原題:ALIEN:RESURRECTION
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
アメリカ映画 1997年
☆☆☆
シリーズ4作目。前作のラストで寄生したエイリアン共々、身を投げて命を落としたエレン・リプリー(シガニー・ウィーバー)でしたが、今回はクローン技術で復活。ええ~!そんなんアリエンと言いたくもなるけれど、単純に殉教者がキリストが如く復活という話でも無く、色々とエグイ部分も描かれるという、精神的にもキツイ1本。
今回はマルク・キャロと共に共同監督作として「デリカテッセン」「ロストチルドレン」をフランスでヒットさせたジャン=ピエール・ジュネが監督を担当。
ハリウッド嫌いなキャロは企画初期段階で離脱。映画を完成させたジュネもハリウッドは肌に合わないと、その後すぐにフランスに戻って「アメリ」を世界中で大ヒットさせました。
「アメリ」って日本だとお洒落映画としてヒットして、ミニシアターブームを牽引した作品の一つという文脈で知られてますが、私も最初はそういう文脈から入ったものの、世間に馴染めない人達を描いている映画っていう部分に惹かれて(ティム・バートン的な匂いを感じた)私は好きな映画の一つなんですけど、そこから遡って見た「ロストチルドレン」も凄く良くてね、当時は好きな作家の一人でした。最近は作品を発表して無いっぽい。
盟友、ドミニク・ピノンとロン・パールマンを引き連れてエイリアンに挑んだ中で、「4」なりのシリーズの色としては、グロ描写が強い辺りでしょうか。異形の者として、これまでのリプリーとはちょっと違うぞと思わせつつ、そっから1~7号の強烈なシーンがあまりに痛々しすぎました。
まさか「シテ…コロシテ……」シーンがあるとは。
初見じゃ無いけど、泳ぐエイリアンとニューボーンくらいしかぶっちゃけ記憶に無かったものの、最初見た時はあまりのグロっぷりに記憶消しちゃったかも。
そしてそちらの新・種・誕・生なニューボーン君。怖いけど、どこか愛嬌もあるように感じられる上に、最後がちょっと可哀相になるのもポイント。エイリアンも驚異だけど、それ以上に人間もクソだなっていうのは1作目から入ってはいましたが、そこをこんな形でよりクローズアップしてくるとはなかなかに面白い作りです。
数は2でもうやったし、また別のエイリアンの凶悪なバリエーションとかで怖がらせるのではなく、捻った展開にしてあるのは結構お見事だと思う。
ウィノナ・ライダー演じるコールもそうですが、リプリー8号、ニューボーン君と各々が自分が何者かわからず、帰属する場所が無い存在であるという共通点がジュネの持つテーマとも言えなくもないかな?
そこ考えると半身不随のドミニク・ピノンもそうかも?ノーメイクで猿の惑星に出れそうなロン・パールマンは見た目が人外。いや私「ヘルボーイ」でのロン・パールマンって最初ただ赤く塗っただけなんだろうなと思ってたら、メイキング見ると普通に特殊メイクつけてて逆にビックリしました。
酸の血液で脱出するエイリアンとか、脱出した先に罠をしかけてたりとか、結構見所や発想も面白く、決して悪くない作品だと私は思うのですが、ここで一度シリーズが中断してる事を考えると、多分そんなにヒットはしなかったんでしょうね。
クローンで復活とか設定が強引すぎると私も思うけど、クローンに関してはそれに見合うインパクトもあったから帳消しかなという印象もあるんですけどねぇ。しかも何気にジョス・ウェドンが脚本やってたりもするんですね。今回だけでも結構強引な設定ですし、これ以上話を広げにくくなっちゃったんでしょうかね。
一応次の「プロメテウス」は、1作目のリドリー・スコット自ら再度手掛けて、2~4とか、自分が想定してたのとは全然違うんだよなぁと、リブート作品に近いですから。
まあでも「プレデター」形式で、モンスターのみ共通で、単純に毎回色々な役者さんがエイリアンに挑む的な感じにはならず、監督ごとのカラーがそれぞれ違う形になるという、結構独特のシリーズに結果としてなったのは、それはそれで面白い気がします。
単純に「○○VSエイリアン」をやるだけなら、別に正規のシリーズとかじゃなく、適当なオリジナルエイリアンをでっちあげれば、いくらでも出来ますし、実際そういうB級も世の中には溢れてますから。
せっかくなので次はプロメテウスの前に「AVP」に行きます。
プレデター派ならともかく、エイリアンは基本ただのやられ役なので、エイリアン派は歯がゆい思いをしちゃう映画ではあるけども。
https://www.youtube.com/watch?v=ZrCQ_cmr14w
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