僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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機動戦士クロスボーン・ガンダム メカニック設定集

機動戦士クロスボーン・ガンダム メカニック設定集 (角川コミックス・エース)

MOBILE SUIT CROSS BONE GUNDAM MECHANIC EXPOSITION
著:長谷川裕一
刊:角川書店 角川コミックス・エース 2021年
☆☆☆☆

 

クロスボーンガンダムDUST」最終13巻に合わせて出たメカ設定本。
以前にダストの何巻目にだか特装版でついてたもののアッパーバージョン。

 

MSは勿論好きですが、設定うんぬんまで最近は読み込む程では無いので、設定本としてはそんなに期待しておらず、今回追加になった3万字ロングインタビューと、以前からその存在は語られてきたものの、公に出る事は無かったクロスボーンガンダム無印のトミノメモも収録という事で、そっち目的で購入。本編の最終巻はどこでも売ってましたが、こっちはなかなか見つからず、5件くらい本屋をハシゴしてようやく確保。

 

「ダスト」の感想はまた別にいずれ書くけども、こうなるとクロスボーンシリーズ最初から全部読みなおしたくなってきてます。

 

いや~、クロスボーンガンダムはやっぱり一番好きなガンダムコミックで、初代が一番好きだったりはするんですけど、続編もしっかり面白いんですよね。長谷川裕一の漫画はガンダムに限らず面白くって、全部は読んで無いのですが、「逆襲のギガンティス」の頃から好きで、版権物では「ビクトリーVファイブ」からの「ゴッドバード」も面白かった。

 

初代の頃からクロスボーンガンダムが好きだった身としては、絵が受け付けないって散々嫌われてきた時代もすごく知ってます。今だとメタルビルドになるくらい人気のMSになってますが、「Gジェネ」「スパロボ」とかに出る以前は正直そんなに人気は無かったように思う。富野も関わってる正当なガンダム作品であるっていう所で一部で評価されつつも、公式年表とかにも記載されないし、「ガイアギア」とかと同じでサンライズとかバンダイ非公認でしょっていうので二分されてたというか賛否の分かれる作品でした。

 

勿論、各々の感想は自由だし、どこに重きを置くかって人それぞれだとは思う。クロスボーンでさえ、初代は富野が関わってるからまだわかるけど、それ以降の続編は長谷川の同人みたいなもんでしょ、みたいな言われ方も未だにありますしね。

 

ただ、個人的にはそこってどうでも良くて、割と極端な事を言ってしまいますけど、世の中に溢れるガンダム漫画の中で、唯一長谷川だけが「面白い漫画」を描こうとしてるし、私が最大限に評価してるのって、戦闘シーンやクライマックスのドラマにきちんとしたロジックを持ち込んで、それを描こうとしてるから本当に面白いものになるし、そこが私にとっての評価軸になってたりします。

 

ガンダムうんぬんは関係無く、映画評論としてライムスター宇多丸がたまに言うんですけど、最後の勝敗を決める部分にきちんとしたロジックがあるものって実は意外と少なかったりする、と何度か語ってました。

 

決してそこが全てでは無いけれど、最後に主人公側が敵に打ち勝ったり困難を克服するにあたって、なんとなく気合とか勢いとか偶然で処理してるものが多いんだけど、そこに何かしらの納得出来るロジックがちゃんとある方が、そうかこういうやり方があったかって納得できて、より面白さとか爽快感が増すんですよね。実はそれをやってるのがガンダム漫画では多分長谷川裕一しか居ないのです。いや、探せばいくつかはあるかもしれないけれど、クロスボーンガンダムのシリーズは毎回それをやってるから面白いのです。

 

これをちゃんと指摘してるのって私は全然見た事無い。富野御大が唯一、長谷川君がこうやって長くやってられるのは他のガンダム漫画がやってない事をちゃんとやってるからだよ、ガンダムエースはいいかげんにその辺に気付いた方が良い的なコメントを出してましたが、多分そういう事です。

 

緻密な絵でもなければ、決して今風の絵柄でも無い。それでも何でこんなに面白いのかつったら、その辺りなんだけど、クロスボーンガンダムのファンであってもなかなかそういう指摘をする人居なくないですか?私はそこが不思議で仕方無い。

 

今回の3万字インタビューでも、ちょっとだけそれに関する部分に触れられてて、個人的にも、短編の時はそこまで拘らず、長編を書く時にはそれをやるのかな?って思ってたのですが、「理屈が面白い時と、理屈を度外視した面白さと言うのが両方あって、それはその時々でセレクトした方がいいんだということですね」との事でした。なるほど面白い。

 

あとは「ゼータガンダム1/2(ハーフ)」の時も、実は劇場版Zのダイジェストコミカライズを依頼されたんだけど、それは断ってゼータハーフになったっていうのも面白い。

 

Zガンダムのファンは長谷川の絵で描かれたZガンダムは読みたくないだろうし、長谷川のファンは原作をなぞった話は読みたくない。両方にとって損なものにしかならないから、それはやらない方がいいっていう判断だったようで、いやそれは確かに納得。誰も得しません。そこは流石だなぁと。

 

読み応えがあってとても面白いインタビューでした。

 

あとはやっぱりトミノメモが面白くって、元のプロットではザビーネ以外にも陣営を鞍替えするイドモン・バローっていうキャラクターが居て、「イデオン」で言う所のギジェみたいなキャラでしょうか?


「鋼鉄の七人」の時にキンケドゥは富野監督のキャラなので勝手に動かすのには抵抗があるけど、トビアは自分で考えたキャラなのでそこは自由に行けた的な事を言ってましたが、やっぱりプロットではトビアって全く存在してないキャラだったんですね。


他にもドワイトとかモニカ、リィズの事は考えなくて良いとか言いつつ、ドレルの事にも少し触れられてたり、シーブックもお前そんな展開になるの?っていう部分があって、本編でその辺無くて良かったね、と色々と興味深いです。

 

多分、シーブックって歴代ガンダム主人公の中でも高感度は上位クラスなキャラかと思いますが、映画のみで変な部分が描かれて無かっただけで、富野的にはもう少し貶める部分もあったのかと思うとある意味非常に富野的ではあるけれど、トビアを主人公に置いた事でカッコいいメンター役に徹しきれて良かったなぁと今更ながらにヒヤヒヤさせてくれます。

 

DUST完結に対しての五十嵐浩司氏の特別寄稿も本当に素晴らしい。コロニー落としから始まった宇宙世紀の戦争が、コロニーを着水させて命を救う形で閉じたというのがまたね、長谷川節だなぁと。もう片方ではコロニーで地球圏を脱出したり、長谷川じゃないけどGセイバーとかガイアギアも別に無かった事になるわけじゃないんだろうけど、一つの締めとしてはやはり上手い。

 

非常に読み応えのある一冊でした。
あえて言うならメカだけでなくキャラもきちんと入れて欲しかったかな。