僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

機動戦士ガンダムZZ (2) (St comics―Sunrise super robot series)

画:村上としや
刊:大都社 StCOMICS 機動戦士ガンダムZZ第2巻+逆襲のシャア(99)収録
コミックボンボン88年3-4月号掲載
☆★

 

ときた洸一版「逆襲のシャア」の時に触れた、映画の公開時にリアルタイムでボンボンに掲載されたコミカライズ版がこちら。

 

近藤和久の「Z」の後に連載されたのが村上としや版の「ZZ」で、その流れで「逆シャア」も担当されたのかと思います。ZZの方は当時のボンボンKC以降、何度か単行本化されてますが、「逆シャア」が単行本化されたのはこのバージョンのみというレア収録。

 

そういう意味では貴重かもしれませんが、探してまで読むほどのものかと言えば、まあそんな事はありません。ガンダム漫画の収集家なら、せっかくなのでこれも集めようというくらい。そもそも単行本化されていないガンダム漫画なんて山ほどあるのでその手の雑誌掲載のみのものとかまで集めるとなるとキリがない。

 

ときた版の時に書きましたが、ボンボン版コミカライズは、一か月分のプロットをもらって、そこから漫画1回分にアレンジして連載という形のようですが、近藤版「Z」や村上としや版「ZZ」の時も、おそらくは同じような形だったと思われます。設定とかも決定稿が出る前にもう漫画版を描いてるのが、実はこのZZの1話目でわかる。なんと扉ページが永野版ZZで、劇中のおそらくガルスJと思われるMS(マシュマーが最初に乗ってくるMSなので)も、いわゆる誰もが知るあのガルスJではなく、ボツになった永野版デザインのMSになっております。

 

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単行本化の際に描き直しとかせずにそのまま掲載されてるので、ある意味では貴重。

 

で、「逆襲のシャア」ですが、映画の方もおそらくは同じように脚本以前のプロット段階で描いてるのではないかと思われます。しかもそれをボンボンの読者層に合わせ、なおかつ前後篇の2カ月分のページ数におさめる必要があるという、色々と無茶が要求される作り。例え同じ「逆襲のシャア」のコミカライズ版であったとしても、アニメが完成したものを観て、その上10年も経った上で描かれたときた版とはそもそもバックグラウンドが違ってきます。

 

逆襲のシャア」はアニメの前から連載していた富野の「ハイ・ストリーマー」もあれば、映画の脚本の第一稿をベースに描いた「ベルトーチカ・チルドレン」とアニメになる形の前の段階を想像できる小説が2本もありますので、そういった所を踏まえると、基本的にはボンボン読者に合わせた村上としやなりのアレンジがほとんどだとは思われます。

 

ハサウェイがパイロット候補生として最初から、ラーカイラムに乗ってたり、クェスもアムロやハサウェイと合う事はありません。基本的にはヒーローであるアムロがライバルのシャアと決着をつける話として描かれます。いや、実際決着はつかなかったりするんだけど、その辺りはご愛敬。一応、W(ウインター)作戦として、シャアの目的やこれまでの宇宙世紀の説明も入りますが、そんなのボンボン読者が理解出来るはずもありません。

 

クライマックスはハサウェイがアクシズが地球に落ちるのを地球に居る家族や子供達を守るんだ!的な所として描かれます。ボンボン読者にとってはガンダムもまた地球を守るヒーローなのでしょう。

 

決してそれをバカにしたりしてはいけません。私だって子供の頃はガンダム見てもモビルスーツがカッコいい以上の事は考えてませんでしたしね。

 

ちなみにこのコミカライズ版νガンダム、何とフィンファンネルもってません。確か一番最初に出た1/144のプラモにもファンネル付属して無かったはず。じゃあ、フィンファンネルって作品に後から加えられた要素なのかと言えばそんな事は無くて、νガンダムのデザインのコンセプトは「マントを羽織ったガンダム」でそこからフィンファンネルのアイデアに繋がっていたはず。

 

多分「0080」のガンダムNT-1アレックスが最初チョバムアーマー姿の方で公開されて、本当の姿が出るまでしばらく引っ張ったのと同じで、フィンファンネルはある種のサプライズというか、νガンダムの真の姿はこれだ!みたいなコンセプトで展開してたんだと思います。だから公開より先に描いてるこのコミカライズ版にはフィンファンネルが出せない。

 

アニメの方ではアムロνガンダムの調整時に使っていたヘッドセットが「サイコミュヘッドセット」として特別な物として描かれるのと、そのおかげで超高機動が出せるのがνガンダムの特徴として描かれてます。ギュネイのヤクトはその目に見えない程の高機動で倒すという形になってます。そこだけだとちょっと「F91」っぽい。質量を持った残像は出ませんけど。

 

そういえば先日、ガンダムファンクラブ限定プラモとして「νガンダム ファーストロットカラー」なるものが公開されてましたけど、何それ?と思ったら、あの逆襲のシャア「特報」でバルカンぶっぱなしてたあのバージョンなのだそうな。随分マニアなとこついてくるな~と半分呆れますが、逆にそういうとこが面白くもありますね。


この単行本の表紙のνガンダムもボディの本来なら黒い所がグリーンになってますのでカラバリとしてコミカライズ版の設定生かしてバリエーションでっちあげるのもアリかも。商品出ても私は買わないけど。

 

ギュネイが一度やられた後、クエス機の方で再出撃したり(肝心のクエスは戦うシーンなし)ケーラがアクシズショックで無駄に死んだリと、何これ感は満載ですが、これも公式の漫画としてちゃんと表に出たものですので、いつか拾われる日が来るかもしれません。

