僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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戦争は女の顔をしていない 1

戦争は女の顔をしていない 1 (単行本コミックス)

著:小梅けいと
原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
監修:速水螺旋人
刊:KADOKAWA
2020年(連載2019-) 既刊2巻(続刊)
☆☆☆☆

 

ここ最近2巻も出てましたが、とりあえず1巻目から。
「この原作をマンガ化しようと考えた作家がいるとは想像しなかった。瞠目する。原作者の慧眼をもって、酷寒のロシア戦線での女性の洗濯兵と狙撃兵の異形をあぶり出した辣腕には敬意を表したい。それをマンガ化した作者の蛮勇にも脱帽する。男性の政治家と経済人たちの必読の書である。女たちは美しくも切なく強靭であったのは事実なのだ。」と、単行本の帯に富野由悠季がコメントを寄せていたので気にはなってましたし、いつも見てるマクガイヤーチャンネルの方でも1巻が出た時に取り上げてましたので、これは読んでおくべきものだろうと。

 

原作はノーベル文学賞も受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著の第二次大戦時の独ソ戦に参加した女性達のインタビュー集。いわゆるオーラル・ヒストリーというもののようで、その特徴なんかもマクガイヤーゼミでやってたので参照のほどを。


【戦争は女の顔をしていない】オーラル・ヒストリーの編纂による文学性と魅力

 

なるほど、口伝は口伝で体験した人の、より現実的な実際にあった話をそこから読みとるというだけでなく、当人はこう感じた、であるとか、過去を振り返った時に今はこう思う、みたいな所もまた重要なのか。

 

日本だとあまりメジャーな存在ではないですが、世界的に見ると、ルポルタージュコミックというのはジャーナリズムの一つとして定着しているジャンルです。海外コミックの邦訳版って、今は刊行点数が増えたのでもうスーパーヒーロー物しか買って無いですが、一昔前の刊行点数が少なかった時はジャンルとかに関わらず何でも買ってました。その時にジョー・サッコの「パレスチナ」とかにも当たって、こういうジャンルもあるんだなというのをその時に知りました。

 

今回の本もそれに近い印象を受けました。あくまで原書があって、それのコミカライズ版という形ですけどね。

 

戦場での衛生兵や洗濯係とかに狩りだされた女性達も居たものの、普通に狙撃手をやってる人の話もあって、ロシアは男女平等という一応の御題目と、共産国家で祖国の為に命をかけるという文脈があるので、女性も自ら戦争参加に志願した人も多かったと。

 

割と意外だったのは、戦う時になったらメンタルとしては戦場では男も女もそんなに差は無いのかな?と思ってたら、意外と女の子女の子してたのが今までに読んだ事が無い印象を受けました。漫画として売る為に萌え要素を入れてるのかな?とも思ったのですが、学術書みたいな原作もあるわけですよね?基本的には元のインタビューを生かしてるのかなと思いますし、今の世の中のジェンダーロールともまたちょっと違って、女の子は女の子らしくっていう文化や風潮もまだある時代だったのかなとその辺りはとても面白く読めました。

 

ちゃんとタイトルが生きてると言うか、もっと単純に戦争はこんなに悲惨だったんだぞ!的な話なのかと思ってましたけど、女の視点から見た戦争というこの作品なりの独特の物があって非常に興味深い。

 

「女の子」と「女の人」の使い分けがよくわかんないのと、絵柄が萌え要素がまだ残ってる感じなので、ちょっと独特な感じ。作風もあってか、絵がどことなく「ストライクウィチーズ」っぽい感じもありつつ、「ガルパン」とかをリアル方向に振って、本当の戦争だったらこんなに悲惨に人間が死んで行くんだぞ、的な感じにも思えて、他に似たものが無い独自性はとても強くて面白かった。

 

そのうち2巻も読んでみようかと思います。

 

こちらが原作

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

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