僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

クラッシャージョウ

Crusher Joe the Movie [DVD] [Import]

CRUSHER JOE
監督・脚本・作画監督・キャラクターデザイン:安彦良和
原作・脚本・監修:高千穂遙
日本映画 1983年
☆☆☆

 

土曜の夜に「シンエヴァ」観に行こうかと足を運んでみたものの、駐車場の時点でやたら混んでたので帰ってきてしまいました。エヴァはリアルタイムでは全然ハマってなくて、旧劇が完結してから後追いでまとめて見て、新劇は一応見ておくか、程度でそっちはその都度見てはいましたが、特に思い入れも無いので、今回も一応見ておくか、くらい。なので、ずっと待ってたファンでもなければ、話題作だから見ておくか、みたいな一見さんでも、どちらでもない。だから、あ、自分は今ここに居るべき存在じゃ無いなってふと感じてしまって逃げてきたのでした。少し落ち着いてきてからにしようかな。タイミング的に行ければくらいで。

 

何で唐突にエヴァの話をしたかっていうと、「鬼滅」でも別に良いんですけど、私は流行り物とかあまり乗りたくないタイプ。そういうのは他人に任せて自分は他の道を探したほうがいいやって思う人なんですけど、その時代やその時の空気ってのも当然あって、そこはそこで安易に批判したりするべきじゃないし、多分そこは今を味わいたいっていう凄く普通の事だと思うんですけど、逆に今は過去のアーカイブがクソほど溢れてる時代でもあるんですよね。

 

コロナで新作が止まった。なら見て無い過去の作品を見ればいいじゃない?って普通に思う。映画でも音楽でもゲームでも何でもいいんですけど、新しい物じゃなくて、過去に触れて無いものってそれはそれで無限にあるじゃないですか?変な話、ここから先もう新しい映画は一切作られませんよ、ってなったら、それはそれでちょっと寂しくはあるけど、多分、過去のアーカイブに頼るだけでも一生分困らないよね?なんて事を私は昔からよく考えてました。

 

例えば私はゲームって昔は結構やってたけど、PS2くらいで止まっちゃってます。もしゲームを趣味としてやるなら、PS2とかPS1以前のやってないゲームだけで一生やれちゃう気がする。その後に進まなくてもいいのかも。

 

なんて考えたりするわけで、勿論それは凄い極論で、新しい物にも価値や興味はわいてくるだろうし、そんな感覚もあるよ、くらいの話なのですが、そんな中での突然の「クラッシャージョウ」です。たまたまサンライズチャンネルで無料配信してたから、観た事無いし、私にってはどちらも見た事の無い物だからエヴァクラッシャージョウもよくよく考えたら別にかわんねーよな、という話。

 

タイトルくらいは知ってる。確か「ダーティペア」と世界観が繋がってるとかそんなだったような気が。(ダーティペアもちゃんとは見た事無いです)ガンダムでお馴染みの安彦良和が監督を務めた作品。っていうか知らなかったけど、やっさんの初監督作品なんですね、これ。

 

私はガノタでしたけど(今もそれなりだけど昔ほどでは無い)、いわゆる富野信者でしたので、小説とかも含めてほぼ読みつくしたりしましたが、安彦さんの方は「オリジン」以外は歴史漫画1~2本くらい読んだくらいだったかな?

 

やっさんの富野とは明らかに違う視点や歴史の捉え方は興味深くはあるものの、好きかと言われればそうでもない。かといって富野ファンではあるけれど、彼の言う事を鵜呑みにしちゃうほど私は若くも無いので、その違いの部分が結構面白いんだよなぁ、とか思ってる口です。

 

なので、安彦さんの作風が好きってほどではない。彼の政治思想とか視線が色濃く出ている「オリジン」は興味深くはあるけれど、それはそれでやっぱりちょっと違和感はあるよな、と思ってます。

 

ただね、アニメーターとしての安彦さんの技術ってやっぱりとてつもなく凄いし、ファーストガンダム劇場版3部作とかは、富野節でありつつも、そこに安彦演出が加わる事で、物凄い傑作になってるのはもう疑いようもない事実。

 

安彦さんの話で好きなのは、それこそファーストの時に、富野監督から、コンテの段階で「顔では笑っているが心で泣いている」という指示があって(確かセイラさんだった気が)、こんな演出支持を出してくる監督はこれまで居なかったと。要はアニメの絵でキャラクターに芝居をさせろっていう事で、とんでもない要求をしてくる人だけど、じゃあ自分が絵でそれをやってみせる、と対抗意識を燃やしたって何かのインタビューで言ってたのがとても好きで、そういう視点で見た時のファーストガンダムの凄さはまた格別です。これね、なかなか今のアニメでも難しい部分。多分、やってはいるんだろうけど、それが本当に伝わるのって正直私は安彦さん以上の人は今まで見た事が無い。

 

そんな感じで今回の「クラッシャージョウ」も見ました。ちょっと古臭いし、いかにも80年代アニメだなぁと感じてしまう部分はやはりあるのですが、ストーリーやドラマうんぬんよりも、そういう安彦絵・安彦アニメの技術っていう部分はやっぱり凄かったし、今回見て一番面白かったのもその部分でした。

 

富野的にはイデオンの湖川さんの方がテーマ的にもスタイル的にも合うと思うし、やっぱりそれが最高潮に達した「イデオン発動篇」は今見ても圧倒的に凄いのですが、逆に方向性が違うからこそ、それがコラボ的に生きる富野×安彦なファーストガンダムの魅力もやはり捨てがたいよなぁと改めて思います。

 

本人が封印してる「ヴイナス戦記」とかも一度見ておきたいのですが、安彦さんってお話の方の作風的には基本的に物ごとを俯瞰で見ちゃう人なので、どこが軸なのか凄く分かりにくいんですよね。今回の映画も、政治的背景とかが本質としてやりたいのか、冒険活劇をストレートにやりたいのか、親子とかをどういう軸として入れてるものなのかとか、正直ストーリーとしてはちょっとわかりにくかった。そういう部分のモヤモヤもあってか、安彦アニメ演出という技術的に物凄い方にばかり目が行ってしまう、というのはあったかも。勿論、そこだけでも十分に価値はあったと思いますが。

 

そういう意味ではたまたまの機会で「エヴァ」のかわりにこれを見てたってのもそれはそれで面白い気が。私の中では庵野もアニメーターとしての技術が凄い人であって、話とかそういうのはちょっと、と思ってたりしますので、そういう意味では安彦さんも庵野監督もクリエイターとしては通じる部分ある気がします。

 

 


関係無いけど安彦でも庵野でも富野でもなく、同じくサンライズチャンネルで始まった高橋亮輔監督の「ボトムズ」ちょっと見てしまった。今まで見た事なかったんですね。
これはこれでやっぱり面白い。最後まで見続けられるかは微妙なものの、やっぱり古いコンテンツ見てるだけでも十分なものがあるなぁと。凄く贅沢な時代ですよね。


劇場版クラッシャージョウ 予告篇

 

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