 

ガンダムはこんな辺鄙なものまで飲み込めはしない!だから黒歴史にすると宣言した!とか言われそうですけどね。エゴだよそれは。


そうそう、逆シャアとは関係ないんですけど先日ツイッターで面白い話を見つけて、岡崎守版のファーストコミカライズ版、アムロがギレンの演説にブチ切れてTVモニター壊すって言う岡崎版のネタとして語られがちなシーン。あれってちゃんとTV版の方のプロットにはあったシーンだったそうな。ああいうのもただネタとして消費するより、掘り下げていってその背景を調べたり解釈の幅を広げる方が個人的には好みです。

 

恐らく、今後もいくつか作られていくであろう逆襲のシャアの漫画関連、とりあえず今回で現状出ている4作品程を取り上げる事が出来ました。


次は何を読もうかな。


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マイティ・ソー/ダーク・ワールド(MCUその8)

マイティ・ソー/ダーク・ワールド MCU ART COLLECTION (Blu-ray)

原題:THOR THE DARK WORLD
監督:アラン・テイラー
アメリカ映画 2013年
☆☆☆

 

MCUフェイズ2の2作目にしてマイティ・ソー第2作。
割とMCUのシリーズの中では「インクレディブルハルク」に並んで、低評価を受けがちな作品ですが、別にそんなにつまんないとかではなかったような?という当時の印象。でも、じゃあソー2ってどんな作品だったっけ?と言われると、ロキが良いんだよなぁというのと、ヴィランは確かダークエルフとかだっけ?みたいに曖昧な印象なのは確か。

 

で、今回見返して見てどうだったかと言うと・・・うん、つまんなくはなかった。でも確かに印象に残りにくい作品だなぁと。敵がダークエルフのマレキスですが、多分邦訳版の範囲内での原作コミックの方では出てきた事が無いキャラですし、いわゆる新キャラ初登場みたいなのが無いのか原因の一つ。

 

「アイアンマン3」も正直ヴィランが有名スーパーヴィランじゃなかったですし、他のアベンジャーズメンバーが絡まないのもあって、似たような作りなのかなと思いますが、あっちは終盤に新型アーマーが大量に登場という見せ場らしい見せ場があった分、そこに新鮮さがありました。同じ2で比較するなら「アイアンマン2」だとウォーマシンにブラックウィドウにフューリーが本格参戦。で、この次の「キャプテンアメリカ2」ならファルコンにウィンターソルジャー。今度はこれが出てきたか!っていう表層上の目新しさがあるわけです。

 

これがダークワールドには無い。印象にも残りにくいし、MCUの中でも重要イベントがあるわけでも無しで、そりゃ「あまり語られない作品」になっちゃうのも仕方ないのかなと。

 

かと言って既存のキャラのウォリアーズ3+シフの魅力が存分に描かれるかと言うと、ルーチンワーク的に一人づづ順番に1度の見せ場がある、という程度。(日本人的に注目する浅野忠信のホーガンなんか見せ場すらない。)これちょっと勿体無い。無難に作ってある分、逆に普通というかこの作品ならでは、という感じがしない。

 

肝心のマレキスも動機や強さが中途半端な気がするし、「エンドゲーム」で拾われた母フリッガとソーの別れも、そもそもこの親子の描写が少ない。ストーリー上、母との話がソーでなくロキの方に比重を置いて描かれてる。

 

フェーズ1は「アベンジャーズ」を成立させるという確固たる目標があって、じゃあそのアベンジャーズをやった後に、何をやるのか?次はどこを目指す?っていうのが曖昧になってしまっていた時期なのかなぁと。

 

前作までで、ロキがアベンジャーズで使ってたセプターとキャップ1作目のコズミック(4次元)キューブがインフィニティストーンという事になって、今作の「エーテル」も6つのストーンの内の一つだよ、というのが作中で明確に言われていて、インフィニティサーガとしての目標は設定上ここから入ってきてはいるんだけど、それはあくまでただの仕込みであって、映画単品の作品としては何をやりたいのかがちょっとわかりにくい。

 

この作品、後に「ワンダーウーマン」を大ヒットさせるパティ・ジェンキンスが最初は監督の予定でした。でも意見の相違みたいな感じで降りてしまう。で、そのパティ押しだったナタリー・ポートマンも今回の仕事はやるけど、これ以降はちょっと、と距離を置いてしまう事に(結局また戻ってくる事にはなりましたけども)

 

「アイアンマン」も監督としては3でファブロー降りてしまいましたし、同じくフェイズ2で進んでいた「アントマン」もエドガー・ライトが同じような理由で途中で降りてしまったと。そういうネガティブな要素が生まれつつも、逆にルッソ兄弟とかジェームズ・ガンを起用したり、今後のMCUの隆盛を左右するするくらいのポジティブな面もある。フェイズ2はまさしく過渡期だったんだなと、改めて思います。

 

で、そんな中でもMCU屈指の人気キャラのロキですよ。
「ソー1」はともかく、「アベンジャーズ」でまさしくやられキャラという役をまっとうし、逆に今度はその小悪党っぷりがコメディリリーフとして愛されキャラになる辺りがまさしくトリックスター。愛憎渦巻くシリアスにもなれれば、ギャグまでこなし、本心が見えないが故に、こいつは何を考えているんだ?っていうドラマやストーリーの牽引役までこなせる。下手すりゃソー以上にロキの存在感は大きい。

 

