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新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ 5 悲嘆の夜想曲(ノクターン)(上)

新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ (5) 悲嘆の夜想曲 (上) (角川コミックス・エース)

NEW MOBILE REPORT GUNDAM W Frozen Teardrop
著:隅沢克之
挿画:あさぎ桜カトキハジメ
原案:矢立肇富野由悠季
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全13巻
2011-16(連載2010-16)
☆☆☆★

 

小説「フローズンティアドロップ」5冊目。
タイトルは上下巻構成になってるものの、なんか実際は関係無い話を別々にやってるだけっぽいのであまり気にしない事にした。

 

5巻目はMC(マーズセンチュリー)歴の話は一切進まず。
ピースクラフトファイルを読むという形でAC(アフターコロニー)145年の時代を1冊まるっと使って描く。

ガンダムWのTVシリーズの設定年がAC195年ですので、丁度50年前。


1・2巻もね、トレーズファイルを見るみたいな形で、トレーズの出生や、ゼクスやノインの初出撃みたいなとこを描いてました。TVシリーズのレギュラーキャラの過去はこんな感じだったんだよと。うん、まあそれは興味深い。

 

いやでも今回は50年前の話。出てくるのはトレーズの父どころか祖父ですよ?ピースクラフトのミリアルドやリリーナの親じゃ無くその一つ上の親。アニメではその名前すら出てこない全く知らないキャラを単行本1冊かけて描くって何だ?

 

いやアニメに出てたキャラで言えば、ドクターJの若かりし頃の大学で学生運動をしていた時の話がレギュラーキャラの過去と言う意味では一応は描かれてるのか。


未来のMC歴で、ゼクスとノインの間に生まれた双子のナイナ・ピースクラフトとミル・ピースクラフトの新キャラが出てきたと思ったら、今度は過去編になってカテリナ・ピースクラフトとサブリナ・ピースクラフトの双子の話です、と来た。

 

単行本にはキャラクター相関図とか説明みたいな親切なページはありません。ただでさえガンダムパイロット5人の名前が変更されてたり一部では受け継がれたりしてて分かりにくいのに、なんかもう読むのやめたくなるくらい複雑。
誰にも理解出来ないものを描くのが狙いらしいからわざとなのかこれ?勢力図やキャラの意図とかメチャメチャわかりにくいのは「ガンダムW」らしいっちゃらしいけども。

 

前巻までのあとがきに書いてあったように、池田監督が描こうとしていたものを自分なりに再現してみたいというのがこの小説の狙いでもあるので、その面に関しては意外と面白く読める部分はある。

 

学生運動とか核兵器に関する考え方は、多分「ガンダムW」の世界とは関係無しに現実に対して作者のスタンスを書いてるんだろうなと思わせてくれる所はちょっと面白い。

で、そこからの指導者ヒイロユイがカテリナへの家庭教師ついでに語る「戦いとは何か」みたいな哲学と言うか思考実験みたいな部分はすごく池田監督テイストがあって、ああなるほど確かに本当はこういう部分を描きたかったのかもしれないな、と思わせてくれる部分ではありました。TVシリーズだと「弱者とは?」という所に上手く着地はさせてたと思うけれど、そこに至るまでのロジックみたいなものまで面白く描かれてたかと言えば、そこまでじゃなかった気がするし。

アニメじゃその存在すら語られないおじいちゃんおばあちゃんの世代の話をいきなりもってこられても困惑するしかないけれど、話そのものは話がさっぱり進まないMC歴の部分より面白かったかも。

 

エピオンのMA形態のプロトタイプ戦闘機「ワイバーン」がアニメ本編の50年前にもうありましたとか言われると流石に「えぇぇ~っ↓」ってテンション下がるけど。

形状的には後のエピオンに通じる部分があった。設計の参考になったのかもしれない程度で濁しておけば良いものの、これ1機で戦場を制圧出来るまさしくガンダムみたいな活躍されると、う~ん・・・ってなっちゃうぞ。


しかしこれ、最後は過去編と未来編が綺麗にリンクというか両方描いてたのはこの為だったのかってちゃんと納得出来るのかな?私もそうだけど、おそらく多くの人が「フローズンティアドロップ」を読むのって「ガンダムW」の続きなんでしょ?って感じで読み始めると思うんだけど。そこがさっぱり進まず途切れ途切れで過去編が何回も入ってくるので、そこは予想外で困惑するのでは?


未来の新ストーリーと、過去編はそれぞれ分けて展開した方が良かったんじゃないのこれ?というのが今の所の印象。読んで行く内に良い意味で覆してくれればよいのだけど。

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