僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(MCUその32)

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原題:SPIDER-MAN: NO WAY HOME
監督:ジョン・ワッツ
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2021年
☆☆☆☆☆

 

遂に来た!MCU版スパイダーマン3作目「ノー・ウェイ・ホーム」です。
初日に見て来ました。今回は、マルチバースの扉が開いて、MCU以前の旧サム・ライミ版、マーク・ウェブ版アメイジングスパイダーマンヴィランが再登場という所までは予告で明かされてましたので、正月休みを利用して旧作5本を再鑑賞した上で臨みました。

 

いやはやこれが大正解。ぶっちゃけ、その辺はちょっとだけ出る程度かなと思ってました。予告だとガッツリ顔を見せてるのは旧2作目のDr.オクトパスのみで、あとはちょろっとそれっぽいシーンがあるくらい。旧5作のメインヴィランって、明確に顔出してるのってドックオクのみなんですよね。あとはマスクしてたり特殊メイクというかCGですし、声くらいは入れてくれるかもしれないけど、基本はCGでヴィランを大量に登場させるとか、そんなだろうとタカをくくってましたよ。だからこそそこをより楽しむ為に旧作は復習してから見ようかなと私は思ってたのです。

 

はい、もうここからネタバレです。
純粋に楽しみたい方は実際に作品をご覧になられてから読んでいただければ。

 

ってまあこんな書き方をしたらる程度察するだろって話ですが、まあ、時間がある方は是非旧5作を見た上で「ノー・ウェイ・ホーム」に挑んだ方が100倍楽しめますので、そこは是非。

 

の前に、スパイダーマン周りの状況を。
前作「ファー・フロム・ホーム」のラスト、ミステリオの策略により、スパイダーマンの正体が、ピーター・パーカーだと明かされてしまうという、え~っ!この後どうなっちゃうのぉ~っ!という、作品の余韻を吹き飛ばすくらいのまさにクリフハンガー状態で終わりました。

 

今回はそこから地続きです。スパイディの正体が明かされる展開、そこは原作でもあったりします。勿論、原作コミックとMCU版では、設定とかも全然違うし、共通する要素がある程度で、ベースストーリーとか言うまでではない。

 

原作で言う所の「スパイダーマン:ワン・モア・デイ」という悪名高いストーリーがあります(邦訳版も出てます)。
そちらの方のストーリーはというと、シビル・ウォーの時期に、トニー・スタークに誘われ、スパイダーマンは超人登録法の賛成派に参加します。政府の管轄下に入らなければならなくなるも、国がバックにつくことで、訓練や装備も保証してくれるし、何よりちゃんとした仕事としてお給料も出る。苦労人のピーターにとっては魅力的なんですよね。政府の公認ヒーローになれるって。スーパーヒーローの中でも古参で超有名人であるスパイダーマンが動けば、世論もヒーローコミュニティも賛成派に傾くとして、スパイダーマンは記者会見のマスコミの前で、堂々と正体を明かします。

そこでヴィランは動くわけです。今まで散々苦汁をなめさせられてきたスパイダーマンの正体がわかればこっちのものだと。そして本人ではなく、家族を狙えば、とメイ伯母さんが狙われ、凶弾に倒れてしまう。悲痛な叫びと共に、自分の考えが浅墓だったと気付き、キャップが率いる反対派に鞍替えするも、時すでに遅し。一度世間に知られた正体を今更隠す事は出来ない。しかし、人ならざる者ならば・・・と悪魔メフィストと契約してそれを無かった事にしてしまう、という話です。

 

非常にドラマチックではありますが、あれだけ盛り上げておいて、魔法で無かった事に、という反則・・・というか安易な設定に、コミックファンは大ブーイング。賛否巻き起こるというか、否の意見があまりにも多すぎました。

 

今回の映画もベースはそれに近いもので、予告を見る限り、悪魔との契約ではなく、Dr.ストレンジの魔法っぽい。ストレンジ先生、何でもありじゃーん!っていうのは今に始まった事では無いですが、原作であれだけ物議を醸し出した部分を、MCUではどうするのか?というのが見所ではありました。

 

というかストレンジ、5年消えてたし、アガモットの目=タイムストーンを失った事で、魔法界の最高権威、ソーサラースプリーム(至高の魔術師)の肩書は無くなっちゃってるんですね。っていうかお前が最高位なんかい!っていうのが面白かった。

 

とは言え、そんな最高権威の肩書を失ったのも上手い所で、ストレンジ先生、魔術をミスるという失敗もいたしかたないかな?という。ってかここのピーターは流石にわがまま言いすぎた。子供かよ!ってちょっとイラっとしてしまいました。いや実際まだ子供だし、そこも実は作品としては狙った意図と言うのが流石の脚本です。

 