ついでに、思いっきりコメディ要素として描かれる、地球(ミッドガルド)の科学者ご一行様チーム。セルヴィグ教授に助手のダーシーに助手の助手イアン。アスガルドでシリアスな話やってんのにこいつら何やってんのよ、という落差が非常に楽しい。リアルタイムで映画館で見た時も、そんなにつまんない印象が無かったのは、多分この人達のおかげです。

 

MCUがDCEUと比べると明るいってよく言われますし、ソーも次の3作目でよりコメディ要素を増やしてようやく跳ねたって言われてますが、そういう「その後」の事を考えると、科学者御一行様がドタバタやってたのは決して無駄じゃ無かったと私は強く言いたい。

 

確かに色々な要素が散漫で、インパクトのある新しいキャラも出ない。エーテルの下りも正直雑だと思う。でも、これはこれで私は楽しんだし、MCUでは飛ばしてもいいみたいに言われると、これもそれなりに楽しんだ身としては、ちょっとかわいそうかなと思います。

 

こうやって見返してみると、意外とまた色々な発見や分析も出来てやはりMCU楽しい。

 

さて、次はみんな大好き「ウィンターソルジャー」です。


映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』日本版予告編

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ビフォア・ウォッチメン:ナイトオウル/Dr.マンハッタン

ビフォア・ウォッチメン:ナイトオウル/Dr.マンハッタン (DC COMICS)

BEFORE WATCHMEN:NITE OWL・DR.MANHATTAN
著:J・マイケル・トラジンスキー(ライター)
 アンディ・キューバート、ジョー・キューバート、ビル・シンケビッチ
 アダム・ヒューズエドゥアルド・リッソ(アーティスト)
刊:DC ヴィレッジブックス ビフォア・ウォッチメンシリーズ3(全4巻)
アメコミ 2014年
収録:BEFORE WATCHMEN:NITE OWL #1-4  :DR.MANHATTANE #1-4  :MOLOCH #1-2(2012-13)
☆☆☆☆★

 

「ビフォア・ウォッチメン」シリーズ3冊目。
今回はライターに「ソー」のストラジンスキーを迎え、ナイトウル編はキューバート親子、マンハッタン編はあのアダム・ヒューズがアートを担当。表題作の他にモーロック編も収録。

 

正直、あまり良い評判を聞かなかったビフォアウォッチメンですが、1冊目を読んで、まあ気持ちはわかるけどやっぱり無謀な企画だよね、と思いつつ、あれ?2冊目のダーウィン・クックすげぇ良いじゃん?となり、この3冊目、あれれ?これ普通に面白くない?てゆーかめっちゃ面白いじゃん!という感じです。期待値が低かったのもあってか、予想以上に面白いです。

 

まずはナイトオウル編。
ナイトオウルと言いながら、コンビを組むロールシャッハさんもW主人公かというくらいに出番多め。

 

SMクイーンみたいなトワイライトレディも含め、シュールな感じもありつつ、きちんとストーリーは読ませてくれるのが流石。

 

バットマンのパロディ的な要素もありながら、ナイトオウル(2代目)はナイトオウルなりのキャラクターをきちんと確立してある辺りがとても上手い。「ウォッチメン」本編でもナイトオウルが一番普通の人という立場ですし、みんなロールシャッハが好きって言うけれど(私も好きだけど)、所詮はナイトオウルみたいな所が大衆の行きつく先でしょ?と思わせつつ、でもお前(読者)は所詮シーモア、という辺りがウォッチメン本編の面白い所。その無情さが最高。

 

でもね、その「所詮大衆はこんなもの」程度のナイトオウルもね、こうやって彼なりにヒーローを目指して、不屈の闘志で立ち上がる姿を見ると、その「所詮は」なりに頑張ってるんだよ、ふざけんなコンチクショー、俺はナイトオウルを応援するぜ!という気にさせられます。ナイトオウルかっこいい!ホッホー!

 

こうやってサイドストーリーらしいサイドストーリーを見せられると、やはり本編のキャラクターの立たせ方が圧倒的に上手かったんだなと再確認させられます。オジマンディアス、Dr.マンハッタン、ナイトオウル、ロールシャッハ、そしてコメディアンと5人それぞれの思想や立ち位置、物語の構造からくる理論で考えて作られたキャラクターながら、ただの役割以上の深みがちゃんとあって(あのページ数でですよ!?)それでいて結局はカチっとパズルのピースのようにハマってしまう、あの構成力。う~んやっぱり「ウォッチメン」以上の漫画は正直ちょっと思いつかない。

 

で、ちゃんとこの外伝は、ウォッチメンにおけるナイトオウルとはどういった存在なのか?何を描くべきなのかをちゃんと考えてストーリーを作ってあるように感じます。ストラジンスキーすげぇウォッチメン読み込んでるなぁ、みたいな。いやプロの作家でこういう企画なんだからそんなの当たり前っちゃ当たり前かもしれませんが。

 

そしてナイトオウル編はアーティストがキューバート親子。息子のアンディーがペンシラーでお父さんのジョーがインカー。で、#3まで仕上げた後にお父さんが亡くなってしまってこれが最後の作品になったんだとか。でもって#4でジョーの代わりに入ってくれたのがビル・シンケビッチ。なんかもうこれだけで感動ストーリーです。

 

続いてDr.マンハッタン編。
こっちのアートはあのアダム・ヒューズ。(日本でも画集が出ました)表紙絵担当しか知りませんでしたが、ちゃんとコミック本編もやるんですね。っていうか美少女アートしか基本知らなかったので、オッサンばっかりのこういう作品でも全然行けるなぁと感心しました。

