BATMAN VS. PREDATOR
著：デイブ・ギボンズ（ライター）
アンディ・キューバート（ペンシラー）アダム・キューバート（インカー）
訳：國東英人
刊：DCコミックス/ダークホースコミックス ビクターブックス（スーパーコミックメーカー）
アメコミ 1994年
収録：BATMAN VS. PREDATOR(1991)
☆☆
「プレデター２」ついでにこちらも。バットマンとプレデターのクロスオーバーコミックです。
プレデターは勿論、アメコミ原作とかではなく、映画オリジナルのキャラクター。ダークホースコミックスは映画のコミカライズ権利を獲得し、マーベルやＤＣともまた違う路線で展開していた出版社。「スターウォーズ」や「エイリアン」「ロボコップ」等でコミックのみのオリジナルストーリーなどを出版。作家が自分の作品を発表しやすいのもあり、オリジナル作品として後にフランク・ミラーの「シンシティ」やマイク・ミニョーラの「ヘルボーイ」なんかもダークホースコミックスから発売。
「エイリアンＶＳプレデター」なんかもコミックでのクロスオーバーからスタートしたコンテンツ。ただ当然、映画の方がオリジナルであって、その権利を取得してコミック化していただけなので、今は「スターウォーズ」も「プレデター」もディズニーにある為、コミックはその子会社であるマーベルの方に行く形に。
２０世紀ＦＯＸを買収した後に、マーベルユニバースにプレデター登場とかのアナウンスもありましたけど、あれは結局出版されたのでしょうか？そんな事情もあって、今後マーベルとプレデターの絡みはあっても、ＤＣの方とはもう難しいでしょうから、バットマンとの絡みは貴重。再版される事ももう無いでしょう。
ただ！この本も単純に貴重なだけであって（多分プレミアついてるし）実際面白いかと言えばお話自体は微妙な感じです。
基本は「プレデター２」の主人公をバットマンに置き換えただけと思ってもらっても大丈夫。というかラストが全く同じというのはいかがなものか。
突如ゴッサムに出現したプレデター。最初に犠牲になったのはボクシングのチャンピオン。そしてマフィアのボスに、今度は市長までが殺害される。バットマンも一度は敗れ、次はゴードンが狙われる、という、最初のボクシングチャンピオンは何と無くわかる。強さで言えば人間の中でもトップクラスなわけですから、プレデターの相手としては相応しいと言えなくもない。ただ地球人の語る「強さ」の概念が理解しきれて無いのか、権力者とかにも手を出し始めるのがちょっと面白い所です。
ある意味トンチが効いてるというか、映画には無かったコミックのみの部分ですが、ちょっとした風刺にも思えてアイデア的には面白い。ただそれ以上の何か話の面白味があるかと言えば、これが何とも。
ビジュアル的にね、バットマンとプレデターが戦う絵だけで十分でしょ？って言われたらそれまでですし、一度は敗れたバットマンが、今度はフルアーマーバットマンとして再度戦いを挑む、というので満足できるなら、それはそれで何も言わないけど。「ＤＫＲ」とか「キングダムカム」で着てたような、強化アーマースーツみたいなやつです。
ただそれでもプレデターは結構強くて、最後は互いにボロボロになりながら、アルフレッドが銃で追い詰めたプレデターをバットマンが文字通り野球のバットでプレデターをタコ殴りして勝利するという、ギャグなんだかヤケクソで書いてるんだかよくわからんラストバトルでした。強さを権力と同様視したのと同じで、トンチを利かせたかったんでしょうか。
まあ頭脳派なバットマンって意外と他の作品でもトンチを利かせて勝つっていう展開はあったりはします。まあ実際にバットでタコ殴りとかは見た事無いけど。
誰だよこんな話書いたのと思ったら、「ウォッチメン」の脚本じゃ無く作画の方で有名なデイブ・ギボンズさんじゃないですか。どこの馬の骨ともわからない、名前も知らないライターとかでなく、あの有名な作家がこんなの書いてたのか的な面でも貴重かも。絵の方は「Ｘ－ＭＥＮ」とかでもお馴染みのキューバート兄弟ですね。
今となっては貴重な本ですし、権利的な面で再版される事は無いと思いますが（当時同じ出版社から出ていた「エイリアンＶＳプレデター」は再刊行されてます）ぶっちゃけそんな大した内容でも無いので、そこはご注意を。たまたまブックオフとかで１００円コーナーに混ざってたとかなら読んでみても良いかも。
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