そんなこんなでマルチバースの扉が開いてしまった。他の次元、他のユニバースでスパイダーマンと戦ったヴィランを呼び寄せてしまう。旧1作目のグリーンゴブリン、2作目のDr.オクトパス、3作目のサンドマン、そしてアメイジング1作目のリザード、2作目のエレクトロと、どうせちょっとだけでしょ?と思ったら、ガッツリ普通に出てくるじゃん。エレクトロ役のジェイミー・フォックスだけは、え?こんなイケメン風?前はキモオタだったじゃん!と、そこはちょっと気になりましたが、アルティメット版っぽい映画のビジュアルから、ちょっと雷エフェクトで元のダサコスチュームを再現してくれるというおまけもありました。

 

いやこんなガッツリ出してくれるんだ。ちょっとオクタビアス博士が話のわかるタイプなのは、元の性格が良かったっていうのもあれば、原作だと色々あって、スーペリア・アクトパスというヒーローに転身したりしてますので、その辺も加味してのもものなのかなと思います。

 

実は序盤に、ピーター陣営の弁護士として、ネットフリックス版デアデビルのマット・マードックが出てきたりで、思わず「わっ!」って声が出てしまったのですが、(劇場のかたスミマセン・・・)このヴィラン大集合も含めて、いや出し惜しみしねーなこれ、今回は凄い事をやってきたもんだなぁ。しかしここまできたら、まさかね、いやそんなまさかがあったりするんだろうか・・・とか思ってたら、はいキタこれ。

 

アンドリュー・ガーフィールド登場!


おいおいおいおい、じゃあ来るのか!?来るんだろうなこれ?

 

トビー・マグワイア登場!

 

ええええええええ~っ!
これ、実写版スパイダーバースじゃん!

 

やると決めたからには、小出しにちょこちょこなんて姑息な真似はしない。やれる事全部やるのがエンタメ最前線に居るマーベルの仕事なんだよ!とでも言わんばかりです。

 

いやぁ・・・感服致しました。
3人のスパイダーマンのやりとりが楽しい事楽しい事。
もうニヤニヤが止まりませんよ。

 

ネタバレでこれを知ってたとかじゃないんですよ。ホントに、どうせヴィランもちょっとした顔出し程度なんだろうなと私は本当に思ってたのです。そのちょっとをより楽しみたいと思ったから旧作マラソンをした上で臨んだんです。

 

いや良かった!見てから行けて本当に良かったよ。日本公開だけ遅れて、本国では昨年末に公開されてたので、もし同時公開だったら私は復習間に合わずに普通に見てました。遅れたのは悔しかったけど、個人的にはタイミングバッチリという奇跡。

 

もう歴代スパイダーマンの共演だけで夢心地です。今回は単品作品というより、「エンドゲーム」的なスペシャルイシューっていう感じです。

 

私がMCUで好きな部分って、現代性とか社会性とか、そういうテーマを作品に落とし込んでくる所なんですよね。そう言う面では今回はそこ弱いかなとも思ったのですが、見てる間はそんなの余裕で吹っ飛びましたし、後から考えると、「セカンドチャンス」的な所を現代的なテーマにしてあったのかなとも感じます。

 

トムホピーター、ヴィランを救おうとするんですよね。私はストレンジ先生の、いや彼らはそういう運命だからって方につい肩入れしてしまって、ピーターききわけのない子だな、・・・と同時に、でもいい子だなぁと思いました。

 

でも彼は子供だから、それでいいんですよね。諦めちゃいけない。それは仕方の無い事なんだ、っていうのはいかにも大人の理屈じゃないですか。

 

ライミ版、ウェブ版、過去のスパイダーマン作品もね、一応は完結っぽい流れにはなってるものの、どちらもその先の構想もあったけど、結果終わった、っていうシリーズですよね。もっと見たかったし、作る予定もしてはいたけど、色々と上手く行かなくて、結果として打ち止め、次のシリーズへ、っていう形になったものでした。

 

作り手や演者がどう思ってるのかは知りません。名実共に映画界のトップに君臨したMCUを見て、悔しい思いも、もしかしたらあったかもしれません。でも、こうして、過去のスパイダーマンだってその世界では本物のスパイダーマンで、まぎれもない本物のピーター・パーカーなんだって、こうして最高のリスペクトを見せてくれた。

 

今回はMCU版3作目にして、トビー版4作目にして、アメイジング3作目でもあったんじゃないでしょうか。実はMCU版トリロジーに留まらず、映画スパイダーマンシリーズとしてのトリロジーでもあったのだと。

 

いやトンデモない事をやってくれました。

 

