プロデューサー:武部直美
脚本:小林靖子
監督:柴﨑貴行
原作:八手三郎
特撮TVドラマ 2012-13年 全50話
☆☆☆☆☆
特命ミッション ゴーバスターズ
スーパー戦隊シリーズ第36作目「特命戦隊ゴーバスターズ」
モチーフは「スパイ」。私は全話履修済み。
戦隊大投票でも1票投じた、好きな戦隊の一つ。
同期は「仮面ライダーフォーゼ」と「ウィザード」に「スマイルプリキュア」
震災の翌年ですね。前作の「ゴーカイジャー」では震災で苦しんでる人達の何か少しでも力になれればと過去34年分の過去作からかつてのヒーローの再演というのに繋がった。で、その翌年の「ゴーバスターズ」では、お話の方で失った存在はもう戻らないというシビアなストーリーが展開。前半はそこを取り戻す為に戦おうとするんだけど、フィクションの中でそれを安易に救えましたとするのは逆に不誠実じゃないか?という観点でのそういうシナリオ。
勿論、フィクションの中でくらい暗さより明るいものを描くべきという考え方も決して間違ってはいないし、こういうのはどちらが正しいとかじゃなく、どちらも正しいし考え方一つという奴です。
プリキュアも前年の「スイート」では、震災の影響を受けて終盤の描き方を変えたと言います。不幸や悲しみは決して無くならない。でもそれも受け入れて前に進んで行こうよというのが描かれ、同期の「スマイル」では、今の子供達に必要なのは笑顔として明るい作風にしつつ、強い誰かが安易に救ってくれる展開にしたくなかったから追加戦士無しで、最初の5人が力を合わせて頑張るという意図の元に描かれた。
私は作品と現実のメタ要素を絡めて考えるのが大好物ですし、それが作品を見る上で一番面白い部分だと思ってます。アニメや特撮、漫画や映画はエンタテイメントなんだから現実の問題とか持ち込まないでほしいと考える人は多い。前述の通り、そこはどちらが正しいとかは無いし考え方だと思う。けど、それを見ない知らないふりをするのではなく、わかった上で自分はこちらのスタンスを選ぶという、ちゃんと自分の意志は持った方が良いと思うし、そこも含めた楽しさじゃないでしょうか。
それはともかく「ゴーバスターズ」
私は、たまたまTVつけてやってたやつを見たとかではなく、ちゃんとニチアサを見ようって思って見たのが「スマイルプリキュア」からの人なので、この時はまだ特撮は見て無い。最初はプリキュアだけ見てたのでゴーバスもリアルタイムで見てたわけではありません。
その後に少ししてから特撮も見てみようかなとなった後に「ゴーバスターズはロボットアニメとか好きな人もハマれるはず」みたいな評判を見て、戦隊も何本かは見た後でしたが早めの時期には履修。メッチャ面白いじゃん!となりました。
過去戦隊でも軍とか組織に所属してるチームなんかだと戦隊メンバー意外にも裏方のスタッフとかが居る描写はあるにはあるけど、ゴーバスは単体で整備スタッフの話があったり、メカの合体も本来は基地内で換装するのが前提でいかにもスーパーロボット的に戦闘中に合体するのではなく、リアルロボ寄りに描かれたり(まあガンダムセンチネル方式)確かにロボアニメとか好きな人が面白がれる部分も多い。
そしてアニバーサリー作品のゴーカイで戦隊の集大成をやった後だからか、新機軸要素も多く取り入れられ(武部Pらしさでもある)怪人を倒したら巨大化→ロボ戦みたいな一連の基本の流れを壊したかったのか、頭身台戦と巨大戦が同時進行させたり戦隊のお約束を壊す描写も多く、そのかげで合体前の1号ロボのゴーバスターエース単体での戦績が良かったり、逆にレッドが居ない状態で怪人と戦ってるのでブルーの怪人撃破も多かったり、新鮮さもあるし私の好みにも物凄くハマる。
私は昔から戦隊にずっとハマってるとか思い入れがあるとかでは無いので、レッドがリーダーで1強というスタイルよりは5人全員が同格とかの方が何気に好み。勿論前者を否定したいわけではないけれど。スタイルの違いみたいなもので、それはそれとしてみたいな考え方。
あとは私はファミコン世代だし、映画「トロン」とかも好きなのでデジタル要素とかサイバー空間みたいなのも好きな要素。
若干意味合いは違うけど、エンターが怪人を作り出す時の描写もツボなんですよ。
子供の頃から私は現実主義者で冷めたニヒリストでもあったので、ゲームでいきおいつけてジャンプすれば遠く飛べるとかやろうとしてる人に対して、バカじゃんデジタルなのにこれとか子供心に思ってたし、映画や特撮でも電子回路を操る悪役が居たとして家の中の物を自由にコントロールなんか出来るわけないじゃん。機械だからと言って電源以外の線も繋がって無いし冷蔵庫や台所の物にCPUなんか搭載されてないんだしとか思う方でした。いや今時のものはネットに繋がったりするけれど、昔の話ね。