 

で、話の方もメチャメチャ面白い。あのマンハッタンの時間や存在を超越したモノローグを完全再現。その上、量子力学の「シュレディンガーの猫」とかをここまでウォッチメンと絡めてテーマ性をリンクさせるストーリーテリング。正直、驚かされました。

 

それは勿論、アラン・ムーアが初めてやったものをきちんと分析して、ある意味コピーのような形で再現したのかもしれないですけど、それでもここまでやれるものだったのかと脱帽するしかない。

 

あの時間がひっくり返る所とか、半分遊び心っぽい感じにも思えるけど、絵と文字で一体何を表現できるものなのかをきちんと考えぬいて、こういう表現はどう?みたいにやったのかと思うと、メチャメチャ面白かった。

 

ところで私、「シュレディンガーの猫」ってオタクなので当然知ってましたが(結構漫画とかで引用されるネタですよね。私が最初に知ったのはゲームの「街」だったかも?)そもそもこれって、本来は量子力学を批判的に揶揄する為に言われた話だったんですね。解説書読んで初めて知りました。で、wikiで調べてもやっぱそういう記述がありました。わかりやすくて逆に広まったっていう面もあるらしいですが、まんまとオタクもそれに乗せられてたというわけですね。逆に面白い。

 

そしてもう一つ、モーロック編。
いやこれも面白い。ナイトオウルでもシーモアでもなく、所詮は大衆なんてこんなもんでしょ?キャラの一つの面かなと思います。

 

虐げられた存在の成り上がりと、そこでの自己の確立。そしてやがては神の導きを信じ、反省して心を入れ替えたはずだったが・・・。いや切ない。


どの話もメチャメチャ面白かった。
あくまで派生作品なのかもしれないけど、これアリなんじゃない?と思わせてくれる力作でした。ストラジンスキーって私が思ってたよりずっと凄い作家だったのか?(日本語版で出てる「ソー」3冊は読んでます)ダーウィン・クックと共にもっと読みたいと思わせるものがありました。

 

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遊星からの物体X <デジタル・リマスター版>


『遊星からの物体X』デジタル・リマスター版予告編

原題:THE THING
監督:ジョン・カーペンター
原作:ジョン・W・キャンベル『影が行く』
アメリカ映画 1982年
☆☆☆☆★

 

<ストーリー>
1982年冬、南極基地の隊員たちが、氷の中に閉じ込められた何かを発見した。その正体は10万年前に地球に墜落し、氷の下で眠っていた宇宙生物だった。接触した生物の細胞に同化、擬態を行うその生命体は、次々と隊員たちを襲い、基地の中へと潜入する。
 およそ2万7000時間後には地球上の全人類と同化が完了するという試算結果に怯えた生物学者ブレアの手により、通信手段、交通手段を断たれ孤立した基地。一体誰が本物で、誰が“物体X”かわからないという究極の状況下で、疑心暗鬼に陥る12人の隊員たちは生き残ること が出来るのか―。そして人類の運命は果たして―。

 

映画館再開で2本目。新作が配給されないからなのか、デジタルリマスター版として「遊星からの物体X」が上映という事で、これは見ておきたいなと。作品自体は観た事ありますが、流石に映画館では見てない。

 

最初に観たのはいつだったっけかな?流石にビデオ時代では無いと思いますが多分10年以上は前。「ファーストコンタクト」の方に合わせてだったっけかな?ちょっと忘れてしまいましたが、その時の感想はまあ普通に面白い作品くらいだった気がします。

 

なかなかスクリーンで見る機会なんてないだろうし、せっかくだから見ておくか、ぐらいの気持ちで観に行ったのですが・・・これがまたちょー面白い。

 

確か、半リメイク、半プリクエルっぽい作りだった「ファーストコンタクト」でエンドクレジットでこの作品の冒頭のモリコーネの不穏な音楽で締めてた気がするのですが、そのおかげか、最初からグッと引き込まれます。

 

初見の時は、冒頭の犬をヘリで追いかけてるシーン、一体これ何やってるんだ?という不穏な幕開けくらいだったものが、最初からもうこれキター!みたいな感じで非常に楽しい。

 

カート・ラッセルって結構つぶらな瞳で、ヒゲとか生やして精悍な感じを出そうとしてるけど、結構可愛い顔してたんだな、とか余裕を持って観れる分すごく楽しい。

 

有名な血液検査の部分でも、来るとわかっててもタイミングまでは憶えて無かったので、ドッキリ&そうそうこれこれっていう感じで、2回目観ても全然面白い。

 

何より閉ざされた閉鎖空間で、人間同士が疑心暗鬼になってギスギスしていく様と、それが雪に閉ざされた南極基地っていうのがまず最高です。

私は、非日常へのあこがれって昔からあって、こういう空間に自分も身を置いてみたいっていう願望があります。多分、本当にリアルに巻き込まれちゃったら嫌なんだろうとは思うのですが、映画だとかゲームだとかでこういうの観ると、自分も体験したい、作品の中に入りたいって凄く思うんですよね。閉鎖空間でのサスペンスなんてドキドキするじゃないですが。このシチュエーション、ものすごく好みなのです。

 

そしてこの作品が後の作品へ与えた影響を考えると、その功績ってメチャメチャ大きいですよね。「寄生獣」だってこの作品が無かったら絶対生まれてなかったはず。

 

