僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス

GUNDAM VS IDEON
著:長谷川裕一
刊:学研 ノーラコミックスDELUX 全1巻
1992年(連載1990年)
☆☆☆☆☆


1月3日~5日の間に限定公開で「イデオン接触編/発動編」がyoutubeで無料公開されてました。ガンダムは過去にも何度かやってるしアマプラでも無料とかあるのでそうでもないけど、「イデオン」は珍しい。DVDとかもバンダイビジュアルじゃないとこから出てましたし、サンライズ製作ながら映像の権利が昔は多少複雑になってたらしいですが、多分今は普通にバンダイナムコに戻ってるのでしょう。

 

ネットの反応見てても、初めて見たっていう人がそこそこ居て、やっぱり無料配信はありがたいですね。今の時代はソフトを売る商売じゃ無くなってますし、IPをどう生かすかって考え方なので、定期的にお願いしたいものです。

 

とまあそんな無料配信のおかげで私の昔の感想記事のインプレが多少伸びました。まあスマホで読むには私のブログは文字数も多いしわかりやすく内容もカスタマイズとかはしてない。し、今後も今の所はするつもりがない。ブログ全盛期のあの文字数とか熱量の面白さを残すの勿体無いよな~と思ってあえて前時代のスタイルなので。インプレPV稼ぐための内容の薄いブログばっか検索にしか出なくなってね、あれが嫌だなと思っての方向性です。

 

だって検索しても商品とかサブスク誘導のとかの「説明だけ」の奴が5~6ページまで続くんですよ?うんざりするんですけど、そういう中でウチみたいな個人ブログが表示されるのは本当に少ない中で、ちょこちょこ検索に入ってる奴がやっぱり強いです。商用ブログじゃないので、一日何万PVとかあるブログじゃないのですが、それでも検索で探せる範囲では出るのは長くやってるおかげでしょうか。

 

Vtuberさんも同時視聴とかやってるので発動編2回ほど私も見てしまいましたが、せっかくPVも上がったので関連作を一つ、という事での長谷川裕一「逆襲のギガンティス」です。

 

今は角川の「機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス

機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス (角川コミックス・エース)

って単行本に一緒に収録されてますが、せっかくなので私は最初に単品で出た方を今回はチョイス。(最初に出たノーラコミックスDX版は「わかりすぎた結末 あるいは失笑した宇宙もしくはキャプテン・オーマイガーの華麗なる挑戦」という短編1話が同時収録されてますが、面白いけどガンダムとは全く関係無いオリジナル漫画です)

 

元はバンダイ管轄の「サイバーコミックス」という単行本形式の雑誌に「ガンダムVS伝説の巨神」というタイトルで全4話の掲載。ストーリーの中で普通にイデオンのストーリーが背景に語られるものの、一応「イデオン」という言葉は使わずに、作中では「伝説巨神」で通してある。

 

多分、富野監督とかには無許可で描いたと思われるが、サイバーコミックスがバンダイの出版課が出してるもので、作家が勝手にオリジナルのガンダムとかを自由に描いてた時代なので、そこはそういうものだったのでしょう。

編集者にガンダムで1本書いてみませんかって声をかけられて、じゃあ「ガンダムVSイデオン」を書こうかなと思ってますと話はしたそうですが、まあ普通はパロディー的な物としか思わない事でしょう。そこを大真面目なクロスオーバー話としてお出しする長谷川先生のセンスよ。

 

UC0091年。木星で発掘された赤い巨大MSをジオンが発掘しているらしい。それを追い、木星ジュドーと合流するアムロ・レイ。後半にはシャア・アズナブル、ミネバ・ザビも話に絡んでくる。

 

そもそも木星は片道2年もかかるため、イデオンどうのとは関係なく、後の時代の今は各々のキャラクターに公式上のストーリーが組まれ、時系列的に埋まってしまっている為、公式のタイムラインに組み込まれる事は無いのだけど、まあガンダムなんて初代のTV版と劇場版の関係もパラレルで二つの歴史があったりしますし、あんまり公式うんぬんは気にせずに楽しみたいところ。