これね、アニメ版「スパイダーバース」もあったし、DCの方でも過去作でスーパーマンなりバットマンを演じた俳優が、それも一つのユニバースとして再登場させたりはしてるわけですよ。決してこんかいの映画が最初では無い。でもそれが当たり前になってしまう、まだ驚きがある旬の内にこっちでもそこを本当に特別感満載でやってしまえ!今やらなくてどうすんのよ!っていうのが痛快でした。

 

「魔法で現実を変えちゃうなんてご都合主義すぎない?」なんて意見を雲の彼方まで吹っ飛ばしてしまうような超スペシャル感で黙らせてしまうという力技。

いや、もうこれくらいの事をやってくれたんだから何も言うまい、と思わせてくれるんだから大したものです。

 

しかもその上でね、あのラストですよ。ご都合居主義のハッピーエンドを誰もが求めてる中で、いや、自分のわがままを押し通す事だけが本当の幸せなのか?と、ピーターはちょっとだけ大人になる。

 

ピーターの子供っぽさは、そんな大人になるピーターへの布石だったって事ですよね。何かを犠牲にしてでも、大切な誰かを守る、それがヒーローなんだって悪く言えばただはしゃいでいた子供が、真のヒーローへの一歩を踏み出した。

 

ピーター・パーカーを本当に理解出来るのは、ピーター・パーカーのみ。けれど君は、決して一人じゃ無い。というのはアニメ版スパイダーバースでもやってたけど、なんか今回で改めてMCU版スパイダーマンも、そんな真のスパイダーマンの一人になれたというかね。

 

それを後押ししてくれるのが先代映画版の二人というのがまた。トビー・マグワイアは復讐しても何も変わらないって、ゴブリンをグライダーで刺し殺そうとするトム・ホランドを止めてくれるし、アンドリュー・ガーフィールドは、自分の世界では救えなかったガールフレンドの悲劇をこっちの世界のピーターの為に助ける。それは自分のためじゃない、自分では無く誰かの為に戦うのがスパイダーマンであり、それがヒーローなんだって言うのを体現してくれたのだと思う。

 

そんなちょっとだけ先輩のピーター・パーカー達の助力を得て、自分の都合や感情、ワガママを優先するのは本当に正しいのか?彼女や親友に自分の正体を明かしたら、また同じ悲劇を繰り返すだけなんじゃないか?と、最後は踏みとどまる。

 

いやね、ライミ版でも、そんな孤独なスパイダーマンにも救いが必要なのよ、っていうのがあったんだけど、それに気付いてくれる人も、いずれは現れるだろうと信じたい。世界中からその存在を忘れられたピーター・パーカーだけど、メタ的な所で言えば、我々観客はそんなピーターを知ってるわけじゃないですか。それが「あなたの親愛なる隣人」スパイダーマンなんだって。

 

いやぁ、一応今回で3部作の締めとはされているけれど、まだ確定では無いものの、次の3部作の話し合いはソニーともう始めているってマーベルスタジオトップのケヴィン・ファイギはコメント出してるんですよね。それはスパイダーマンはもうここで終わったって子供達に思わせてはいけないからっていう理由だそうで、トム・ホランド本人も、30歳過ぎてもピーター・パーカーを演じるのは違う気がするので、それならマイルス・モラレスに引き継ぐべきだと思うって言うような事を言ってました。


いや原作だと普通に社会人として今でも続いてるし、別に引退はしておらず、マイルス君と二人のスパイダーマンが居る感じなので、ここはやっぱり一からの出直しで再出発を図る次の3部作を作ってもらって、その新3部作の最後に新たにマイルス・モラレス版スパイダーマンが誕生する、っていうのを期待しちゃいますよね。

 

ヴィランにだってセカンドチャンスがあってしかるべきというのを描いたのなら、スパイダーマンにも同じようにそれがあるはずというのは当然の話ですから。

 

「インフィニティ・ウォー」と「エンドゲーム」って一本の映画としてはだいぶ特殊な形だったと思うんですけど、今回の「ノー・ウェイ・ホーム」もそれに近い作品かなと。スパイダーマンという歴史の特殊さをも作品に組み込むという離れ業をやってのけたのにはもう脱帽するしかないです。

 

MCU版3部作を手掛けた監督のジョン・ワッツって次はMCU版「ファンタスティック・フォー」の監督をする事がもう発表されてます。
「F4」もね、映画ファン的には色々ともにょる作品なので、大丈夫か?って心配する人も多いと思うんですけど、アメコミの歴史としてはスパイダーマンと共に、マーベルの原点とも言える作品なんですよね。果たしてそれをどう料理してくるのか見物です。

 

とりあえず、今はマーベルファンとして、映画ファンとして、今回の作品に対してはありがとうの言葉しか見つかりません。

 


次回作は「ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス」かな。ここでまさかのサム・ライミ監督ですよ。今回の流れを受けて、ますます感慨深く見れそうです。

 

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