クリーチャーの造形も見事ながら(あの頭がカニ歩きするやつ最高)やっぱり私はこのシチュエーションに一番惹かれました。そして人間や犬に擬態する事で生まれるサスペンスの面白さ。

 

私はホラー映画が大好きですけど、ホラーに求めるものって怖さじゃないです。かと言って残酷描写やグロテスクさを見たいわけでもない。ホラー的な要素を持つものを使ってこそ描く事が出来るドラマが好きなので、根本的にはやっぱり「非日常」という要素なんだろうなと再確認できました。

 

やたらと爆発しまくりな所とか、ちょっとツッコミ所は勿論あるのですが、この作品の中の世界、こんなシチュエーションやストーリーに自分も入りたい!と思わせてくれて、最高に楽しい映画体験になりました。演出やアイデアの面白さで、本公開時から36年経ってもその面白さが十分に伝わってくるのはそれだけ優れた映画という事ですし、逆に言えば、今面白いと思った映画も30年後に見ても面白いままなんだろうか?とか変な事も考えてしまいます。

 

「ゾンビ」日本公開復元版の時にも思いましたが、こうやって昔の作品もスクリーンで観られるのは凄く幸せ。調べてみたら同じくジョン・カーペンターの「ゼイリブ」も30周年HDリマスターとか一部でやってたみたいじゃないですか。すごく見たい・・・。「ゼイリブ」もメチャメチャ面白い作品ですし、今の時代だからこそより響く内容ですよね。

 

コロナもまだ2波3派が怖いので、大衆が集まるような作品はまだ先送りにしてもいいと思うのですが、こういう観に来る人しか観に来ないタイプの映画、どんどん今の内にやってほしい。

 

「遊星からの物体X」改めて好きな作品になりました。多分昔の「遊星よりの」の方は観てないはずなので、そっちの方も観ておこうかなという気になりましたし、「ファーストコンタクト」もまた見返したくなってきました。

 

いやぁ~映画館って本当に良いものですよね。

遊星からの物体X [DVD]

勇動X 魔進戦隊キラメイジャー

魔進戦隊キラメイジャー 勇動X [全6種セット(フルコンプ)]

食玩、「勇動X 魔進戦隊キラメイジャー」購入いたしました。

 

全6種類

f:id:curez:20200524213234j:plain外箱はこんな感じ

 

中身の方は

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単品の可動人形一つにシール。それと食玩なので当然お菓子(ラムネ)でシンプルな構成。仮面ライダーとかの似たようなシリーズの装動は基本AセットBセット2つ買わないと成立しないので、戦隊は1つで済む分、お得な感じです。

 

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武器と表情付けの為の平手パーツが別枠ですが、それでも500円+αくらいで成立するなら全然安いと感じます。これがAB合わせて千円とかだとちょっと躊躇。ライダーは見てはいるけどあまり好きでは無いので、女性ライダーとか出た時にたまに買うくらい。(ツクヨミは結局出ないんでしょうか?)

 

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シールを貼るとこんな感じ。食玩ですので、流石に超クオリティってほどではなく、それなりにチープではありますが、値段の割には悪くないと思います。

 

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戦隊はね~、やっぱり5人揃えてナンボですので、3000円以内で全員揃うってだけでも貴重。プレミアムバンダイでもミニプラに合わせて「サンバルカン」と「ゴーゴーファイブ」の勇動出ましたけど、どちらもまだちゃんとは見てない(1話2話くらいは割と大体の戦隊見てるのですが)作品で思い入れも無いのでスルーしましたが、好きな作品が来たらどうしよう?プレバン価格ですから値段で躊躇しちゃうかも。でもコンセプトは凄く良いと思いますので、戦隊フィギュアーツが止まっちゃった分、細々とでも過去戦隊とか続けてほしい商品ではあります。

 

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半ば無理矢理ですが、一応アクロバティックな決めポーズもとれる。
足首がボールジョイントなので割と設置性は良いですけど、流石に青はピンクかついで立たせるの厳しかったんで、まだ棚に飾ってあったポッピーの足場を奪ってきて立たせてます。

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やっぱり戦隊はズラリと並んでこそ。

 

勇動ヒロインズ

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昔からこの手の戦隊食玩可動フィギュアはあったようですが、「勇動」のブランドでシリーズ化したのはキュウレンの終盤にテスト的にシシレッド(&オリオン)とホウオウソルジャーが商品化されて、次のルパパトからメンバーを揃えられるようになりました。色味的にルパンイエローがカッコいい。マントがついてるのも良いですね。

 

私はブンドド派なので固定フィギュアにはあまり興味が無いので(結局は少し触った後に決めポーズで飾って終わりか袋に詰めてしまってしまうんですけれども)安くてある程度はポーズが自由に決められるこの手の奴はとても嬉しい。

当然、追加戦士の2弾はあるとして、あとは戦闘員とパワーアップフォームみたいなのが来るのかな?放送は中断しちゃいましたけど、キラメイジャー凄く面白いのでそちらも楽しみに待ちます。

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テンションMAX テンションMAX

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ほいっと ほいっと

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ターボなイケボ

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ジェッタぎゅいんとFLY

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プロペラ 舞う~


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スター☆トゥインクルプリキュア オフィシャルコンプリートブック

スター☆トゥインクルプリキュア オフィシャルコンプリートブック (学研ムック)

STAR☆TWINKLE PRECURE Official Complete Book
刊:学研プラス iid Gakken Mook
2020年
☆☆☆☆☆

 

