解きという所に踏み込む本では無いよ、という多分意図的なものなんだろうと思われる。
「ファミコンロッキー」あさいもとゆき
「ファミコン風雲児」池原しげと
「ファミ拳リュウ」ほしの竜一
「あこがれてエンジェル」みなづき由宇
の4人のインタビューも掲載
コロコロ系、ボンボン系、わんぱっく系、その他出版社とメジャー所と、単行本にもなっていないマイナーどころと幅広く取り扱っている。単行本になってないやつとかよく調べたものです。国立図書館でも通ったのでしょうか。
コロコロボンボンとかファミコン雑誌はともかく、ファミコンは社会現象でしたし、普通に集英社とか秋田書店とかもファミコン特集を組んだりもしたし、少女漫画雑誌に掲載されたものとか、こんなのもあったのかと初めて知るものも沢山。
私はコロコロよりボンボン派だったので、一番好きなのは「ファミコン風雲児」でした。
勿論、コロコロ読者の方が多かったし、回し読みしてファミコンロッキーも読んではいたんだけど、やっぱり子供心に醒めた部分もあって、バトルの時に大きい画面で勝負するのは良いんだけど、コントローラーまでデカイし、50連打とかただボタンを連打するだけでは攻略にはならないのでは?と小学生でも思ってました。
そこいくとゲーム基板を改造するとか、小学生にしてはマニアックだろうと思うけど、やっぱりそういうマニアのリアリズムみたいなのがあったファミコン風雲児が私は好きで、ドットチェンジ!でゲームの世界に入り込んだような感覚に陥る所も凄くあこがれました。
逆にボンボンでもハチャメチャ路線だった「ファミ拳リュウ」はやっぱり風雲児程には好きでは無かった。でもインタービューでも触れられてるけど、ほしの先生と言えばその後に「騎士ガンダム物語」でまた次のホビー漫画(騎士ガンダムはカードダスがメインなので)で看板作家をやったと考えると本当に凄い。
どの作品にしてもね、テンプレや基本フォーマットみたいなものが無い中で試行錯誤して描いていたのは事実で、これが正義であっちはクソとか簡単に言えるようなものではない。
「あこがれてエンジェル」はファミマガで連載されてた奴ですよね。この本を読むまですっかり忘れてましたが、ああ私これ好きだった!と一気に記憶が蘇る。悪魔城ドラキュラ回だっけかな?先生=エンジェルのコスチュームの胸の部分が破れて、コントローラーでそれを隠しながらプレイみたいなのすっごい憶えてました。
わんぱっくコミックスも何冊か持ってますし、そっちは物がある分記憶にも残ってましたが、自分が子供の頃に通ってきた文化をこうして当時は知らなかった部分まで知る事が出来るのはとても楽しいです。


何気に「ダイの大冒険」なんかにも触れられてて、確かに当時はめずらしい部類でした。今で言う所のコミカライズともまたちょっと違うものですしね。
ファミ漫にも方向性はいくつかあって今の主流のゲーム内のストーリーや世界観を漫画で再現と言うのは初期の頃では珍しく、ゲーム側の話のポテンシャルがそんなにそもそも無かった。
攻略漫画やゲームバトル漫画は、アクションが主流だったからこそ成り立つもので、RPGとかが一番人気になると下火になってしまう。
何十年と言うような長い年月では無くても、その話題性・トレンドからゲーム専門誌やホビー雑誌以外でもファミコンを取り入れ無くてはならなくなっていき、更には流行ジャンルの変化などでも影響が色々出る。まさに黎明期って感じでワクワクします。
例えば私も自分が生まれるより前の映画とかも見たりするように、今の若い人も源流とかに触れたくて遡るような人もゼロでは無いんでしょうけど、多分そこは少数派。大多数の人は自分の体験、自分の時代こそが原体験として色々なものの根っこになるのでしょうから、そこは各々の世代の語り口があってしかるべきだとは思う。
この本は私らの世代に向けたものだし、下の世代には下の世代なりに俺らの時代はこうだぜってものをどんどん発信していってもらいたい。
ノスタルジー半分なんだけど、ハナタレ小僧だった時代には見えていなかったもの知らなかった事に溢れていて、ノスタルジーなんだけど新しいという感覚が味わえてとても面白い本でした。
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