僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO


『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』予告

監督:山口恭平
日本映画 2020年
☆☆

スーパー戦隊MOVIEパーティ」の一編としての公開。スーパー戦隊シリーズ44作品目として3月よりスタートする「魔進戦隊キラメイジャー」の前日譚エピソードゼロ。

 

これまではVSシリーズに次の新戦隊がちょっとだけお披露目で登場。変身後のみで変身前の役者さんの姿は無しですが、アフレコは役者さん本人がやるので、大半の人が役者業初仕事で、監督から「声が出てねーぞ!」といきなり役者としての洗礼を受ける、というのが毎年の基本パターンでした。

 

今回は新しいパターンで、本編の先行お披露目のプロローグ第0話という形式。TVのパイロット版となる1・2話と監督が同じ人か違う人なのか気になってパンフも買ったのですが、どうやら同じ人になるようです。なので、とってつけたような番外編的なものでなく、地続きのファーストエピソードと捉えても良いはずです。

 

一応、知らない方の為に説明しておくとTVアニメなんかと違って東映特撮は一つの作品全話を通した監督(総監督とかシリーズディレクター)というのが居ません。まあそこは東映に限らずTVドラマ全般的にそうなんですが、4~5人くらいの監督が各話ごとにローテーションでまわしていく形になっています。

基本は一人2話セット(「仮面ライダー」が各話前後篇的な作りになっているのはその為)で作られます。やはり一番最初の第1話と第2話がその後の大まかなカラーというか基準になっていくので1・2話をパイロット版と呼びます。一応はそのパイロット版の監督がメインストーリーの重要な回を担当する事が多いのですが、締めとなる最終話はやったりやらなかったり割とその時によってまちまちなので、東映特撮の場合、監督よりも全体を総括するプロデューサーやシリーズ全体の流れを作るメインライターのカラーが色濃く出るものだったりします。今回で言えばプロデュサーが塚田英明と望月卓、ライターが荒川 稔久。過去にやった作品なんかを見ると、だいたいこんな感じかな?というのがある程度は見えてくるんじゃないかと。

 

という事で今回のエピソードゼロですが、なんとレッドが変身しない。
設定背景のお話と、レッドを除く残り4人が選ばれて変身するまで、とやっぱTVシリーズでは丁寧にやりにくい部分を最初からきちんとやる、という形になっています。TV1話ではその分、主人公のキラメイレッドに集中してお話を描いてくれるのでしょう。

 

有名なエピソードですが「獣電戦隊キョウリュウジャー」で脚本の三条陸プリキュアシリーズみたいに1話づつ各キャラが変身していって5話で勢ぞろいする、みたいな脚本を書こうとしたけど、最初から全員出してねって却下されたという話があります。
スーパー戦隊もここ数年でちょっと数字的に下がって苦労しているので、今までとは趣向を少し変えたものも今後出てくる可能性は大いにありますし、今回のエピソードゼロもまさに実験的な試行錯誤の一つだと思います。

 

ちなみに今回は5人そろってないのもありますけど、ロボ戦無し。近年の作品でも1話はロボ戦無しというのは普通にありましたが、別記事の「リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー」でもロボ戦無し。この辺りは申し合わせたわけでは無いと思うのですが、ある意味象徴的かなとも思いました。

 

スーパー戦隊における商業上のメインアイテムは変身アイテムではなくロボ玩具の方なのです。仮面ライダーは当然メインアイテムは変身ベルト。ライダーの主人公は大体4段階くらいパワーアップするのが近年の流れですが、戦隊も今は大体4号ロボくらいまで出る。勿論作品によって例外はあり。そういった流れを踏まえると、色々と考える所は多い。

 

仮面ライダーの方は未だに右肩上がりの商業成績になっていますので、さらにその流れは加速していくものと思われます。個人的な感覚では、そこの部分に大いに辟易していて、平成ライダーから令和ライダーへって話になった時、変わってくれるかなと少し思ってたのですが、結果相変わらずどころかそこが加速していて正直うんざり、みたいな気持ちでいるので、私は仮面ライダーの方は今のところ良い印象ではありません。
あ、一応私個人の感覚って言うだけで、作品を叩くみたいな事はしたくないのでその辺りはご理解いただけると助かります。

