僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン(1) (角川コミックス・エース)

MOBILE SUIT GUNDAM CHAR'S COUNTERTTACK BELTORCHIKA CHILDREN
漫画:さびしうろあき×柳瀬敬之
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全7巻(2014-18年連載)
☆☆☆☆

 

現在「閃光のハサウェイ」連載中のさびしうろあき×柳瀬敬之の富野小説「ベルトーチカ・チルドレン」コミカライズ版。

 

単行本買って初めて知りましたが、さびしうろあき氏ってその前にガンダムAで「ガンオタの女」連載してた人が改名してこの名義になったのね。ダムAは今でも毎月買ってますけど、基本的には単行本派なのでインタビュー記事とか以外はサラッと流し読みするくらい。ギャグ物以外は基本的にガンダム漫画はほぼ収集してる、というスタンスなので「ガンオタの女」は少し流し読みした程度かな~?今やってる「HGに恋する二人」みたいなのと似たような感じでしたっけか。

 

一応初心者向けに説明。
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」は小説版が二つあって、一つは「ハイ・ストリーマー」全3巻で、もう一つが「ベルトーチカ・チルドレン」全1巻。どちらも富野由悠季著。ベルトーチカ・チルドレンの方は映画脚本の第一稿がベースになっていてチェーン・アギの変わりに「Z」の時代からずっと付き合っているという設定でベルトーチカ・イルマが登場。

 

あとは一部名称が事なっていて、
ナナイ・ミゲル → メスタ・メスア
ギュネイ・ガス → グラーブ・ガス
サザビー → ナイチンゲール
ヤクトドーガ → サイコドーガ
辺りが、役割は同じものの、名称だけ違う。

 

有名なHi-νガンダムは作中では普通にνガンダムとしか呼ばれず、小説版も表紙は普通にνガンダムでしたが、挿絵でメカデザの出渕裕が独自にアレンジして書いたものが、後に別機体としてHi-νガンダムになったと。イラストのみで設定画は無かったものの、プラモでマスターグレードの発売に合わせて出渕が再アレンジ。今回作中で描かれてるのもそのバージョン。

 

ただ、そのアレンジ版があまり評判がよろくし無かったのでその後にカトキが元のイラスト基準で再々アレンジとかしてたり、Hi-νからHWS(ヘビーウエポンシステム)対応させたりと、色々と複雑。
さらに言えばハイ・ストリーマー版のνガンダムも星野版とちまき版と全くデザインの異なるνガンダムがあるので、νガンダムはバージョンが色々ありすぎるものの、まあその辺はこの漫画とはまた別のお話。

 

ガンダム=メカという人は、出渕リファイン版のHi-νガンダムナイチンゲールとサイコドーガの活躍が見れるのがこの漫画版というくらいの認識で良いかと。

 

個人的には富野ファンですので、富野小説をベースにしてるこちらはその辺りの富野独特の言い回しとかが採用されてるので、そこが見所。話の流れは基本的には逆襲のシャアの映画と細部が違うだけで大筋の所は変わらないので、それを全7巻というダイジェストにならないボリュームで読めるので、物凄く楽しめました。

 

ある程度、設定はもう把握してるのと、本の中でも地理的な説明が入ってたりするので、状況背景や地形空間がスムーズに読み取れて、とても入りやすくて凄く良いですこれ。

 

気になったのはイデオンバリアくらいかなぁ?ベルトーチカが子供を身籠っている、ってなってからビームまで弾くバリアが張られちゃう描写があるんですよねこれ。「Vガン」でもマーベットさんが身籠って、そのおかげで助かるみたいなのありましたけど、物理的なバリアとかじゃなかったはず。変なプレッシャーとか違和感で、手元が来るって外した、みたいなアレンジにしてほしかったかも。

 

で、その子供なんですけど、映画だとヒーローが所帯じみてるのはいかがなものかと評判が悪くてその展開は無くなっちゃった、って感じだったと思うのですが、今回読んでてなるほど!と思った事が一つ。