ようやく出ましたオフィシャルコンプリートブック。例年だと3月に出るケースが多かった気がしますが、前年のHUGの時も4月にずれこんでたっけかな?今年は世の中が世の中なので、まあ仕方ない。出してくれた事に感謝。個人的にはこのオフィシャルコンプリートブックが出て一つのシリーズの締めくくり、という印象が強いです。

 

ただ今年はまた春映画が延期になって公開されていないのと、感謝祭のソフトもまだ残ってるので、早く見たいという思いと、まだまだスタプリは続くよ~っていう感じがしてちょっと嬉しい。楽しみがあるというのは生きる糧になります。

 

スタプリ、映画の方をソフトが出てから再見して、新しい発見があった事はその時に書きました。映画の方の記事も是非読んでください。つくづく良い作品だったなと、改めて感じます。

 

プリキュアはどの作品もそれぞれの良さがありますので、そこは順位とか無いよ、とは思いつつも、あえて順番を考えてみても上位に入るくらいに好きな作品になりました。ストレートに番人受けするというよりは、噛めば噛むほど味が出るタイプの作品かなと思います。

 

基本的に私はこの手のムック本とかって「ビュジュアルガイド」的な絵の部分の要素が多いものより、キャストとかスタッフインタビューを読みたい人なのでライダーとか戦隊の公式読本みたいなのが好み。(「リュウソウジャー」もちゃんと公式読本出るようで一安心です)プリキュアのオフィシャルコンプリートブックシリーズは「スマイル」から出るようになったのですが、この内容で価格が異常なほど安いのが凄いです。決してページ数が多くは無いものの、それでもこの手のムック本なんて安くても2000円ちょっと。大概は3000円くらいしますよね。1300円て!毎回その価格に驚かされます。

 

で、お楽しみのインタビュー。プリキュア5人のキャストインタビューを読んでるだけで正直泣けました。元々プリキュアを目指していた人、自分とは縁の無いものだと思っていた人、毎回それぞれなのですが、そういう人たちが1年間のプリキュアを経験した事で発見したプリキュア体験だったりとか、そこで培われた絆、仲間意識みたいなのが読んでいて伝わってきてすごく泣けるのです。

 

スタプリに限らずこれが毎シリーズある。ああ、1年間見てきて良かったな、応援してきて良かったな、って毎年の恒例事業のように心から楽しい本当に至福の時間です。この楽しさ、嬉しさを知らない人に伝えてあげたいと思う。

どんなにつらい事があっても、人はプリキュアがあれば生きていけるのです。

 

インタビュー読んでて、ああこれ気づかなかったなっていうのは、他の惑星との交流じゃない、いわゆる普通の話の方だと、多少後付けもあるそうですが世代間のギャップを描く事によって、それぞれの立場や考え方、感じ方の違いを描いていたのだそうな。なるほど、そういう部分でも異文化交流みたいなもので、そこでイマジネーションの大切さを描いてたのか。そこはTVシリーズ見てて気づきませんでした。面白い。2週目とかでもまだまだ新しい発見がありそう。

 

あとはノットレイダー側、敵の描き方も2面性を描いていたというのは初耳。テンジョウさんがノットレイに意外とやさしい面もあるっていうのは気付いてたのですが(「コマちゃんたち」って言いますもんね)カッパードの変なポーズとかはスタッフの悪乗りとかじゃなくて、そういうキャラクター付けだったんですね。プリキュアシリーズは割と昔から敵側もコメディちっくに描かれる事も多かったので、あんまり気にしてませんでした。あとガルオウガもマッチョなパワー系に見せかけてリーダーとしての知将っぽさとか、なるほどそういう事だったのかと。

 

プリキュア側だとソレイユがもっと単純な元気ハツラツ系の予定だった所、キャストの安野さんの声質とか人柄に合わせて、悩みの部分を予定以上に掘り下げて描く事になったとか、とても興味深い。


「スタプリ」に限らずですが、1年間と言う長丁場のシリーズなので、演じる人にキャラが寄ってくるケースが昔からあって、そういう所もまたプリキュアの面白さです。スタプリはどのキャラも掘り下げが割と描かれてたので、最終的には全員好きになってしまいます。

 

押しはやっぱりミルキーかなぁ?いやいや、一番心を動かされたのはえいたそ演じるスターでしょ?でも私、ソレイユが好きなんだよね。でもまどかさんも捨てがたいしなぁ。ユニのすみぺっぽさも面白いし・・・と結局決められない。うん、スタプリ全員好きです。

 

プルンスを演じた吉野さんのそっけなさ(照れ屋さんなのね)、ダークネスト演じる園崎さんの、名前は最後にちょっとしか出ないのに物凄く深く語ってくれてたりするとことか、とても楽しい。とゆーかこのサブキャラコメントもう少しページ多く取ってあげて!字が小さくて詰め込みすぎです。

 

後は劇場版が今回はとても凄い作品でしたし、もっとページ欲しかったなとか、エンドカード集がなかったりとか不満もあるにはあるにせよ、とりあえず今回もオフィシャルコンプリートブック、とても満足出来る本でした。

 

プリキュアも20年とかになると(あと少しですが)もっと大人向けに掘り下げられたような本もいずれ出るのかなと思いますが、まずはそこまでこの手の貴重な本を大事にしていきたいと思います。

 

ああそうそう、ツイッターの方で「スイートプリキュア」だけまとまったムック本的な奴が無いので(「コンプリートブック」はスマイルからで、初代~ハトまではBOX版に結構分厚い「メモリーブック」がついてくるのです。スイからBDの全4巻発売がスタートしたのでBOXがなくて、丁度そこだけ抜けてるのです)ハガキを送って声を届けようと言う企画があって、私も賛同したのですが、残念ながらハガキついてませんでした。スイート本、私も欲しいです。学研さん、なんなら価格は倍でも構いませんので是非お願いします。

 

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映画 ハートキャッチプリキュア!  花の都でファッションショー・・・ですか!?