 

そんな感じで「キラメイジャー」ですが、今回の映画に関しては、まあプロローグだし、ぐらいの感覚でした。

ああ、見方側のきぐるみのマブシーナさん、初見の時点で、正直全然かわいくないし、言ってしまえばちょっと怖いよ!という感じだったのですが、声が水瀬いのりだし、見た目怖い印象はそんなに変わりませんが、動いてしゃべってるだけでいくらかはその怖さは緩和できました。見終わる頃には思い入れも出来て、マブシーナ良いキャラだよな、なんてなってるかどうかは1年後のお楽しみです。

 

そして今回の個人的な目玉はやっぱりエンディングダンスでのプリキュアとの共演です。

同じ東映のニチアサとしてセット感は割と元々強いですが、なんでここに来ていきなりプリキュアをぶち込んできたのかと考えると、やはり前述の通り、スーパー戦隊シリーズが売上的に低迷してきており、試行錯誤の一環なんでしょうけど、昨年バンダイのボーイズトイ事業部とガールズトイ事業部が統合された事も無関係では無いのかなと思います。

 

確か2年前の「HUGっとプリキュア」の時ですよね。ホテルか何かで男の子は仮面ライダー、女の子はプリキュア、みたいな専用部屋のCMを流して、プリキュアは作中で男の子も女の子も関係無いって主張をしてるのに、それはいかがなものか、みたいに話題になったやつ。

 

トイ事業部の統合はそういうジェンダーうんぬんもゼロでは無いだろうけど、どちらかと言えば少子化でこの先の売り上げ低下は目に見えているので、そこに対しての対策をとるための第一歩という感じなのかなと思います。

プリキュアを見ている男の子も居るし、戦隊を見ている女の子も居るのでそのマーケティングを別々にやるのでなく重なる所はひろっていきたい、みたいな企業からの説明も確かあったかと思います。おもちゃ会社としてバンダイのライバルであるタカラトミーの急激な追い上げも大きな問題ですしね。

 

ああそうそう、当時の話で思い出しましたが、女の子向けのプリキュアジェンダーとかこんなに切り込んでるのに、男の子向けの特撮は相変わらずで、みたいな話もツイッターとかで割と出たのですが、案の定、特オタに結構突っ込まれてました。ライダーもスーパー戦隊も時代と共にその辺りも色々変化はしてきてますよね。

 

そんな所でエンディングのみのプリキュアスーパー戦隊との共演ですが、プリキュアショーとかでやってる着ぐるみプリキュアの可能性もゼロでは無いとは思いつつ、多分あれだろうなと思ってたのが一つありました。答えは半分正解、半分不正解といった所。

 

あれというのは映画「プリキュアドリームスターズ」で、映画館のスクリーンを飛び出してくるキュアホイップ。アニメ絵でもなくキラキラしたCGでもなく、ちょっとリアルっぽい陰影をつけた、なんとなく実写風味でスクリーンを飛び出してきたという体のワンシーンがかつてあったのです。勿論それもCGなのですが、気になる人はドリームスターズ見てね。

 

今回も出だしのキュアスターがちょっとそんな感じでした。
が!歌に入るとスタプリ後期ED「教えて...!トゥインクル」のあの絵にキラメイジャーが普通に実写で混ざるというなかなかシュールな絵が流れます。
そしてリュウソウジャーED「ケボーン!リュウソウジャー」の方になるとキラメイ&リュウソウ&ルパ&パトの中にアニメ絵CGのプリキュアが混ざる。
とても変な絵面ですが、プリキュアも戦隊もどちらも好きな私にはこれはこれで楽しかった。出来れば今回だけのコラボでなく、毎回やってほしいくらいです。

 

同人誌とか私は全く手を出してないですが、戦隊とプリキュアのクロスオーバーとかあったらちょっと読んでみたいかも。


あと今回は出たばかりのキュアグレースはしゃべらずキュアスターだけセリフがあるのですが、ひかるちゃんなら普通に戦隊とも馴染めそうなキャラしてるのでそこはとても微笑ましい感じで良かった。このコラボが見れただけでも十分に満足してきました。

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