原題:ALIEN VS. PREDATOR
監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン
アメリカ映画 2004年
☆☆☆☆
ついに激突、夢のバトルが映画でも実現。
「エイリアン」「プレデター」はそもそも原作者が同じとかそういうわけでもなく、どちらも映画オリジナルながら、クリーチャーとしての人気も高く、映画コミカライズを多く手掛けて来たダークホース社が権利を獲得してコミックのみのオリジナルストーリー等を展開してきた。
アメコミの定番としてクロスオーバーは文化の一つ。コミックを皮切りに、ゲームなどでもVSが展開され、遂には本物の映画でもVSが結実。確か同じような時期に「フレディVSジェイソン」なんて映画もやってましたし(2003年)何かそういう流れがあったのでしょうか?
エイリアンと言えばシガニー・ウィーバーが主演を務めるシリーズでしたが、勿論、こちらには出演もせずにノータッチ。いわゆるモンスター映画は主演俳優が変わっても成り立つというのが利点。
今回も人間側に主人公を置いてあって、そこを軸に話は進むものの、客が見たいのは当然、エイリアンやプレデターであって、さほど知名度も無い俳優を観に来てるわけじゃない。その辺りが他の映画との違いと言えましょう。
ただ、ウェイランド社の社長として、かつてエイリアンシリーズでビショップを演じた人がそのまま出てたり、不要と思われる人間の主人公(しかも女性)がなかなかの健闘ぶりを見せてくれたりと、実は結構色々な所に配慮が行き届いた良作という辺りが侮れない。
勿論、ただのジャンル映画でしかない。映画としての完成度や、時代を切り開いたような斬新なアイデアがあるわけじゃないので、10年20年後も語られるような作品では決して無いのだけど、程良く期待させてくれた分程度は楽しめる、そこそこ良い映画かと思う。
「ゴジラVSコング」の時に書いたっけかな?夢の対決!なんて大袈裟なものってさ、勝手に想像出来るから面白いのであって実際は夢のままで終わらせておいた方が良かったのかも?となりがち。「マーベルVS.DC」なんて実現しない夢のままにしておいた方が良いのです。実際にコミックでも何度かは実現してるけど、話題性はあっても歴史的な名作かと言えば、流石に・・・。
そういう意味では、今回の映画だって、話題性以上の中身があるかと言えば疑問だけれど、なんか見てる間の90分は楽しい気分にはさせてくれただけでもありがたい。
普通に考えたら、やっぱりエイリアンは負け役です。多少の個体差はあるのかもしれませんが、プレデターの方は人間とは違えどパーソナルな人格が個々にあるので、キャラクターとしては立て易いの当然です。今回、エイリアン側は網目つけられた奴が個性を持った1体的な感じにはなってたけど、それは単純に外見上の区別がつくってだけですし。
でも、そんな負け役のエイリアンをどう生かすかこそが面白さでもあって、そこはプロレスと同じ。映画は決して真剣勝負なんかじゃなく、台本があっての事。エイリアンとプレデターがどちから上かを競っているわけでもなく、それは劇中の人間側でもない。勝負は映画を見ている観客とするものなので、そういう意味ではやっぱりプロレス的センス。
最終的にどちらが勝ったかではなく、試合内容がどう面白かったかで印象を残せなければ、どちらが勝者になろうがそこに意味は無い。
そういう意味ではね、エイリアンにしてもプレデターにしても、過去作品や一般的なイメージ。いわゆる定番ムーブをいかに映画の中に入れ込むのか。そうそう、エイリアンはやっぱりチェストバスターが胸から出てくるシーンが無いと。そう、血は酸なんだよね。お!クイーンも出るのか!とかのお約束を楽しみにしていて、プレデター側も、定番武装とかそういうのがあるから楽しい。
これこれ!こういうのが見たいんだよね、という相手に勝つ為では無く、見てる観客の為に定番ムーブを意図して入れてくるという、真剣勝負では味わえないプロレスならではの魅力に近いものがあります。
確か私、1も2も映画館で見てるはずですが、正直おおまかにしか記憶が無い。北極だか南極だかの遺跡の中でプレデターの儀式に巻き込まれる話だったよな、くらいなので、1でそこは消化しちゃった。2はどんなんだったっけ?逆に楽しみになってきました。内容忘れるくらいならさしたる作品じゃないんでしょ?と言われればそれまでだけど、見終わって荒が気になるより、単純に楽しい気分で済ませられたのなら、こういうのはこういうので良い気がします。
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