映画ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー・・・ですか!?【特装版】 [DVD]

監督:松本理恵 脚本:栗山緑
日本映画 2010年
☆☆☆☆

 

プリキュア映画9作目。TVシリーズ7作目「ハートキャッチプリキュア」の単独秋映画です。

 

シリーズの中でも屈指の人気を誇る「ハートキャッチプリキュア」で、映画の方もファンからは高い評価を受けてます・・・が、私はこれ見るのまだ2回目くらいかも?プリキュア映画はDVD全部持ってるので、好きな奴は何度も繰り返し見てるのですが、これは初見の時以来、見返す気になれませんでした。でも、つまんなかったわけじゃないのです。

 

ハッキリした理由が一つ。最初に見た時、ああこれ子供の為に作ってないな、と感じたからです。よく言われるのが、ミラクルライトの使いどころがよくわからない。プリキュア映画では定番の、冒頭のミラクルライトの説明も無い。オープニングは、クレジットを背景に溶け込ませてメチャメチャお洒落なOPにして作ってあります。とてもセンスがいい。

 

・・・でも当時は思ったんです。これ、子供が喜ぶの?って。子供に向けて作っていないプリキュアってどうなの?大人が見る分には面白いけど、なんかそれ嫌だな、っていう感覚が強くて、どうにも苦手になりました。そんな感覚があったので、最初に見て以来、見返す事は無かった作品になってしまいました。

 

うん、でも今回こうして順番にプリキュア映画の記事を書く為に見ていく中でしばらくぶりに観ましたが、確かに最初に感じた違和感はあるにはあるけど、本編中、つぼみの表情が細かくギャグ顔になったり、細かい笑いを入れてきたりと、大人向けっぽい作りの中でもちゃんと工夫して子供も楽しめるような部分は努力して入れてある事に気づけました。自分の中で勝手に印象だけで決めつけてしまってた部分はあるのかなと反省。

 

全然面白いし、今後は普通にリピートも出来そうです。とても良い出来。

 

果たして映画として何が素晴らしいかと言えば、この作品、プリキュアじゃなくて
オリヴィエが主人公なんですよね。それはあくまで構造上の話で、表向きは勿論プリキュアになってるのですが。


インフレの先に、TVとは違う映画用の主人公を置く事でなんとかまともな映画を作ろうとした「NS」に先駆けて、ちゃんとこの作品からそういう事をやってたんだなと思うと、色々と興味深いです。

 

プリキュア映画の特殊性って、秋映画の方はシリーズの完結編とかじゃなくて、あくまでTVシリーズの途中の話である所です。人気のある深夜アニメなんかがTVシリーズの後に劇場版やったりするのとは違う点がそこです。映画の後にまたTVシリーズに戻らなくてはならない。

 

あと「ドラえもん」とか「クレヨンしんちゃん」の映画とも違うのは、そっち系の場合、のび太君なりしんちゃんが映画の中での冒険なり事件で何かを学んで成長しても、決してそれがTVシリーズには還元されず、いつも通りののび太君やしんちゃんに戻ってしまい、映画とTVシリーズとは完全に切りはなされたものになっている点。

 

映画って、作品の中で成長や変化があるからそこがドラマになります。(それが全てとは言わないけれども)プリキュアも基本的にはシリアスな話ですので、そういう部分はこれまでの映画でも多少なりともある。けれど、あんまり大きくは変化できないんですよね。成長しきってしまうとTVのストーリーと齟齬が生じてしまうから。なので基本的には番外編っぽい話にせざるを得ないというのがありました。

 

そこをこの映画はどうやってるかと言うと、オリヴィエに変化と成長の軸を持たせる事によって、一本の映画としてきちんと芯のあるものにしつつ、つぼみを主人公ではなくちょっと脇の位置に置く事によって、映画の中での変化では無く、TVシリーズ初期の頃とは違う一面を持たせる事で、キャラクターの変化っていうのを描いてある。そこが凄く上手い。

 

ハートキャッチプリキュア」は「チェンジ」が一つのテーマになっていて、引っ込み思案だった主人公のつぼみが、周りの影響を受けて少しづつ成長していく、という形です。でも、映画だとえりかとかゆりさんに世話をやかれていたそのつぼみが、オリヴィエがチェンジするのを手助けする、という役割になってます。1本の映画内だとわかりませんが、TVシリーズをずっと見てきた人にとっては、お~つぼみも変わったな、成長したな、と思う事が出来る。

 

この作り、めちゃめちゃ上手く無いですか?
脚本の栗山緑って、TVの方のシリーズ構成やってる山田隆司の脚本用のペンネームだそうな。(後年になって出た小説版もこの人です)なのでキャラクターの描き方に違和感も無いし、きちんと繋がりも感じさせてくれます。

 

映画の中ではつぼみだけでなくて、オリヴィエがえりか、いつき、ゆりさんと一人づ順番に一緒に行動して、色々学んでいきます。そういう所からも、構造上はオリヴィエが主人公でプリキュアはそれをサポートする立場、というのがわかります。

 

そこ考えると、やっぱりミラクルライトの出番をなかなか作れないというのも仕方がなかったのかな?とも思わなくは無いです。オリヴィエを応援するプリキュアが居て、そのプリキュアをミラクルライトで応援っていう回りくどい事になっちゃいますので。

