僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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スーペリア・スパイダーマン:ワースト・エネミー

スーペリア・スパイダーマン:ワースト・エネミー (MARVEL)

SUPERIOR SPIDER-MAN: MY OWN WARST ENEMY
著:ダン・スロット、J・M・デマティーズ、ジョン・ヴァン・メーター(ライター)
 ライアン・ステグマン、ジュゼッペ・カムンコリ、リチャード・エルソン
 ウンベルト・ラモス、ステファニー・ビュッセマ(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2016年
収録:AMAZING SPIDER-MAN #698-700(2013)
SUPERIOR SPIDER-MAN #1-5(2013)
☆☆☆☆


私の勝ちだ、パーカー!!

スーペリア・スパイダーマン
スパイダーマンを超えた
スパイダーマン登場

 

という事でスーペリア・スパイダーマンです。最終巻までの邦訳が確定しましたが、このシリーズは積ん読だったので、せっかくなので新刊が出る前に読んでおく。

 

「スパイダーゲドン」の方でスーペリア活躍はもう読んじゃってますけど、こちらはアメイジングスパイダーマン誌の一応の最終号?となる698~700号までのドク・オクがピーターを乗っ取るまでの話と、そこから新シリーズとして始まるスーペリア・スパイダーマンの1~5号までを収録。

 

いやもう末期のドク・オクの悲惨な事。もはや本当に風前の灯火の状態で、機械で無理矢理延命処置をしている状態。こりゃ本気でもう死ぬ寸前だなって所で、起死回生の一手。ピーター・パーカーと自分の精神を入れ替えるという暴挙が見事に成功。

 

かくして悪のスパイダーマンがここに誕生!かと思いきや、ピーターの過去の記憶も肉体に残っており、そのあまりにも悲運なピーター・パーカーの運命の全てを知った時、ドク・オクはピーターの意志を引き継ぐ決意をする!というなんともひねりの効いたストーリー。

 

ピーター・パーカーのスパイダーマンを超える、より良き(スーペリア)スパイダーマンになろうとする、という割とトンデモ路線です。ある意味、「ホワット・イフ?」的な一発ネタかと思いきや、これまでとの比較や、関係性の変化なんかもどんどん描かれて、メチャメチャ面白い。

 

入れかわられたピーターは、ドク・オクの肉体で死を迎えるものの、霊体的な存在としてスーペリアの方に憑依。誰もその存在は感知できていないながら、もう一人の主人公として、その動向に対して、「あ~てめ~MJに近づきやがって!」とか「やめろ!絶対にスパイダーマンは人殺しはしない!」とか、スーペリアスパーダーマンの隣でピーターのボヤキやツッコミ、悲痛な叫びとかが読者にだけわかる形で描かれる。これもね、すっごい面白いじゃないですか。

 

ピーター・パーカー以上により効率的に犯罪やヴィランと向き合う計画を立てたり、かつてのシニスターシックスの同士だった、ヴァルチャーに対するドク・オクなりの気持ち。こいつがピーターの恋人だな、とMJに粉かけてみるも、感の良いMJは、どこか今までと違うピーターに戸惑い、これは上手く行かないと見ると、ドクオクはドクオクで自分の好みの女性に近づいたりして、若さを謳歌してみたりする。それでいて、ピーターが博士号を取得していないのを知ると、いやそれくらいとっとけよ!ドクターの肩書は必要だぞ!とそっちに力を入れたりもする。

 

単純にヴィランが乗り移った悪のスパイダーマンじゃなく、より優秀なスパイダーマンになるっていうセンスが新しくてとても新鮮、かつとても面白い。あのJJとも理解し合うというこれまでには無い展開。

 

ただの仕切り直し的なリニューアルではなく、過去の蓄積があるからこそ出来るまさにコミックのオンゴーイングシリーズでしか味わえないような面白さがあって、決して深いテーマがどうのこうのではないですが、純粋にに読んでて楽しい一冊でした。

 

巻末の700号分の表紙ギャラリーも極小ながら圧巻。

 

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