僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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サウンドシアター ガイア・ギア CD-5

サウンドシアター ガイア・ギア CD-5

GAIA GEAR
脚本・シリーズ構成:遠藤明範
原作:富野由悠季
ラジオドラマ 全26話(全5巻)1992
☆☆☆☆

CD最終巻。今回は2枚組じゃなく1枚のみ
25話「エヴァリーの声」と26話(最終話)「ペーパー・キャッスル」を収録。

 

前回からの流れのままの最終局面。ジャンウェン・フー、ウル・ウリアン、そしてビジャン・ダーゴルとの最終決戦。ダーゴル大佐はMSには乗らないので、生身で対峙。

 

確か原作小説だと、富野ガンダムお馴染みのサイコフィールド的な謎パワーを展開して、ガイアギアが光の矢と化すみたいなシーンがあったはずだけど、こっちは特にそういうのは無し。

 

ライバルキャラであったウルが最後は自分の弱さを受け入れて、みたいな感じになってしまうので、意外とジャンウェン・フー戦が面白かったりしたのは、久々に聴いての印象。ホンコンマハとして、人間狩りをする中で、もはや自身の心も壊れていて、人類に絶望していたっていうのは意外とキャラ立ってて良かった。ショウ・ザマ(ダンバイン)トロワ・バートン(ガンダムW)とこの手の作品には縁の深い中原さんが声当ててるのもあって、面白かった。

 


ウルはライバルポジションでありつつ、また違う所に辿りついたっていう感じもなかなかに面白い。最終的にクリシュナも側に寄り添う形だけど、クリシュナ関係はジョーもメッサーも結局わかり合えない、すれ違いのままで終わってしまったのかなと考えると、ちょっと悲しいものもある。

 

そして最後のアフランシとダーゴル大佐。どこまでも理想を掲げるアフランシ。
人類は地球と言うゆりかごから旅立ち、未来永劫宇宙にフロンティアを築いていくべきだ的な主張がね、今の時代、この2022年に聴くと、色々と違う聴こえ方をするのが面白い。

 

先日完結した劇場版「Gのレコンギスタ」ですけど、TVシリーズから2週目という事もあってまた別の視点から見る事が出来ました。
Gレコで富野が主張してるのはつまりは要約するとこういう事です。

 

ガンダムで宇宙に人間が進出していくなんて描いたけど、それは当時の感覚であって、今の現実をちゃんと見れは、それは嘘だった。宇宙開発に未来や希望なんて実際は無かった。嘘をついたつもりはなかったけど、結果的に間違った主張をしてしまってゴメンなさい。本当に進むべき未来の形は「ガンダム」ではなく「Gレコ」で描いたから、今後はガンダムでは無く、Gレコを目標や希望、指針にして下さい、といった感じの主張をしました。

 

そんな人に未来永劫人は宇宙で暮らすべきだなんてアフランシ・シャアの理想を聞かせたらさ、こんなものを聴いてはいけません。だから復刻なんてしません!ってそりゃあ言うわな。

当時の主張と180度逆に転向しちゃったんだから、そりゃあガイアギアなんて黒歴史そのものです。

 

ただ、それ以上に面白いのは、アフランシもそうだし、ダーゴルもそう、どちらも組織から裏切られて捨てられるっていう所も描いてあるのが、今の視点だと逆に面白く感じる部分でもある。

 

シャア・コンティニュー・オペレーション(シャア再生計画)を母体に持つメタトロンという組織であったものの、いつのまにかシャアの理想を実現する為では無く、巨大化した組織を運営していく事が目的となってしまう。それゆえ、最終局面でなんとアフランシ・シャアを切り捨てて、連邦の傘下に入る事で組織の存命を図る。

 

逆シャア」辺りでも組織論ってちょっと触れてたりした気がするし、他の富野作品でも似たような感じはあったはず。

 

これね、今のバンダイナムコが、自分の組織の継続の為に、富野由悠季を、そして安彦良和をバッサリ切り捨てた構図と思いっきりかぶりません?しかもサンライズという歴史ある会社を吸収して終わらせてしまった。それでガンダムを世界的なIPに育てあげるとかバンダイナムコは言ってるんですよ?

 

本来の目的なんか捨てさって、組織の永続そのものを目的にしてしまっている、今のバンダイナムコそのままって感じで、メチャメチャ面白い部分じゃないですか?ここ。

 

いやぁ、「ガンダムX」がガンダムを考える為のガンダムというメタ構造でメチャメチャ面白かったですけど、ガンダムXももう20年前の作品ですからね。今の時代の新しいメタガンダムとかまたやっても面白そう。

 

物語としての「機動戦士ガンダム最終回」はこれ以上無いくらい最高の形で「DUST」がやってくれたじゃないですか。何であれがガノタの間ではさほど騒がれなかったのかが私にはわからん。Gレコの前にまずあれの評価をした方が私は良いと思うが、それはまた別の話だ。

 

人類は宇宙に希望を見出すべきと、Gレコ以降の今の富野の主張と真逆を語るアフランシ・シャア。これだけでもある種歴を感じる面白さがあるし、その上、そんな理想を切り捨て、組織の維持と言う保身に走るメタトロン。あえて言えば、生きてる内に理想を実現したかったダーゴルもまた裏切られる形になるのだけど、それは担ぎあげられながら、結果を残せなかったと本編に入る前にオリジンを打ち切られた安彦良和とも重なる。

 

それは絶対に当時の作り手が意図した物ではないのだけれど、そういった重ね方が出来る、今の視点から見る(聴く)ガイアギアもそれはそれで味があって大変に面白かった。

 

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