Don't Worry Be Happy
原作:久米田康治
漫画:ヤス
刊:講談社 ヤンマガKC 全5巻 2016-19
☆☆☆★
「じょしらく」に続いて、久米田康治&ヤスのコンビで描かれた作品。
気にしすぎの木西一茶と、何事も「なんくるないさー」と動じないなんくる姉さんを描く社会風刺コメディ。
「じょしらく」は一応落語というジャンルがありましたけど、まああれもがっつり落語をやるとかではなく、楽屋裏でいつも通りの久米田康治らしい社会風刺コメディをやってるだけだったので、落語漫画という程では無く、結局はガワを変えたいつものやつみたいなものでした。
今回のなんくる姉さんも基本の部分はそんなには変わって無い感じ。
南国要素とお色気要素が若干だけ入ってるかな感はありますけど、「南国」と言えばのかつての下ネタ連発とか流石にそういう感じでは無い。
周りの目が気になったり、皆と同じでないと不安になる的なのは、割と現代的なテーマではありつつも、きちんとした社会学がベースあって描いてるわけじゃないので、基本的には雰囲気重視。
「絶望先生」の時もそうなんですけど、多分あれは美少女にモテまくるハーレム物のカウンター的な発想で決してアカデミックな分析から描かれたとかではないはず。ヒーローに対するカウンターとしてのアンチヒーローみたいなやつでモテまくりはするんだけど、全員メンヘラ系のバリエーションみたいな女の子ばっかで、嬉しいより怖いよ!みたいな設定だったわけですけど、時代的に総メンヘラみたいな時代に突入したのと上手く時代的にマッチしたのは大きい気がします。
多分あれ、女性が読んでも理想の女性像みたいなのを押し付けられないので、気軽に読めたみたいなのも多少はあると思いますし。そういう意味では今回のなんくる姉さん。バリエーションに乏しい感じは否めないかも。その分、サクサクと読みやすくて、普通に楽しめはしましたけれど。
で、久米田と言えばギャグ漫画のくせに、物語のラストにどんでん返し的な物を仕込んでくるのが定番。っていうか前作の「じょしらく」でもありましたっけか?単行本最後まで買って読んでるけどちょっと記憶が曖昧。
「かってに改蔵」「絶望先生」ほど、え?何これ?的なオチでは無いですが、今回は一応はどんでん返し的な展開はあり。まあでもそこは最初からなんくる姉さん何者?というミステリアスな部分はずっと引っ張ってきてたので、う~んまあ的な。
絶望先生的な、これちょっとヤバいのでは?と一瞬思わせて、同じ事は二度もやりませんよという引っかけ的な展開はドキドキしちゃいましたけど。
久米田作品では珍しく、途中から目立ってくるサブキャラとかも特になく、妹と、夏ちゃんが出番多いかな程度。
最終の5巻が、1話毎に状況がリセットかからず、なんくる姉さんとの結婚的な感じで1巻分通しての話なので、ストーリーマンガ的に読めてそこは面白かったかな。最初の1巻目と最終巻が割と面白く読めて、その間はいつものやつ的な感じです。
そういう意味では可もなく不可もなくという気もしなくはないけど、安定した面白さではありました。
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