原題:Ghostbusters
監督・脚本・製作総指揮:ポール・フェイグ
アメリカ映画 2016年
☆☆☆
<ストーリー>
ニューヨーク。コロンビア大学の素粒子物理学博士エリン・ギルバートは世界初の心霊現象の科学的立証のため、日夜研究を重ねていた。
しかし、大学側に一方的に研究費を打ち切られたことをきっかけに、その知識と技術を活かすため、“幽霊退治”を行う会社「ゴーストバスターズ」を起業するが―。
と言う事でせっかくなので「1」「2」と来たら3作目のこちらも。
元々続編として3作目の話はたまに上がってはいたものの、前作のメインキャストのハロルド・ライミスが死去というのもあって、監督のアイヴァン・ライトマンも企画から完全に手を引いて、宙に浮いていた形になっていたものを、リブート企画として実現に至ったのがこちらの3作目。女性版ゴーストバスターズ、といういかにも今風な形でのリブート。
劇場では見て無いですけど、何年か前に一度見てます。その時は正直ただ女性版というお題目だけでやってるどうでもいい映画だなぁと思ってしまったのですが、1・2と続けてみると意外と今回は楽しめました。ハードルが下がった状態ってのもありますけど、オマージュとかが続けてみるとわかりやすかったり、そもそもゴーストバスターズってそんなに映画としては超名作とかいう感じでも無くて、くだらない事を楽しくやってるというコメディ映画なので、そういう意味では今回のもあながち間違ってはいないのかな?という気がしました。
アメリカのコメディ映画ってやっぱりちょっと日本の感覚とはツボが違うのもあってか、例え有名な人が出てても近年はほぼビデオスルーになっちゃう事が多いですよね。
ゴーストバスターズの笑いって、意外とシュールな笑いが多いんだなって前2作を見て感じたので、その辺は結構上手く引き継いではいると思う。最初に見た時はクリヘム以外の部分はさっぱり笑った記憶が無いんだけど、今回見直して、意外と笑えました。前作のキャストのカメオ出演も、見た直後だとおっ!って思えますしね。
今回の特徴の部分では、今で言う所の「シスターフッド」って奴なのかな?女の友情みたいな部分も私は割と好き。なんて言うんでしょう?世間的にはあまり認められていないはぐれ者達が共同体を形成して、あたしらはあたしらなりの道を行くよ、っていう路線は嫌いじゃないです。
「ブックスマート」を見て、ストレートに乗れたかと言うと個人的にはちょっと微妙なのですが、現代性ってこういう事なのかなと思う所はありましたし、その辺りの感覚の延長戦上で考えると、こういうのも悪くないとは思った。
結構美味しいとこを持って行くクリス・ヘムワーズですが、メイン4人にあいつ可愛い奴なんだよって何度も言われるんですよね。男が「可愛い」って言われるのって、結構現代的な感覚かなぁと。
勿論、女性から見たかわいい男の子って感覚自体は、遥か昔からあるものだとは思うんですけど、なんて言うんだろう?形容詞としてね、なんだか凄く当たり前に使われてるって割と最近な気がする。
クリヘムじゃないけど、MCUだとやっぱりスパイダーマンのトム・ホランドとか見てると、なんか男から見ても可愛い子だなって凄く思いますもの。まあそこは私がオッサンだから、若い子を見て微笑ましく感じるっていうだけかもしれませんが。
で、そんな感じで、今風で結構上手く作ってあるな、と割と感心しました。でも、同時に前2作を見返した流れで見るとさ、「ゴーストバスターズ」ってそんな「上手く作ってある事に感心」するような作品じゃねーよな、とかも思ったりする。80年代の雑な作品だからこそ半分ノスタルジックな要素も含めて面白いのであって、コメディーとして笑える部分はあるにせよ、ゴーストバスターズってこんなおりこうさんの作品じゃないのでは?とか思ってしまった。
いや、敵のブ男の扱いとかこの作品も雑ではあるんだけどさ、昔の映画を今風に作ると、色々と考えてアップデートさせなくちゃならなくて大変だよね、みたいに思わせたら「ゴーストバスターズ」って成り立たないんじゃないの?とかも同時に思ってしまう。
「2」の感想で、同じ事をやったって二番煎じの出涸らしにしかならないよね、と私は書きましたが、表層上の「女性版」っていうジェンダー要素だけでなく、何か違う解釈、違う角度で面白い事が出来たのでは?と思ってしまうのはちょっと欲張りすぎでしょうか。
2でもそうでしたが、ラストの唐突感のあるNY愛みたいなのもさ~、お騒がせの厄介者達だけど、俺達はお前ら大好きだぜ!みたいな市民に受け入れられるクライマックスがちゃんと描かれて無いのが致命的。せめてそこが描けてれば、決して悪くない印象の作品になってた気がします。
ライムスター宇多丸と同じ感想になっちゃいますが、やっぱり「2」よりは面白いけど、という感じかなぁ。
「ゴーストバスターズ/アフターライフ」予告を見る感じではまたちょっと違うアプローチな印象なので、そちらの方を楽しみに待ちたいと思います。
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