僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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戦争は女の顔をしていない 3

戦争は女の顔をしていない 3 (単行本コミックス)

著:小梅けいと
原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
監修:速水螺旋人
刊:KADOKAWA
2022年(連載2019-) 既刊3巻(続刊)
☆☆☆☆

 

第50回日本漫画家協会賞受賞

 

ちょっと前ですが3巻が出ました。
連載開始時は誰も予想していなかった、まさかのロシアの武力侵攻。今の世の中で武力による侵略戦争行為とかやった所で、そりゃあ世界中から非難を浴びるだろうとは思ってましたし、各国の経済制裁とかは実際にあるものの、2か月くらい経って、それでも未だ継戦中とか、世の中ってそういうものなのかと色々と考えざるを得ません。

 

シミュレーションではわからない世の中というのもあれば、やっぱり国と国の対立の理由とか大局的なものだけでは測れない、実際に戦火に巻き込まれている民間人の声とかもあるわけで、う~ん色々と複雑。

 

決して歴史の教科書や記録には残らない、実際の人々の声を集めたのがこのオーラル・ヒストリーなわけですが、「戦争は女の顔をしていない」という作品は過去の歴史を扱ったものです。でも、ここで語られたのと同じような現実が、今リアルタイムでも起きているという現実。

 

イエローモンキーの「JAM」って曲じゃないですが、僕は何を思えばいいのだろう?何と言えばいいんだろう?と、私はこうやって遠く離れた国で、GW楽しかったなぁとか言いながら平和を享受しているこの世の中の不可思議さ。う~ん・・・。

 

今回収録されてる中で、16話が印象に残りました。
戦後、子供達が戦車や軍用機、自動小銃のおもちゃで遊んでいるのを見て、それが許せなかった。彼女は戦時中、多くの子供達が戦車に押しつぶされる姿を目の前で見ていた。

そう、私がガルパンの感想とかで度々言ってるのがこれ。ミリタリーは昔から少し抵抗があって、それは人を殺す兵器とかを、カッコいいとか言う事に違和感や罪悪感、嫌悪感みたいなのがどうしても頭の片隅によぎる。ここはミリタリーファンの人はどう感情を処理してるんだろうと昔から気になる。

 

ただ、こうやって一つの例を挙げて、ほらやっぱりこうでしょう?昔から自分もそう思ってたんだよね、とか言っちゃうのもさ、それはそれでね、そんなのはあくまで個人の見解であって、それが正しいとか押しつけるのもちょっと違うよな、というのも同時にある。

 

ただこうやって、色々な人の声を拾う事にオーラルヒストリーの意義や価値があって、公式的な記録には残らない何かがここにあるって思えるのは本当に素晴らしい。

 

前に柴田昌平監督「陶王子」の記事にも書きましたけど、私は昔、同監督の「ひめゆり」というドキュメンタリーの上映会にスタッフ側として参加した経験があります。「ひめゆり」という作品もまさしくオーラルヒストリー作品です。

あの作品も「戦争は女の顔をしていない」もほぼ同じものがあります。決して思い出したい記憶じゃ無い。けれど残さなければ、語り継いでいかなければ、という思いで必死になって、辛い思いをしながらも語りだす。

 

ウクライナで戦争に巻き込まれた人々の声は、誰が伝えるんだろう?メディアは何を伝えるべきなのか?色々と考えちゃいますね。

 

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