原題:X-MEN ORIGINS: WOLVERLINE
監督:ギャヴィン・フッド
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2009年
☆☆
X-MENシリーズ4作目。ウルヴァリン3部作としては1本目。
監督はギャヴィン・フッド。これの前は「ツォツィ」というスラム街の黒人少年を描く半ドキュメンタリーみたいなインディーズ映画くらいしか代表作も無くて、私はたまたまそれも見てたんだけど、そんな人がX-MENの監督?どういう人選なんだろって当時不思議に思った記憶があります。大作経験の無いインディーズ監督を起用というのは後のMCU映画にも繋がる部分です。まあこの映画に関してはそれが上手く行ったのかは微妙な所ですが。
合わせてベースになった原作の方も読み返して紹介しようかなとは思ってますが、原作ではウルヴァリンの出生の秘密とか、20年近く引っ張ったんですよね。そんなミステリアスな部分もウルヴァリンの魅力の一つだったりしたので、映画では割とあっさり明かされちゃうんだとか思った記憶が。
ここも近年のアメコミ映画あるあるで、スタートは50年前とかのオリジンストーリーを現代風にリメイクとかしつつ、以降の展開は10年前くらいの新し目の原作ストーリーをベースにするというのは最近のアメコミヒーロー映画の傾向。
次の「ウルヴァリン:サムライ」でも話に絡みますが、第1次大戦、第2次大戦にウルヴァリンが参加していた、実際の歴史の1ページにウルヴァリンが居たかもしれないとか思えるのは面白い部分。
たださぁ、ウルヴァリンの兄貴がビクター・クリード/セイバートゥースだったというのは別に良いんだけど、あれ?1と繋がらなく無い?記憶が無いから互いにわからなかったのかな?そういう体で見てね的な奴?
っていう気の使い方をしなければならない辺りが個人的にはこの映画で一番嫌な部分だったりする。
キャラクターとしてはね、セイバートゥースって実際ウルヴァリンのライバルポジションとしては結構大きい存在。むしろX-MEN1の方のセイバートゥースの描き方の方がずっと雑だったので、今回の方がまだ上手く描けてると言えるんだけど、映画として繋がってるようには思えない。
そこだけじゃなく、ストライカーもそう、2のあのキャラの若い頃って形で良いんだよね?スコットともここで出会ってるの?しかもプロフェッサーと出会う前にルビークォーツのサングラスを?ガンビットをここで無駄に使っちゃうんだ?あとエマのダイヤモンドフォームってこういう事?
う~ん、う~ん原作と違うのは全然構わないし、そこは堂々と映画版ではこういう設定で使いますっていうのが素直に面白いと許せるんだけど、なんか全てが微妙。
そこの極め付けがウエポンXIことデッドプールですよ。言っておくけど、私はデッドプールってあんまり好きでは無いキャラなんですよ。むしろそんなに思い入れは無い方のキャラなのに、こんな勿体無い使い方して良いの?これはちょっと残念な奴なのでは?と嫌でも思ってしまう。
こうなってしまった原因はわかりませんが、なんか正直、元の作品に対してそんなに思い入れが無い人が作ってるのかな?と思えてしまうのが悲しい。
オタク監督が長年の思い入れをたっぷり籠めた、オタクも納得の作品というのでもなければ、オタク思考は無いんだけど、より一般映画として現実的な感覚を混ぜて作るとかでもないし、X-MENシリーズ1・2のブライアンシンガーが籠めたような、自身が抱えているテーマを作品に融合させる的なものでもない。
「ファイナルディシジョン」「X-MEN ZERO」と微妙な作品が続き、これ大丈夫かな?原作ファンとしては新作映画が見られるのは単純に嬉しいんだけど、微妙に暗雲が立ち込めてきてないかこれ?という所で、次も過去時系列。というか当時はリブート扱いだった、シリーズ屈指の大傑作「ファーストジェネレーション」に続く。
単品としては何とも微妙なんだけど、ヒュー・ジャックマンこれにめげずによく頑張ったなぁと今思えば褒めてあげたい。自分をスターダムに押し上げてくれた作品だからそこに対する思い入れみたいなのもあるのかなとは思うんですけど、ヒュージャクさん、これだけでなくその後普通に単品で主役も張れるしそれなりにヒットした作品もいくつかあるわけじゃないですか。それなのにずっとウルヴァリン役をやり続けてくれた事には感謝したい。
一応「ローガン」であとは卒業という事ですが、「デッドプール3」ギャグ的なカメオ出演で構わないので、期待してますよ。
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