僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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SHIROBAKO 13~24話

SHIROBAKO Blu-ray プレミアムBOX vol.2

 

監督:水島努
日 TVアニメ 全24話 2014-15年
☆☆☆☆☆


NHK-Eテレでの再放送、見終わりました。いや2週目でもメチャメチャ面白かったなぁ。

 

個人的なクライマックスは1週目でも一番グッと来たずかちゃんのアフレコシーンです。ずかちゃんがね、軽くほほ笑むだけなんだけど、宮森がもう耐えられなくなって台本で顔を隠して涙するシーンですよ。あれを言葉で無くちゃんと絵だけでやった映画的な演出。

 

アニメを作る所を描いた作品ですから、実際にあれは監督なり脚本家なり演出なりが色々と考えて作ってるわけで、魂のこもった部分だなぁと思います。

 

私は映画オタクでもあるので、実写の演出術とかも比較して捉える事が出来るけど、アニメは全部をゼロから作るので、そこにあるものをどう撮るかっていう実写映画とはまたやはり少し違った部分があるように思う。

 

監督とかの意図や思いみたいなものは勿論両方に共通しているし、スタッフワークという面では実写映画だってとても重要だけど、アニメはチームなんだっていうのをシリーズ全体でより重要視して描いたSHIROBAKOの描き方はやっぱり上手かったと思う。

 

当然、同じアニメの制作現場を描いたとして、他の座組みでやればまた違った描き方もあるだろうし、そこは何が正解かどうか、とかの話ではない。今回のSHIROBAKOはこういう描き方やテーマで作った作品であって、それが本当に素晴らしかったと。それだけの事。

 

一応、宮森らかつての上山高校アニメーション部の5人っていうのを話のまとめ方として置いてあるんだけど、そこは正直まとめのための軸であって、それがSHIROBAKOという作品の本筋かと言えば決してそうではないわけですよね。

 

1クール目の時点では宮森と絵麻の2人だけがムサニ所属でしたが、2クールに入って、みーちゃんりーちゃんの2人も関わるようになって(いやりーちゃんもその前からディーゼルさんとしてお手伝いはしたけど)最後のクライマックスでずかちゃんも作品に関わる事になると。この辺の作りの上手さがありつつ、決してそこだけが話の中心では無いので、ちゃんと5人以外のスタッフも実際は同等の立ち位置で描いてある。

 

これね、ほぼ同じシナリオで例えばアニメでは無く何か他の物づくりみたいなものだったとしたら、例え一部のマニアには支持されても、絶対にここまで跳ねなかったはず。やっぱりネットで感想とか当たってても、アニメの制作現場ってこんな感じになってるんだって初めて知ったみたいなのが圧倒的に多いし、それがフックになったのは間違いの無い所。

 

私だって古参の老害オタクなりに、スタッフワークに関してもそれなりに注目はしてきたけれど、ここまで明確には知らなかった世界だし、そもそもアニメ制作におけるデスクの位置付けなんかは流石に注目した事はこれまで無かった。

 

そこ考えるとさ、この題材で、わかりやすい単純さを目指すんじゃなくて、わかりやすくしつつも、この登場人物の多さとかを恐れずにやりきってくれたのは本当に凄い事だと思うし、物凄~~~~く価値があるアニメだと思う。

 

単純に面白かったつまらなかっただけの安易な消費ではなく、例えもし作品が肌に合わなくてそんなに面白いとは思えなかったという人が居たとしても(そういう人も決してゼロじゃない。どんな作品においても)そこに今のアニメの現場はこんな感じなんだな、と思わせるだけの付加価値があったとしたら、それはとてつもない財産なんじゃないかなぁと思うのです。

 

10年後、20年後には話の内容とか忘れてしまうかもしれません。でも、アニメってこんな感じで作られてるものなんだな、っていう知識は多分残りますよね。そこ考えた時にさ、単純に「アニメ業界で働く5人の女の子の成長譚」だけにしなかったのは、登場人物が多すぎて多少飲み込み難い作品になっていたとしても、本当に素晴らしい決断だったなと思う。

 

そこはやっぱり「SHIROBAKO」単体としてではなくて、「お仕事シリーズ」という流れとして観た時も面白くって、1作目「花咲くいろは」は入りやすい間口の広さが優れていると思うし、2作目「SHIROBAKO」はアニメでアニメを作る話をやるっていう題材の選び方が優れていて、3作目の「サクラクエスト」は働くとか社会構造というものをきちんと学術的な視点や検証を踏まえた作りになってると言うのが優れた部分。それぞれが、それぞれにしか無い物をきちんと持ってる辺りがシリーズとしてみた時に、凄く価値のあるものになってるなぁと感心します。

 

劇場版の方もね、ただのキャラクター物に落とし込まなかったのが個人的には素晴らしかったと思ってますし(逆にキャラ物の続編として見てる人がこんな未来は見たくなかったって言ってる印象)この流れで近い内にまた劇場版が見たくなって来ました。

 

TV本編終盤の21話か22話だったっけかなぁ?みんなそれぞれの場所で酒飲んで管を巻くシーンがクライマックスになってるとか、なかなかね、そんなアニメ見た事無いですよ。でも、わかるわ~っていう共感が最高に心地良かった。

 

アニメ好きな人には、もし見て無いなら素直にオススメしたくなる貴重な作品です。

 

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