SUPERIOR SPIDER-MAN: NO ESCAPE
著:ダン・スロット、クリストス・ゲイジ(ライター)
ジュゼッペ・カムンコリ、ウンベルト・ラモス、(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2018年
収録:SUPERIOR SPIDER-MAN #11-16(2013)
☆☆☆☆
ニューヨークはスパイダーマンのものだ!
大いなる支配が始まる!
病に冒されたオクタビアスは、スパイダーマンの肉体を奪う事で一命を取り留めた。その記憶をも手に入れた彼は、スパイダーマンの使命の重さを痛感し、その名を受け継ぐ事を決意する。ヒーローとしての活動を開始したオクタビアスは、ピーターを見返そうと、遥かに効率的で、遥かに冷酷なやり方で犯罪撲滅に邁進する。スパイダーマンのあまりの変わりように戸惑う周囲の人々だったが、現ニューヨーク市長のJ・ジョナ・ジェイムソンは別だった……待望のシリーズ第3弾!
通販限定で4巻5巻の発売が決まって、積ん読だったのを読み始めましたが、もう4巻が昨日届いてました。最終5巻は来月末。まずは3巻の感想から。
もう圧倒的に面白いですこのシリーズ。
前巻で遂にピーター・パーカーの精神をも消し去ってしまったオクタビアス。帯とか解説書の前書きだと、遂に支配が始まった的に書かれてるので、ここに来てやはり悪のスパイダーマンに覚醒するのか・・・と思いきや、全然そんな事無かった。これまでと同じように、スーペリアスパイダーマンとしてピーターの意志を引き継ぎ、犯罪との闘いにより身を投じて行く、という形でオクタビアスなりのやり方ではありますが、決して闇堕ちスパイダーマンとかではない。
前半はラフト刑務所でスパイダースレイヤーとの死闘、キングピンらの根城の壊滅を挟み、後半はホブゴブリンとの戦いが描かれる。
スコーピオン、バルチャー、ブーメランらを引き入れ、死刑執行直前にスパイダースレイヤーが脱獄を試みる中、因縁深きJJと、同じくラフトに収監されていたリザードらも巻き込み、互いに戦略を駆使し、読み合いの戦いになる。スパイダースレイヤーことアリステア・スマイスも意外と頭脳派なのね。
ヒーロー物にありがちな、人質作戦がスーペリア・スパイダーマンには通じない辺りがピーターとの違いになっていて面白い。
そしてジョナとの取引により、ラフトをただ閉鎖するのではなく、自らの拠点として手に入れたオクタビアス。NYを脅かすキングピンの根城であるシャドウランドの撲滅に挑むスーペリア・スパイダーマンは巨大ロボ(レオパルドンじゃないよ)まで駆使し、大量の元軍人を雇いスパイダーリングス軍団として壊滅に追い込む。なかなかビジュアルインパクトがあってちょっとビックリしつつ、非常に面白い展開。
そんなスーペリア軍団に対抗すべく暗躍するゴブリン軍団はキングピンの元に居たホブゴブリン(7代目のフィル・ユーリック)をスカウト。
グリーンゴブリンと違って、名前は知ってても、邦訳ではあまり出番が無かったので、ホブゴブリンの事は詳しくなかったのですが、解説読むと、この7代目はなかなか面白い遍歴があるようで、デイリービューグルの敏腕記者のベン・ユーリック(映画版のデアデビルにも出てましたね)の甥っ子で、本来はヒーローとしてデビューして、単独誌も刊行されたものの、人気が出ずにフェードアウト。根っからの悪人とかでは無さそうですが、お金が目的でヴィラン落ちして再登場、という流れのようです。ベン・ユーリックも死んでは無いものの、ある意味彼もベンおじさんなわけで、解説を読む限りなかなか面白い設定な気がします。
初代ホブゴブリンに名前の使用料は請求されるわ、コスチューム(装備)制作でティンカラーにも支払いしなきゃならないわで、苦労してる様子が可笑しい。
そして再びゴブリン・キングの暗躍を示唆した所でまた次巻。
決着は4巻じゃ無く5巻の方で描かれるっぽいですが、これが刊行された2018年の時点では邦訳はここまでで終了だったので、メチャメチャ続きが読みたい展開ですね。通販限定でも、最後まで刊行してくれるのは非常にありがたいです。
と言う事で次は4巻「ネセサリー・イービル/スーペリア・ヴェノム」です。
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