で、今回の敵のエンターはどうするかというと、小さい回路みたいなのを対象物にアナログでペタっとくっつけて、そこからウィルスインストールみたいな段階を踏んで、おおよそデジタルとは思えない機械まで怪人化させる。(果ては消しゴムまで・・・)
この手順が好きでね、いや別にそれリアルではないだろと言われれば勿論そうなんだけど、それっぽく見せる手間がとても好き。本物のリアルはなくても、リアルっぽさがあれば十分なリアリティと思わせてくれるのはこの手の作品では結構重要な事よ。
武器をデジタル化して転送させる時に、基地の方には同じ武器が予備として何個もある描写があるけど、そういうのもまさしく嘘だけどリアルっぽいみたいな感じで、そういうのが凄く良い。
各自につくバディロイドも含めた6人+追加の大所帯というコンセプトも一応あったらしいけど(電王のイマジンみたいな)基本は3人ですし、私はダブルヒロイン制の戦隊が好きだけど、ゴーバスに関してはイエローバスター/ヨーコちゃんが好きすぎて一人で十分。
レッドバスター/ヒロム&ニック
ブルーバスター/リュウジ&ゴリサキ
イエローバスター/ヨーコ&ウサダ
とそれぞれの個性や関係性も上手く描かれてて全員ちゃんと目立つし、
そこに追加で
ビートバスター/陣さん&スタッグバスター/Jと
キャラも濃いので、戦隊見て無い多くの人が持ってる「スーパー戦隊ってガワとキャストだけ変えていつでも同じような事をやってるマンネリな感じなんでしょ?」感が一切無い。
確か「トクサツガガガ」の作者の人もゴーバスターズが切っ掛けで特撮にハマったとか言ってませんでしたっけ?そういう意味では意外と入門にも良い気がします。
脚本も「シンケンジャー」で評価を挙げた小林靖子だし、ドラマとしてもメチャメチャ面白く、プリキュアでもたまにやってる中盤で一度ボス戦があったり、飽きさせない工夫があって本当に面白いです。
レンタル落ちのDVDとか安く確保したのでいつかまた私も見返したいくらいには好き。
OP「バスターズ レディーゴー!」
歌:高橋秀幸(Project.R)
作詞:藤林聖子 / 作曲:大石憲一郎 / 編曲:Project.R(大石憲一郎)
www.youtube.com「ゴーオンジャー」の高橋秀幸が再びOP担当
1話は特殊OPからのスタート。
ゴーバスはシリーズでは珍しく、後半はアレンジとかではなく完全な別曲にOP変更になるものの、後半でも盛り上がるシーンでこれがちゃんとボーカル入りで挿入歌的に使われたりもするのでこっちのOPも存在感が無くなったりしない
OP2「モーフィン! ムービン! バスターズシップ!」
歌:高橋秀幸(Project.R)
作詞:藤林聖子 / 作曲:大石憲一郎 / 編曲:Project.R(大石憲一郎)
www.youtube.comむしろこっちの後期OPの方が若干印象としては弱いかも。
ED「キズナ〜ゴーバスターズ!」
歌:謎の新ユニットSTA☆MEN
作詞:藤林聖子 / 作曲:大石憲一郎 / 編曲:Project.R(大石憲一郎)
声優7人によるユニット。東映特撮御用聞きの鈴村健一もその中に居るし、曲としても良い曲なのでいかにもタイアップ的な異物感はあまりない。
ダンスが戦隊ダンスにしては難しい感じだけど、その分スタイリッシュ。好評だったのか後半は映像もフルのダンスバージョンにかわる。
帰ってきた VS 動物戦隊ゴーバスターズ
ゴーバス VS ゴーカイ
この時は10周年やりたいと言ってくれてたのだけど、ニック役の藤原啓治さんもお亡くなりになられ、ウサダ役の鈴木達央氏が不祥事で失脚。黒木司令官役の榊秀雄氏も、リアルタイム時は痴漢逮捕だかに協力してリアルヒーローとか言われてたものの、後になってセクハラパワハラで訴えられてこっちも失脚。
勝手な想像だけど、色々準備とかはしてたけどタイミングが悪くて流れちゃったのかなと。ぶっちゃけメイン所は大丈夫なんだし、周年記念で無くても全然良いので居る人で何かしら形になってほしくはある。
ブルーの人もちょこっとだけトラブルがあって自粛はしてたけど、今はゴジュウジャーとかにもセミレギュラーで出てたしきっと大丈夫なのでしょう。戦隊親善大使やってる黄色の腰の人はかなり貢献してるし、レッドとイエローもその後の東映特撮では難度がゲストに出てたりしますし、インタビューとか見てもみんな思い入れは持っててくれてそうで凄く嬉しい。
次はシリーズ37作目「獣電戦隊キョウリュウジャー」です
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