僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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高慢と偏見とゾンビ

高慢と偏見とゾンビ [DVD]

原題:Pride and Prejudice and Zombies
監督・脚本:バー・スティアーズ
原作:セス・グレアム=スミス
アメリカ・イギリス合作映画 2016年
☆☆★

 

<ストーリー>
18世紀末、イギリス。謎のウイルスが蔓延し、感染した者はゾンビとなって人々を襲っていた。片田舎で暮らすベネット家の5人姉妹は得意のカンフーでゾンビと戦う毎日だが、姉妹の母親は娘たちを早くお金持ちと結婚させなければと焦っていた。
 そんな時、近所に資産家のビングリーが引っ越してきて、友人の大富豪で高潔な騎士ダーシーも出入りするようになる。折しも舞踏会が開かれ、ビングリーとベネット家の長女ジェインはひと目で恋におちる。一方、次女のエリザベスはダーシーの高慢な態度に腹を立てながら、彼のことが気になって仕方ない。ダーシーも戦う姿が勇ましい彼女に惹かれていくが、身分の違いを乗り越えることができないでいた。
 ところが突然、ビングリーがジェインを置いてロンドンへ帰ってしまう。ダーシーが二人を引き裂いたと聞いたエリザベスは激怒し、ダーシーが一世一代の決意で臨んだプロポーズを拒絶してしまう。そんな中、遂に人類とゾンビの最終戦争が始まり、エリザベスとダーシーは共に戦うことに。果たして、すれ違う恋と、人類滅亡の行方は─?


ジェイン・オースティン作「高慢と偏見」にゾンビをミックス。高慢と偏見」は確かキーラ・ナイトレイが出てる「プライドと偏見」は確か見たはず。何となくコリン・ファースのイメージもあったけど、それはTV版だったようで多分見て無い。「ブリジットジョーンズの日記」で同じ役名のダーシーだったし、プライドが高くてとっつきにくい男性、という「高慢と偏見」をベースにした感じの役柄だったので、そのイメージかも。

 

文芸作品にゾンビを混ぜる、というネタだけで面白そうなのですが、ゾンビの描写が普通にしゃべって、人間の脳みそを食べる、という「バタリアン」オマージュ。あ~、そっち方向なのか。私はゾンビ好きだけど、コメディ寄りのバタリアンはちょっと・・・という人なので、その時点で若干気持ちが萎える。

 

ロメロリスペクトな私は、ゾンビでコメディやられるとあまり乗れない方。ロメロファンにも認められてる「ショーンオブザデッド」ですら、あんま好きじゃないくらいなので、コメディ方向に舵が切られると、楽しいのは楽しいんだけどあんまり真剣に作品と向き合えなくなってしまう。


同じ笑えるでも、あくまでゾンビはアイロニーであってほしい、みたいな気持ちを未だに持ってたりするので、コメディでありつつそういうアイロニーがちゃんとある「ゾンビーノ」なんかは悪くなかったのですが、せっかく文芸とゾンビをミックスさせるのであれば、もっと大真面目に作ってほしかったかなぁというのが正直な所。

 

ただ、パロディと割り切って見る分にはそれなりに面白いです。ゾンビに対抗するため女性は日本か中国に行ってカンフーを学ぶ、というのがバカバカしくも面白いし、アクションの絵面としてゾンビVSカンフーは悪くない。女性がただ逃げ惑うんじゃなくて、自ら戦う姿はカッコいいし面白い。

 

が、なんかそこも前半だけでその要素すら若干中途半端。ああ、これはアクション映画なのね、と前半は思ったのですが、何故か後半はその要素が薄れてしまう。

 

ゾンビ化しても人間の意識は保っていて、とりあえず人間じゃ無く豚の脳みそとかで衝動を抑えてゾンビ化した人なりのコミュニティを作って、人間側と取引しようとする、みたいな政治的要素は新しいし面白いなと思ったのですが、何とまたしてもそこ後半は中途半端になってしまう。

 

結局この作品は何をやりたいのかがよくわからず、ただのパロディ以上のものにはなってない感じが、凄く勿体無かった。

 

ダーシー演じる仏頂面のサム・ライリーの見た目は良かったし、ジェームズ・フランコ似で、先日見た「メアリーの総て」にも出てたダグラス・ブースも悪くないし、コメディリリーフのあの最後には神父さん役をやる事になるあの人も悪くなかった。女性陣や、歴史物らしい美術も良いだけに、ガワは上手く行ってる感じがまた勿体無いな~って感情に拍車をかける。

 

確かこれ「ワールドウォーZ」あたりと同じで、原作が出た時点でゾンビファンの間では割と騒いでた記憶があります。最初はナタリー・ポートマン主演とかで映画化するとか言ってたような。それが結局制作に回るくらいになってしまって、特にスター俳優も出ていない小作品になっちゃったのはどういった経緯なのかな。原作の時点でパロディ以上のものにはなってないって気付いたのかしら。まあブラピが出てる大作だろうが「ワールドウォーZ」は単純につまんなかったですけど。

 

作家によってはここに十分なテーマ性とかアイロニーを入れられそうなネタなだけに、ちょっと「惜しい作品」になっちゃったかなと思います。面白い部分もあるだけにちょっと残念。

 

↓予告編の作りは面白いです


『高慢と偏見とゾンビ』 予告編

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