SPIDER-GEDON:COVERT OPS
著:クリストファー・プリースト、ジョディー・ハウザー(ライター)
パウロ・シケイラ、マルセロ・フェレイラ、シモン・クドランスキ、
イブライム・ロバーソン、アンドレス・ジェレノット(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2021年
収録:SPIDER-FORCE #1-3(2018-19)
SPIDER-GIRLS #1-3(2018-19)
☆☆★
スパイダーアーミーの勝利を信じて戦う
二つのチームの死闘を描く
「スパイダーフォース」「スパイダーガールズ」を
同時収録した「スパイダーゲドン」サイドストーリー!
「カバート・オプス」単品での発売は無し。スパイダーゲドン、エッジオブ~とセットになった3冊ボックス版のみに収録。いわゆるおまけ的な感じの薄い本(同人って意味じゃ無く物量的に)なのかなとも思ってましたが、普通に単行本1冊分の分量の本でした。
ただ、前の2冊とも文句無しの面白さでしたが、こちらはそこと比べてしまうと、つまらないわけでは無いですが、若干内容的には微妙かも。日本語版アメコミって価格的にどうしても高いので、満足度が低いと結構高い買い物したなってどうしてもなっちゃいますし、単品で出すのはちょっと厳しいけど、マニアならサイドストーリーとか含めて目を通してはおきたいよね、というのに応えるにはこういう形が適切だったかなとは思います。
小プロのマーベル独占契約のおかげでヴィレッジは増刷とかも出来ないらしいので、出せるものは出しきってしまおうというのはありがたい限り。
何度か書いてきたけど、「シビルウォー」シリーズ完訳とか、マーベル・マストリードで過去の名作とかも通販限定でガンガン出してくれたヴィレッジには心からの感謝を伝えたい。積ん読になってるのもあるけど、私は全部買った。毎月届くのが、今回は何だったっけ?って楽しかったよ。独占契約期間が終わったらまたマニア向けの企画をお願いしたい所。「X-MEN2」の元ネタになった「ゴッド・ラブ・マン・キルズ」だったっけ?不朽の名作とか言われてる割にあれとか結局出て無いし。
それはともかく、今回のカバート・オプス。
スパイダーゲドン本編のサイドストーリーになってて、「スパイダーフォース」はインヘリターズを封印していた放射能に汚染されてしまった世界の方の話。核戦争後でも宇宙ステーションに極わずかな人間が生き残っていたらしく、この世界のJJJの息子がアストロ・スパイダーとして登場。アース616だとマンウルフだった人でしたっけ?ピーター周りの人とか、同じ8本足のドクオクならともかく、この辺の周辺の人までスパイダーマン化させちゃうのか。実際あるのかは知らないけど、JJまでスパイダー化
してる世界もありそう。
616組からピーターの最初のクローンであるケイン(スカーレットスパイダー)とスパイダーウーマンとしては多分一番有名なジェシカ・ドリューも参戦。ヴィレッジブックスの一連のマーベルユニバースの流れはベンディス期の「ニューアベンジャーズ」が基点に出版されてきたので、そこのメインキャラでもあったジェシカは割となじみ深い存在。確かベンディスのお気に入りだったからアベンジャーズ入りさせてたんでしたっけ?「スパイダーゲドン」本編でも何故かマイルス君が、スパイダーウーマン居ないの?あの人が一番頼りになると思うんだけど、ってやたらこだわってましたね。インヘリターズの長であるソラスの魂が封印されたクリスタルを巡る戦いが繰り広げられる。
続いて「スパイダーガールズ」の方はそのタイトル通り、女性版がメインでチームを組む話。インヘリターズの弱点が記されているという巻物を巡ってスパイダーリングが活躍。ピーターとMJ両方がスパイダーマンとして活躍し、その娘も新人ヒーローとして頭角を現してきたが、特殊な能力を持っていたという話。
巻物って何だよ?感はちょっとありますが、そこよりもヒーローとしての矜持みたいな所が描かれてあるのが割とグッと来ます。
父も母も、自分が安全な所に隠れてどうかみつかりませんようにと祈ってるだけの存在じゃないよ、危険だとわかっていても、自分と同じ運命の人達が戦っている中に、自分もきっと出来る事があるはずだと身を投じた。
そしてスパイダーリングことアニー・パーカーもまた自分がまだ未熟な存在だと自覚していながら、一歩を踏み出す。
「十分な力があるかはわからないけれど、悪者は待ってくれない。これもヒーローの宿命なんだと思う。不安や恐怖を突き破っていくのが。もう私は子供じゃない・・・」
たま~にロクでもないのも居るには居ますが、基本的にどんな世界でもね、スパイダーマンはやっぱりヒーローなんだなぁと思わせてくれるのが良いです。
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