 

スーパーロボット大戦」のプロデュサーが、作品を作る上での発想の原点になったと言ってるくらい、クロスオーバーとしてイデオンガンダムシリーズのテーマ的な所まで含めて描き切っているのが本当に凄い。

 

私が大嫌いな「ガンダムUC」もイデオンの設定をガンダムに持ち込んでうんぬんと、近いアプローチをしながら、ニュータイプを時間操作超能力者という、最高につまらんガッカリ設定を公式に持ち込んでしまった為、今となってはこちらの作品が、所詮は非公式の外伝漫画でしょ?と切り捨てられるようになってしまったのが何とも切ない。

 

イデオンのラスト、敵味方含めて全滅してそれが新しい地球の誕生に繋がるという話ですけど、あれって意図的に、そこで誕生したのが我々が生きているこの現実の地球なんですよ、だからこそ争い合うだけの愚かな生物から脱却しなければならない、という感じのメッセージなわけですよね。

で、逆にガンダムは宇宙に進出した未来を描いて、より良き存在のニュータイプに進化していかなければ、という望みが描かれている。

 

そこを同じ時間軸で繋いでしまうこのセンス。
で、それを見たり読んだりしてる今現在こそがその狭間にある、というメタ構造が非常に素晴らしい(今まで何度も書いてるけど私はメタ大好き人間なので)

ヨシユキ・トミノという人が過去に書いた小説が「伝説巨神」でありアムロジュドーらの活躍を物語として今はノンフィクションとして書いてる。

 

ニュータイプを戦争の道具としてしか使えない世間。そしてニュータイプ本人達ですら、過去に囚われ所詮は戦いの道具でしか無い事をある意味自覚している。

「死んだ者は何もしない、何も出来ない。だから!だからこそ!
 命が、その一つ一つが大切なんじゃないのか!」
っていうジュドーの悲痛な叫びが心に響く。
ここは確か同じく富野の「ダイターン3」からの引用って話でしたが、この未来に進もうとする力こそが、今後も続く長谷川漫画の根底にあるテーマになっていくし、自分が目指す少年漫画で描くべき事はこういう事っていう自分の主張を持ってるのが素晴らしい。

 

ここで他人さまの作品使ってお前は何能書きをたれてんだよって怒られたのだとしたら、この後に富野脚本の「クロスボーンガンダム」に繋がるはずもないし、基本的にオタク嫌いな富野ですが、長谷川先生の事はちゃんと認めたのでしょう。

ただ富野監督の顔色を伺っておべっかを使うだけの人は多分富野本人もわかるだろうから、出渕にしても永野護にしても、富野に言いたい事はちゃんと言う人の方が富野的には可愛いんですよね。安田朗が噛みついたら関係が切れたってのはちょっと可哀相でしたけど。(生きてる内に和解してね)

 

角川版「機動戦士Vガンダム外伝」の方にしかあとがき入ってませんが、イデオンガンダムシリーズ(これを描いた時点では逆シャアまでしか世に出てません)に対する長谷川先生なりのアンサーがこの作品。

で、後の「クロスボーンガンダム ダスト」が宇宙世紀そのものに対するアンサーであり「宇宙世紀ガンダム最終回」的な作品。

もう終わっただろうと自分で蛇足だの屑だの作品で主張してるのに、それでも描かされ続けるクロスボーンガンダム。しかもそれが面白いっていうんだから困ったものです。私はどこまでついていくぞ。

 

今まで視聴のハードルが高かったのもあって今回の配信で「イデオン」初めて見たよっていう人も結構居た様子。そういう人はきっとまだこの「逆襲のギガンティス」にも触れた事が無いはず。多分、初見の人にはイデオンだけでもうおなかいっぱいってなってるとは思うけれども、ちょっとしたデザート感覚、副読本としてこちらの作品、是非手にとってみてはいかがでしょうか。イデオンに関しても、ガンダムシリーズに関してもより理解の深まり、新たな銀河地平へと導いてくれること間違いなしです。

 

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