 

アムロが「両親に見放された自分がまさか家族を持つ事になるとは」みたいな面白いセリフがあるのですが、要はちゃんと奥さんもらって子供も出来て(実際はそのちょっと前の段階なわけですが)一人前の大人になったのだと。

 

今の世の中の価値観で言えば、家庭を持つ事だけが一人前みたいな価値観はいかがなものかって言われたりするくらいに時代は変わっちゃいましたが、まあとりあえず「逆襲のシャア」が発表されたくらいの年代ならそういう考えが一般的でした。

 

で、逆にシャアは未だに世直しがどうとか夢見たりしてる上にクェスとか若い子をたぶらかしたりしてると。要は大人になったアムロと大人になれないシャアを対比として描いてある。

 

一応ティーン向けの「ガンダム」っていう作品の性質上、メスタ(ナナイ)をヒロインポジションにするわけにもいかず、アムロやシャアの次の世代って意味でクェスとハサウェイとかを仕込んで作品の見た目の上ではクェスをヒロインにせざるを得ない構造なので、30過ぎの大人が中学生くらいのクェスをたぶらかすっていう話になっちゃてるので「大佐はロリコンなんじゃないか」っていうグラーブ(ギュネイ)のセリフが出てくるんですねこれ。

 

原作は読んでますが、もう多分20年前とかになるので、当時はそのあたりに気づけませんでしたが、今回読んでて、ああそういう事だったのかと気づく事が出来ました。

 

男ってついつい若い娘に目が行きがちですけど、良い歳した大人がJKだのJCだのに気をとられてたら「お前ロリコンかよ!いい加減自分の歳考えろよ」って普通なっちゃいますよね。グラーブ(ギュネイ)はそこをメタ的に言わされてたのか。

 

映画の時からシャア=ロリコン呼ばわりされてるのって、少し違和感があって今だにララァを引きづってるからかな?みたいな解釈を自分なりにしてたりしたのですが、「ジョニー・ライデンの帰還」」か「トワイライトアクシズ」だかでシャアはロリコンじゃなくてファミリーコンプレックスなんだよってわざわざ違う解釈を描いてたじゃないですか。なんかその辺も再解釈が必要になってきそう。ロリコン発言は単純にお前いい加減に大人になれよ、ぐらいの意味だったんだなと、ようやく腑に落ちました。

 

20年とか30年後に新しい解釈が生まれる面白さ。いやぁ富野はホント面白い。DVD持ってるのでまた「逆シャア」見返そう。

 

あとは単純に絵とかそっち方面の話ですが、映画には無いメガバズーカランチャーをアムロが撃つシーンがあるのですが、小説の時は描写はあれど特にデザインも無く、今回の漫画版で初めて設定画がおこされてて、これがまたバカでかい。


百式とかZのメガランチャーの比じゃなく、ホントに超巨大砲みたいになってます。ファンネルバリアがあるとは言え、これ抱えて被弾しないよう守りながら戦うっていくらアムロの腕があろうと、結構ヒヤヒヤします。その辺りはビジュアル化された漫画ならではの面白さかなぁと感じました。

 

逆にナイチンゲールに格闘させるのは体系的に無理がありましたが。(デカイファンネルコンテナのバーニアで目くらまししたり、隠し腕使ったりと工夫はしてるんだけど、あのお相撲さん体型なのは流石にキツイ)


柳瀬さんがメカ関係描いてるのもあってクオリティも高いし、キャラの方もそんなに癖が無くてとても読みやすいです。「閃光のハサウェイ」もますます楽しみになってきました。

 

アニメとは違う小説版のコミカライズという新しい流れも出来ましたし、せっかくならハイストリーマー版もいつか誰かに書いてほしい所。アニメ本編に入る前の前日譚部分も割とあれあるんですよね。可能なら星野版のメカで読みたい。こっちがナイチンゲールならあっちはザ・ナックで。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン(7) (角川コミックス・エース)

 

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