原題:SHAZAM!
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
原作:DCコミックス
アメリカ映画 2019年
☆☆☆☆★
一応のDCエクステンデッドユニバースの7作目に当たるのがこちら。
スピンオフの「ブラックアダム」が間もなく公開になるのでその復習として再見。
っていうかシャザムの直の続編の「シャザム!〜神々の怒り〜」も来年3月と意外と速く次が見れちゃうんですね。DCの方は「ザ・バットマン」みたいなユニバースと関係無い単発もあるし、制作背景のゴタゴタもあってよくわからん。
「フラッシュポイント」をやって一回リセットをかけるとか言う話もありましたけど、フラッシュはフラッシュで、演じた中の人が色々問題起こしてどうなったのやら、という感じです。
ただね、これの一つ前の「アクアマン」は凄く面白かったですし、そこからのこれでしたので、おお~!DCも上手く流れが出来つつあるぞ!からのコロナ禍突入で、色々と全部がまた停滞しちゃった感じです。
ライバル会社として、DC派マーベル派とかあったとしても、この手のヒーロー映画好きな人なんて両方見てるのが普通でしょうし、基本私はマーベル派ではあっても、こっちはこっちで楽しみだし、面白いにこしたことはないので、頑張ってほしいとこです。ジェームズ・ガンの仕切りで巻き返しを期待したい。っていうか単発で見る分には、これも相当に面白い作品。
私もDCの方はそこまで原作のメインの話を読んで無いので詳しくは無いですが、シャザムさんも色々と苦労人。元々はDCのキャラでは無く、キャプテンマーベルの名前でフォーセットコミックスという別の出版社のキャラクター。むしろスーパーマンのパクリじゃねーかと訴えられたりしたりしつつ、人気も落ちて終了。その後はDCが正式に権利を取得して、DCユニバースのキャラクターとして再生。
でもって今度はキャプテン・マーベルの名前はウチが先に登録してるからとマーベルに言われてタイトルのみ掛け声の「シャザム」に。そんな流れの上で、更にリニューアルの機会に名前もシャザムに変更。
キモタ!なマーベルマンとミラクルマンとかの経緯も踏まえると、更に複雑な経緯も。歴史は古いキャラクターでありつつも、そんなこんなと色々な背景があるシャザムさんですが、キャラクターの特徴としてはやっぱり、ビリー・バットソン少年が、魔法の言葉を唱えると、スーパーヒーローに変身!というのが他の有名ヒーローにはない特徴。
日本のヒーローは「変身」してナンボという印象で、アメコミヒーローとかそれ全身タイツに普通に着替えるの?カッコ悪くない!?みたいなのが今ほどアメコミヒーロー映画が浸透して無い時は散々言われたわけですけど、アメコミファンにとっては、いやそれが普通なんだって!としか言いようが無かった。(ヒューマントーチみたいに掛け声付きで変身するキャラも居ましたが)
そういう部分を考えると、こちらのシャザムは世界的に昔から根強い人気があったのも、メインの読者である子供が、自分も「変身」してスーパーヒーローになりたい!みたいな願望をかなえてくれるキャラクターだったのはきっと大きかったんじゃないでしょうか。
そんな変身願望を叶えてくれる面白味もあれば、逆に容姿は大人のスーパーヒーローだけど、精神状態は子供のままという所にギャップの面白さも描けるし、ヴィランも子供の精神状態のまま大人になったという逆説的な描き方も出来て、そこは素直に面白い。
そんな基本的な設定の面白さもあれば、この映画って割とギリギリを狙ってると言うか、逆にそれはセオリー通りですよと言えるかもしれませんが、主人公のビリー君、物語の後半まで結構嫌な奴なんですよね。
自分勝手でわがまま。可哀相な境遇なのはわかるけど、兄弟は見捨てるし意外と感情移入できねーなこれ、と思わせておいてからの変化!みたいなのがやっぱり素晴らしい。そしてついには兄弟までもが!という変化のカタルシスが半端無い。落差があってこその面白さでもある。ここが凄いなと感心します。
後半、変わるのを前提としての描き方なのはわかるけど、なかなか主人公をね、嫌な奴に描く、それをヒーロー物でっていうのは勇気がいるものだったんじゃないかなぁとか素人ながらに思う。でもそこは一度始まったら2時間最後までは見る前提の映画だからこそのプロットの作り方だし、インディーズホラー上がりの勢いのある監督らしさでもあったりするのかなと思う。
ある種のダークさを売りにしてきたDCEUですけど、底抜けに明るくて、爽快感半端無いものをここに来て「アクアマン」から続いて持ってきて、いやこれはまさしく潮目が変わったなというワクワク感は当時結構あった気がします。今後も上手く行ってくれればと願う。
「ブラックアダム」は、正直あんまり私知らないキャラなので、どんな感じ?ぐらいの感覚でしたけど、予告編見たらホークマンとか普通に他のヒーローキャラも出てるみたいですし、そこは期待。楽しみです。
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