 

変な話、子供たちはプリキュアを応援したいのであって、冷たい言い方ですけどオリヴィエを応援しに来てるわけじゃないと思うんですよね。プリキュアを観に来たのに、プリキュアが脇役で見た事も無い男の子が主人公になってるというのは、ちょっと厳しい部分あるかもしれない。で、そこらへんの構造の難しさを解決したのが「NS1」という事になるのですが。

 

ただ、オリヴィエもちょっと気になる部分があって、ルー・ガルーという狼男なわけですが、月を見て変身とかしても、実際これがあんまり狼男っぽくない。爪が伸びるくらいで、あとはスーパーサイヤ人みたいになるだけ。なんかビジュアル的にはキャラデザが馬越さんというのもあって、覚醒オリヴィエ君が「聖闘士星矢Ω」でアプスにとりつかれたみたいでした(勿論、星矢Ωの方がずっと後ですよ。)

 

これは見た目を怖くしないとかで子供達に配慮したのかなぁ?サラマンダー男爵に改造された?という背景もあって、ビジュアル的にもモンスター化した方が悲劇性も増したような気がするんですけど、その辺りはどうなんでしょう?そこだけ少し勿体無い部分と感じました。大人視点ではですけれど。

 

オリヴィエ役が大谷育江(後のキャンディですね)、サラマンダー男爵が先日亡くなられた藤原啓治と、演技はお互いにメチャメチャ良いのですが。

 

声優と言えば、プリキュア映画お馴染みのチョイ役の芸能人もこの作品は無し。もしかしたら、そういう所も含めて、映画としての雑味を押さえて完成度上げたかったのかな?と、そこは邪推してしまいます。ある意味、水樹奈々が声優と言う枠を超えた芸能人枠という考え方もありますけども。


前年のNHK紅白歌合戦に声優として初参加。で翌年のこの作品と同じハートキャッチの年にも出場してAKBと共に企画コーナーで「Alright! ハートキャッチプリキュア!」を水樹さんが歌ってくれました。個人的には、実はこれってプリキュアの歴史においても結構重要な出来事だったんじゃないのかなぁと思ってます。

 

昔に比べたら紅白と言ってもそんなに視聴率も伸びないし、アーティストにとってもさほど興味を示さない人も居るくらいになっちゃってますけど、それでも話題性という部分ではまだまだ国民的番組として注目度は高い。そこにプリキュアの名を刻んだって相当に大きいのではないかと。

 

今でこそオリンピックの公式キャラクターになったりしてるくらいまで、プリキュア=国民的番組という認知度を高めてますが、それも紅白出場とかの積み重ねの流れがあってこそなんじゃないかな?と思っております。

 

キャラクターを演じただけで、自分の歌ってる曲では無いので、って断る事も出来たんじゃないかって思うんですよね。しかも紅白って大みそかですから、プリキュア的には宣伝のつもりだとしても最後の1カ月しかもう残ってません。商業上ではクリスマス商戦で売り切って、販促から解放される最後のラスト1カ月でもある。でもそこを引き受けてくれた水樹奈々プリキュアへの貢献度は思ってる以上に大きい、・・・と私は思います。

 

忙しくてオールスターズの舞台挨拶とかだと相棒マリン役の水沢文絵の方にまかせる形になっちゃってますが、水樹奈々は十分に貢献してくれたし、そこは仕方ないと思いたい。

 

とゆーかオールスターズだと一時期、マリンのバーターとしてブロッサムも出る、くらいの言い方されてたくらいなのが、またプリキュアとしては面白い部分。作品の中ではマリンの方が後々まで重宝されるくらいに圧倒的なインパクト残してたりしますね。

 

個人的にここからプリキュアに興味を持ったっていうのもありますし、データ的なものでなくあくまで感覚的にですが、そういった紅白の効果なんかもあってか。この辺りからプリキュアも知る人ぞ知るだけの、ただの子供向けアニメからある種の「ブランド」化していったようなイメージも強いです。

 

でも、そこで保守に走らないで、次々と新しい事に挑戦していった所がプリキュアの強みかと思いますし、それは何より(何度も言ってますが)初代からしてそもそも挑戦した作品だっから、というのはやっぱり大きい。常に挑戦し続けるのがプリキュアの作風になっている。

 

こうやって再見するまでは、ややネガティブなイメージがあって、子供向け作品である事を嫌って、ちょっと大人向けの路線に走った作品なんだって私の中で勝手に決めつけてた部分がありましたが、この作品もまた一つの挑戦の一環であったのかなと思うと、これはこれで許せるし、評価したくなってきました。

 

TVシリーズの方も、他のシリーズとはちょっと違う独特の作風がある名作ですし、人気があるのも頷けます。

変身アイテムのおもちゃが、これまでずっと電子系だったものを、思いきって液晶をとっぱらってなりきりに特化させたのもハトからですし、今のライダーや戦隊でお馴染みのコレクションアイテム(こころの種)をプリキュアで採用したのもハトから。ミュージカルショーDVDの記事で、半ば無理矢理ダークプリキュアの事を書いたりしましたが、やっぱりTVシリーズの方も色々と触れておきたい部分が多くて語りきれません。そこはまず映画の方を完走してからまた考えます。

 

次は「オールスターズDX3」です。この映画とは真逆のイベント映画特化型なのでその辺りについて書こうかな。よろしかったらおつきあい下さいませ。


映画ハートキャッチプリキュア!予告

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